2011年に観た映画ベスト10

今年もやってきました、毎年恒例のまとめ企画。

昨年は初めて10本に順位をつけなかったんですが、つけていた一昨年までも強引につけていただけで、よく考えたら順位なんかつけれるものじゃないですね。
ということで、今年も順不同の同格で、順番は50音順です。

基準は、毎年書いていますが、新旧関係なく、映画として出来がどうかでもなく、“初見の映画”で、“その映画がどれだけ自分にとって愛すべき映画か”、それだけです。

→参考までに2010年のBEST10はこちら

去年も素晴らしい映画が並んでいますが、今年はほんとに大好きな映画ばかりで、最後の最後までかなり悩みました。

では、早速いってみましょう。

アジョシ(イ・ジョンボム)

ウォンビンの素晴らしさは言うまでもなく、スピンオフが何本でも作れるくらい、キャラ立ちまくりな脇役たち。
あとは、感想にも書きました序盤の“茶碗キャッチ”、『ラブ・アクチュアリー』の“パンチ止め”に匹敵するほんとに素晴らしいシーン。
監督2作目でこの演出ができる監督、ただ者ではありません。

永遠の僕たち(ガス・ヴァン・サント)

観たのは昨日ですが、最後の最後に滑りこみ。
まだ公開中ですので詳しくは書きませんが、とにかくラストが素晴らしすぎます。

キック・アス(マシュー・ヴォーン)

1月の段階では、『夕陽のガンマン』をバックに殴り込みをかけるヒット・ガールのシーンについて、「このシーンだけで、今年のベストワン確定」なんて書いていますが、どうやらそうはならなかったようです(笑)
ただ、このシーンもそうですが、2回に分けて書きましたように、この映画の音楽の使い方はほんとに凄い。
もう一つのエントリーも貼っておきます。
『キック・アス』の音楽の使い方はこんなに凄い!

攝氏32度(パトリック・レオン)

トーさん製作。『MAD探偵 7人の容疑者』も『アクシデント』も“初見”という条件を満たさないので対象外なんですが、たとえ対象でも、こっちのが上。さらに、今年は『奪命金』も観ましたが、それよりも上。
ラウちんが殺し屋で巻き込まれるのがン・シンリンというならわかりますが、殺し屋がン・シンリンで、ラウちんは巻き込まれるただのラーメン屋のおやじ、この設定がまずは凄い。
そして、『デッドポイント~黒社会捜査線~ 』を超える凄絶なクライマックス。
銀河映像第1作にして、すでにいくところまでいっちゃっている、衝撃の傑作。

孫文の義士団 (テディ・チャン)

『イップ・マン』2作や『導火線』など、今回は完全にドニーさんの年でしたが、1本だけ選ぶなら迷わずこれ。ただし、ドニーさんは完全に脇役。
ドニーさんのアクションに痺れるよりも、ワン・シュエチーとエリック・ツァンの会話に痺れ、レオン・カーフェイとフー・ジュンの会話に圧倒され、ワン・シュエチーとレオン・ライの会話に胸を痛め、ワン・シュエチーが中華鍋を振る姿に泣けるという、凄まじい映画。
後半の怒涛のアクションももちろん燃えて泣けますが、前半80分が圧倒的に素晴らしい。

ハッピー・ゴー・ラッキー(マイク・リー)

『家族の庭』は未見なので来年に持ち越しです。
マイク・リーの手にかかれば、日常のどんな些細な場面だって、笑いに、ドラマに、映画になる。
びっくりするくらい何も起きないのに、全てが詰まっている極上の2時間。

ヒア アフター(クリント・イーストウッド)

ラストが素晴らしいんですが、感想の中でも書いたことを、大事なことなのでしつこくここにも書いておきます。
「映画秘宝で町山さんが「さあここから佳境に入るぞ!ってとこで映画が終わっちゃうんだ」という理由でトホホの1位にしていましたが、あれ以上何を描くというんでしょうか、あれ以上何を描いてもそんなの蛇足でしかありません。
その前のところで手紙の内容を一切出さなかったイーストウッドが、そんなことするはずがありません。
あれ以上続けることは、そんなの「説明」でしかなく、説明過多な多くの映画と同じになってしまいます。
さすがイーストウッド、完璧な終わり方。」

マイキー&ニッキー(エレイン・メイ)

この映画はちょっと反則。今年観た初見の映画、1本だけ選ぶならこれでしょう。
最初にスクリーンに登場するのがカサヴェテス、続いてピーター・フォーク。この時点ですでに涙腺決壊。
2011年の映画館のスクリーンで、カサヴェテスとピーター・フォークが子供みたいにじゃれ合っている、これ以上何がいるというのか、何もいりません。
どこまでも愛おしい、たった一晩の物語。

ミッション:8ミニッツ(ダンカン・ジョーンズ)

Source Code

実はそんなにネタばれ禁止系の映画でもないんですが、未見の方は予告編は先に観ない方がより楽しめるのは間違いないですので、この映画だけ写真にしておきます。
前作『月に囚われた男』同様、サスペンスとしてのネタが割れてからが素晴らしい。
切なさと、それ以上の幸福感に満ち溢れた、クライマックスのあの瞬間。その時、彼の周りを囲む光景。
“Everything’s gonna be okay.”、これぞ愛すべき映画。

ラスト・ターゲット(アントン・コービン)

微妙だった『メカニック』のリメイク、あの映画がほんとなら目指さないといけなかった世界観がこれ。2010年のハリウッド映画で、この渋さは凄い。
劇中でセルジオ・レオーネの『ウエスタン』を引用しているだけのことはあり、レオーネ必殺の“引っ張りの美学”が炸裂。
余計な説明台詞がまったくといっていいほどなく、映像で全て語りきる姿勢も素晴らしい。
派手なことはほとんど何も起きない、それでも、だれるどころか素晴らしい緊迫感が続く至福の105分。

かなり迷いましたが、今の気分ではこんな10本になりました。
せっかく絞ったので、迷った作品はあえて書きません。

初見ではないので対象外ですが、今年の映画体験でどうしても書いておかないといけないのは、初めて映画館で観た『ブラック・サンデー』と、15年ぶりに映画館で観た『アンダーグラウンド』
この2本はある意味別格でした。

さて、去年1年はブログをずっと休んでいましたが、今年復帰してから、今まで以上に多くの方に訪問していただき、それを励みに、こうして今まで更新が続けられています。本当にありがとうございます。

来年もまた地道に更新していきますので、「愛すべき映画たち」を今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

それでは皆様、よいお年を!

→過去の年間ベストはこちら