今年もやってきました、毎年恒例のまとめ企画。
ここ数年は順位付けをやめていましたが、今年は久しぶりに順位も付けてみようと思います。
昨年は初めて旧作も選びましたが、今年も引き続き選ぼうと思います。
基準は、毎年書いているように“初見の映画”で、“その映画がどれだけ自分にとって愛すべき映画か”、それだけです。
映画史残るような大傑作だったとしても、“自分にとって愛すべき映画”でなければ選外です。
今年は近年にないくらい豊作で、10本どころか20本でも絞るのに悩むくらいですが、最終的にはこのようになりました!
それでは、10位から早速いってみましょう。
“自分にとって愛すべき映画”を基準にしている以上、やはりこれは入れないわけにはいかないでしょう。
雪ちゃんがフィルモグラフィー史上屈指の大活躍を見せる、全ラムシュニスタ必見の1本。
いつもは食べ物に気を取られているだけで、食べ物のことさえ頭から離れれば実は有能という、雪ちゃんの新たな一面に気づかされた映画でもあります。
個人部門を選ぶなら、主演女優賞と新人監督賞はこの映画で決まり。
熱演=名演とされがちですが、そんなのとはちょっと次元が違う、静かなるカリーナ・ラウが圧巻。
言わなくてもわかる、映さなくてもわかることは見事に省略しているフローラ・ラウ監督の演出力も、監督デビュー作なんて言われても誰が信じるかというレベル。
自分自身が全然大丈夫じゃない人間が言う「大丈夫ですか、大丈夫です、何とかなります」も今年屈指のぐっときた台詞。
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2/1の時点では「もう今年のベストはこれに決まりのような気が」と書いていましたが、最終的にはここまで下がりました。それでも堂々のベスト10入り。
無言で片手を挙げる男、それに応え同じく片手を挙げる男、さらに、無言で頷き合う二人。
そんな二人に容赦なく降りしきる、映画史に残る鳥肌が立つくらいかっこいい雨、ハンス・ジマーの燃えて泣ける旋律。
完璧。
毎年、年末の数日にベストの滑り込みがありますが、今年はこの映画が最後に滑り込み。
原題『Blood Ties』、血の繋がりは何より重い。
電話越しの無言のノック3回からの、兄弟の表情の切り返しからの、完璧なラストカット!
今年最高のラストショット『エヴァの告白』を撮ったジェームズ・グレイも脚本で参加した、文句なしの大傑作。
“隠れジョニー・トー組”のオーランド・ブルーム出演ですが、暴力の突発性も1ミリの甘さもない容赦のなさも銃撃戦も、『ドラッグ・ウォー 毒戦』ですら負けてる、超ド級の大傑作。
それでも6位というのが今年がいかにハイレベルかということです。
南アフリカでしか撮れないという点も凄くポイントが高い。
5位 『グランド・ブダペスト・ホテル』(ウェス・アンダーソン)
左右対称等のテクニック的なことや、お洒落さばかりが取り上げられるウェス・アンダーソンですが、そんなことはどうでもよくて、彼がいつも描いているのは、あくまでも人間、そして人間同士の“繋がり”。
グスタヴとヘンケルスの最初の列車での再会あたりからもう涙が止まらなくて、ボロボロに泣いた。
「とんでもない大傑作。今年のベストはこれでもう決まりでしょ」と書いていましたが、最終的には4位に。
映画史に残る血塗れの中指立てからの、ついに迎える対決の時と落とし前。男の背中と、いつものように開けられる車の扉。
『ケープタウン』が南アフリカでしか撮れない映画なら、これはフィリピンでしか撮れない映画。
ここまでの大傑作を、全速力で必死に抜き去るのではなく、鼻歌歌いながらスキップで抜いていった、もうちょっとレベルが違うイーストウッド。
これぞ映画だ!という、「That was the best.」の一言から始まる至福の夜、画面から溢れ出る幸せに涙が止まらない。
ステップを踏むクリストファー・ウォーケンだけでもうこの映画は無敵。「あんなウォーケン他に誰も撮れないよ!」と書きましたが、実は撮れる人がいて、その映画は『ミッドナイト・ガイズ』。
「今年観た映画が全部吹っ飛ぶくらい、ぶっちぎりで最高」と書いたように、もうちょっとぶっちぎっていた1本。1位はある意味別格なので、普通にいけばこれが1位。
これまでで最高の使われ方をするデヴィッド・ボウイで涙腺決壊し、雪ちゃんとサイモン・ヤムの抱擁に号泣し、過去最高レベルの活躍を見せる雪ちゃんは『ジャージー・ボーイズ』のクリストファー・ウォーケンをも超えるステップを披露する♪
そして何よりも、「こんな香港映画が観たかった」、まさにそんな映画。
1位 『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』(リチャード・カーティス)
というここまでの豪華な顔ぶれを抑えて、自分でもびっくりの1位はこの映画。
というのも、前半はむしろ結構イライラしながら観ていて、ベストどころかワーストな感じだったのに、それすら監督の作戦か?という、そこからの盛り返しが凄い。
「一瞬しか映らない、端役ですらない名も無き二人の、手を繋いだ後ろ姿に涙腺決壊」と書きましたが、こんなことはちょっと過去に記憶にない。
“映画の出来”で選ぶなら別に年間ベストというような映画でもないですが、大袈裟に言えば、この映画を観た次の日から朝目覚めた時の気分が違う、自分にとってはそれくらいの映画。
というわけで、ちょっと別格の1位。
改めて、今年のベスト10です。
1. 『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』(リチャード・カーティス)
2. 『ミッドナイト・アフター』(フルーツ・チャン)
3. 『ジャージー・ボーイズ』(クリント・イーストウッド)
4. 『牢獄処刑人』(エリック・マッティ)
5. 『グランド・ブダペスト・ホテル』(ウェス・アンダーソン)
6. 『ケープタウン』(ジェローム・サル)
7. 『マイ・ブラザー 哀しみの銃弾』(ギョーム・カネ)
8. 『ラッシュ/プライドと友情』(ロン・ハワード)
9. 『越境』(フローラ・ラウ)
10. 『香港警察 -最後の撃突-』(デニス・ロー)
あれも入れたかった、これも入れたかったと、迷った映画はかなりありますが、例年通り迷った映画はあえて書きません。
続いて、旧作も同じような感じでと思いましたが、すでに結構な長さになっていますし、Twitterの方で140文字しか感想書いてない映画も何本もあるので、タイトルだけ並べて感想へのリンクを貼っておきます。
“初見”という条件がなければ映画館で観た『ヒーロー・ネバー・ダイ』『静かなる男』『駅馬車』で上位は決まりなわけですが、あくまでも今年初めて観た映画の中からのベスト10です。
1. 『博徒外人部隊』(深作欣二)
2. 『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(金子修介)
3. 『ブロークン・トレイル 遙かなる旅路』(ウォルター・ヒル)
4. 『一碌蔗』(イップ・カムハン)
5. 『次の駅は天后』(ジョー・マー)
6. 『お早よう』(小津安二郎)
7. 『マダムと泥棒』(アレクサンダー・マッケンドリック)
8. 『俺は善人だ』(ジョン・フォード)
9. 『ピッチ・パーフェクト』(ジェイソン・ムーア)
10. 『勁抽福祿壽』(チョン・シューガイ)
今年は秋に「雪ちゃん映画祭」が開催されていたこともあり(自宅でですが)、雪ちゃんが3本もベスト入り。
新作の方も合わせると全部で5本がベスト入り!
もうラムシュニスタにとってはたまらない1年でした。
1位の『博徒外人部隊』は『県警対組織暴力』に代えてオールタイムベストにも入れました。
実は1作目以外は1本も観たことがなかったゴジラですが、『GODZILLA ゴジラ』公開前に一気見して、その中では『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』がダントツで素晴らしかったです。
3位の『ブロークン・トレイル 遙かなる旅路』は、すっかり終わったと思っていたウォルター・ヒルに全力で土下座した、21世紀最高の西部劇。
こんな感じの20本になりましたが、今年は新作も旧作もかなり充実した一年でした。
それでも、去年に比べたら観ている本数がかなり減っているので、来年はまた盛り返したいところです。
最後に、去年のベストのエントリーで「いつの間にか、直接お会いしたことがある(顔がわかる)フォロワーさんの数も30人弱くらいに」と書きましたが、今年は夏から毎月のように東京に行っていたこともあり、倍の60人くらいに。
いつかはやらかすような気がしていた新幹線の終電逃しというまさかの事態も起きましたが、そのおかげか急遽開催の香港映画オールナイトも体験でき、朝までお付き合いいただいた皆様、改めて本当にありがとうございました。
さて、今年もブログの方にも相変わらず多くの方に訪問していただきまして、本当にありがとうございます!
来年もまた「愛すべき映画たち」をどうぞ宜しくお願い致します。
それでは皆様、よいお年を♪
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