
結構期待していましたが、期待以上。これはちょっと凄い。
派手なだけで何も残らないハリウッドのSF大作(それはそれで大好きです)の対極にある、静かな、ほんとに静かなSF映画。
でも、決して万人受けはしないでしょうね。『2001年宇宙の旅』を何度チャンレンジしてもすぐに寝てしまうという方は、たぶんこの映画もぐっすり眠れると思います。雰囲気は『2001年宇宙の旅』に近い。

ほとんどサム・ロックウェルの一人芝居ですが、『2001年宇宙の旅』のHALに該当するロボット“ガーティ”の声がケヴィン・スペイシー。
声だけの出演ですが、出演時間も長く、さすがの存在感。
この映画、97分と短いですが、“ネタ”は50分くらいであっさりと明かされます。
謎解きがメインではなくなり、一気に“本質”へ、“深み”へ向かう。
でも、これこそが“SF映画”だよなぁ。

そして、一言で言うなら、切ない、あまりに切ない。
切なさだけなら、『2001年宇宙の旅』を超えてさえいると思います。
でも、手放しで絶賛できないのは、ラスト。あれはないでしょあれは…。
あのラストがもう少しなんとかなっていれば、傑作と呼んでもいいと思います。今でも十分名作ではあると思いますが。
ハリウッドの派手なSF大作も好きですが、たまにはこういうのもいいなぁ。
監督はなんとこれがデビュー作。でも、デヴィッド・ボウイの息子。さすがただ者じゃないですね。
最後に、音楽も素晴らしかったですが、『レクイエム・フォー・ドリーム』のクリント・マンセルなんですね!道理で素晴らしいはずです。
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2009/イギリス/97分
[監督]ダンカン・ジョーンズ
[音楽]クリント・マンセル
[出演]サム・ロックウェル/ドミニク・マケリゴット/カヤ・スコデラーリオ
[声の出演]ケヴィン・スペイシー
“警告:このラスト、映画通ほどダマされる。”、このキャッチコピーで損してるような気が…。 確かにネタばれ禁止系の映画ではありますが、実はそうでもありません。 少なくとも、オチ勝負の映画では決してありません。 ※一応ネタばれ禁止系の[…]