Twitterの方でも何度も触れてきましたが、待ちに待った公開、もちろん映画館に行ってきました。
というわけで今回は、満を持しての『アジョシ』です。
結論から言うと、大傑作。
年に1本くらい超ド級の傑作がある韓国映画ですが、またしてもやってきた大傑作。
ウォンビンの“目”だけでも十分傑作ですが、一切容赦のない“痛い”アクションはもちろんのこと、この映画の凄いところは、脇役がみんなキャラが立ちまくりなこと。
相変わらずむちゃくちゃ上手いキム・セロンはもちろん、マンソク兄弟、オ社長、刑事とその部下、組織で子供たちを仕切っていたおばちゃんなどなど、みんなちゃんと役を生きていて、頭が切れるボスはボスの、クズはクズの、できる刑事はできる刑事の、闇組織のおばちゃんはおばちゃんの、皆が皆ほんとにいい表情をしています。
中でも最高だったのが、敵の殺し屋に扮したタイのタナヨン・ウォンタラクンという俳優さん。
『闇の子供たち』は未見なので初めて観ましたが、面構えが最高。
ウォンビンにあるのと同じように、彼の目にもまた“哀しみ”があるのがいい。
腕は超一流、一匹狼、それでいて心がある。
そんな彼が、「銃にビクともしなかった」と、男がただの質屋ではないことを一瞬で見抜く。
超一流の殺し屋と超一流の殺し屋の出逢い、もちろん、やがて二人は対決の時を迎える。
敵の殺し屋なのに彼でスピンオフを撮ってほしいくらい、それくらい魅力的。
『熱血男児』という作品は未見なので初めて観るイ・ジョンボム監督ですが、これで監督2作目というのも凄い。
韓国の監督さんはデビュー作や2作目から大傑作を撮ってきますが。
アクションシーンはもちろん、普段のちょっとしたシーンもいい。
例えば、テシクとソミが二人でご飯を食べていたところへ、お母さんが探しに来たシーン。
テシクが足で落とした茶碗を、隠れていた机の下でパシッとキャッチするソミ。そのキャッチには寸分の狂いもない。
このキャッチで、余分な“説明”なんか一切なしに、二人の“これまで”を語りきる。
『ラブ・アクチュアリー』でローラ・リニーが弟の“パンチを難なく止める”というたったそれだけの仕草で姉弟の過去を描き切った、あの場面に匹敵する屈指の名場面。
こういうなんでもないシーンをちゃんと描けるからこそ、終盤の怒涛の大殺戮シーンがより生きてきます。
ただバイオレンスを炸裂させるだけでは、それだけの映画にしかなりません。
こういうシーンをちゃんと描けるこの監督は素晴らしい。
終盤の怒涛のアクションは、ここでうだうだ書くよりも、ぜひ映画館でご覧になって下さい。
かなり期待値を上げて観に行きましたが、余裕でその上を行かれましたね。
文句なしの大傑作。
アジョシ スペシャル・エディション(2枚組) [Blu-ray]
[原題]아저씨2010/韓国/119分
[監督・脚本]イ・ジョンボム
[出演]ウォンビン/キム・セロン/キム・ヒウォン/キム・ソンオ/キム・テフン/ソン・ヨンチャン/タナヨン・ウォンタラクン
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