今年もやってきました、毎年恒例のまとめ企画。
ここ数年は順位付けをやめ、順不同で10本にしていますが、今年も同じでいこうと思います。
基準は、毎年書いているように“初見の映画”で、“その映画がどれだけ自分にとって愛すべき映画か”なんですが、新旧関係なく選ぶといいながら結局ほとんど新作ばかりになっていたので、今年は初めて旧作も別に選びました。
今年も豊作で10本に絞るのは大変でしたが、最終的にはこのようになりました!
では、早速いってみましょう。
順不同と書きましたが、1本だけ選ぶなら今年はこの映画。
映画館には4回しか行けませんでしたが、いろんな感情が溢れ出てきて、毎回ボロ泣き。
ミシェル・チェンのポニーテールでの登場シーン、駅のベンチでの横顔、あれだけでもう不動の1位。
伝家の宝刀横移動のカメラから始まる、瞬きするのも惜しいほど、つまらない瞬間が1秒もない愛すべき94分。
構図、色彩、小道具、溜息が出るほど素晴らしい。
そして炸裂するもう一つの伝家の宝刀ペアルック!からのとどめのラスト。完璧。
一般公開は年が明けてからですが、大阪アジアン映画祭で観たので今年枠で。映画祭では生トーさんも初めて拝むことができました。
初めて大陸で全編撮ったということで、かなり制限があったみたいですが、それでこれですか?という凄すぎる銃撃戦に、十八番の一つ“繰り返し”による笑いもたまらない。
そして、ジョニー・トー史上屈指の名台詞(迷台詞)、雪ちゃんの「ハイリスク、ハイリターン。ハイリターン、ハイリスク」、さらに、雪ちゃんの自撮りダブルピース!
“ジャンゴ~♪”、ファーストカットからではなく、「第一音」から持っていかれる。そこに被さる赤字のクレジット!開始1分経たずにベスト入りは確定。
マカロニネタは色々想像していましたが、まさかだったのが『エグザイル/絆』ネタ!「お前たちは行ってもいい。スティーブン、お前はだめだ」。さすがジョニー党最高幹部の一人タランティーノ!
●燃えよ!じじぃドラゴン 龍虎激闘(デレク・クォック/クレメント・チェン)
戦わねば負けることはない、でも、戦うなら必ず勝て。
立ち込めるアヒルの匂い、ついに外されるリミッター、炸裂する飛び蹴り。
膝をつきながらも力ないパンチを打ち続けるブルース・リャンに号泣。
ジョニー・トー組リー・ハイタオとロー・ウィンチョンの大活躍も嬉しかったですね~。
世界よ、これが日本映画だ!
箸の置き方のちょっとした違いが、どんな言葉よりも、二人のこれまでと、その場での気持ちを語る。言葉なんかいらない。
これは原作の素晴らしさですが、用例収集カードという小道具がすでに反則。
結局映画館には10回行きました、年が明けたらまた行きます(笑)
一番最初の時に書きましたが、悲しいからでも、感動したからでもなく、かっこよすぎて涙が出るという、滅多に遭遇しないことが起きた時点でベスト入りは確定でした。
さらに、4DXではイェーガーを“操縦できる”という凄い体験も。4DX『パシフィック・リム』は、IMAXですら比べることもできないほど、別次元の“映画体験”でした。
“映画の出来”ではなく“好き”を基準に選んでいるからこそ入る映画。
サミーのドロップキックが炸裂した時点で、この何でもありのぶっ飛んだ映画のことが大好きになり、もう後は観ているだけで楽しくて仕方ない。
さらに、『PTU』の“バナナの皮”に匹敵する、雪ちゃんの至高のリアクション芸も堪能できます、あの倒れ方!
今年のダークホースはこれ。
クズもここに極まれりのジェームズ・マカヴォイにゲラゲラ笑い、クスリでハイになって踊りまくるエディ・マーサンに手を叩いて喜んでいたら、途中から涙が止まらなくなってボロボロ泣いていたという、凄すぎる映画。
●オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(ジム・ジャームッシュ)
最後の最後に滑り込み、やはりジャームッシュは間違いないですね~。
路地、街灯の灯り、あまりにも美しい夜、闇。
そこに愛があるならそれだけでいい、あとはもっと音楽を!ダンスを!
いつものように、今年も迷った作品はあえて書きません。
続いて、旧作です。
丘陵を馬で行く二人を捉えるロングショットから、斜面を猛スピードで駆け下りる馬車、モノクロの焚き火の美しさ、インディアン襲撃前の静寂と突撃の迫力、岩山での高低差を生かした1対1のガンファイトまで、全編見せ場の連続。
西部劇といえば去っていく男の背中で終わるのが定番ですが、そう見せかけてからの…、再び映る男の背中。
脳裏に浮かぶ雨の中での馬車の下と中のやりとり、これは泣きましたねぇ。
決闘での、抜くのが早すぎて見えない!というよりわざと見せない演出、このカットバックも素晴らしすぎる!
オールタイムベストにも入れました。
記憶を失くし、散々走り回って辿り着いた真実。
情けない男たちの魂の叫び、「人が人を想う気持ちをなめんなよ!」
そこからの、「頑張りましょうよぉ」
号泣。
帽子を斜めに被ったアン・シャーリーがむちゃくちゃ可愛い!
蒸気船レースという題材からして凄いですが、凄まじいスピードで回り始める水車、煙突から出るのは煙ではなく炎!もう無茶苦茶。お腹を抱えて大爆笑の連続。
テンションがただごとではない、圧巻の大傑作。
今年は短編もかなり観ましたが、1本選ぶならこれですね。
スリに遭った女性がさらに料理も勝手に食べられるという散々な話かと思いきや…。なんて素敵な話!
サラダを食べている二人の美味しそうな表情がいいですね~。
『周遊する蒸気船』に続いてウィル・ロジャース主演。
ある証人の証言により“裁判の流れが変わる”のではなく、“裁判どころではなくなる”展開が素晴らしすぎる!
フォード映画でお馴染みのお兄さんフランシス・フォードが陪審員として登場し、痰壺がどこに置かれようと必ず命中させる唾!命中した時の音!
これまたオールタイムベストにも入れました。わざわざ大阪まで観に行った甲斐がありました。
普通リメイクがオリジナルを超えることはないですが、あのジョン・フォードが自らセルフリメイクするだけのことはあります。
葬送シーン、シーン単位なら、今まで観た全映画の中でも最高峰。“歩く”シーンとしても頂点かもしれません。
初めは嘲笑の対象だったのに、一人、また一人と列に加わって行く人々。しばらく経ってからある一言が喋られるまで、長い間台詞は一切なし、音楽も一切なし、ちょっともう神懸かっています。
またまたジョン・フォードですが、素晴らしいものはしょうがない。
土地獲得レースでの画面を埋め尽くす馬や馬車の疾走など、90年近く昔の映画なのに、圧巻のスペクタル!
侠気炸裂のクライマックスでのJ・ファレル・マクドナルドも反則(涙)
笑ったという意味では、今年はこれが一番かもしれません。
全編爆笑の連続ですが、靴下がないので股引を伸ばして誤魔化すシーンが最高で、帰る時に、バレないように正座から靴を履くまでの流れるようなスムーズな動きが凄すぎる!(笑)
散々笑わせておいてから、ラスト数分で一気に空気を変えて、話をあそこに落とすのも上手すぎます。
「コーヒーでもいかが?」「こんな時間に飲んだら眠れなくなるよ」「(超甘えた声で)眠れますよ~」、その真意に気づいた時の、斎藤達雄のあの表情!柱時計の音に合わせて消えていく部屋の灯り!ベッドシーン一切なしで描く熱い夜。小津流ルビッチ・タッチ。
『秋日和』の岡田茉莉子に匹敵するキャラにようやく出会えた、姪役の桑野通子が圧倒的に素晴らしい!
ジョン・フォード4本に小津安二郎2本とかなり偏っていますが、フォードはわざわざそのためだけに大阪に2回も行きましたし、小津は年末にGyaO!で33日連続無料配信されたのが大きかったですね。
新たにオールタイムベストに入るような映画にも出会えましたし、新作同様、旧作も充実した一年でした。
さらに今年は、Twitter上でお話するだけでなく、実際に多くのフォロワーさんに直接お会いできた年でもありました。
いつの間にか、直接お会いしたことがある(顔がわかる)フォロワーさんの数も30人弱くらいに。
時間がなくてご挨拶しかできなかったフォロワーさんもいましたが、またゆっくりお話できたらと思います。
そして、ブログの方にも相変わらず多くの方に訪問していただきました、改めまして、本当にありがとうございます。
来年もまた、どうぞ宜しくお願い致します。
それでは皆様、よいお年を!