今回はついにやってきたチャンピオンズリーグファイナル、ユベントスVSミランの試合について。
ベスト4に3チームを送り込み、決勝も史上初のイタリア対決になったことで、「イタリア復権」などと言われていますが、来年も同じような結果を出すまではなんとも言えないでしょう。
結果がすべてのイタリアらしいといえばイタリアらしいですが、準々決勝のインテルVSバレンシアなどひどいもので、メスタージャでの一戦でのインテルのボール支配率は30%以下。スペイン中が怒りに包まれたのももっとも。
それでもここ数年のチャンピオンズリーグ、そして先のW杯での結果が不甲斐なさ過ぎるため、イタリアも今回の快進撃はほんとに嬉しいようで、ハーフタイムに放送された試合前の両監督のインタビューでは、共に「今まで散々言われてきたが、見たかこれがイタリアの実力だ」と、そんなようなコメントに終始していました。 それでも準決勝のインテルVSミランの試合が、スペインのマスコミに「バスを待っているよりも退屈な試合」と酷評されたように、イタリア勢同士の対決がスペクタルとは程遠いものになることは、普段のセリエAの試合が証明しています。この大一番でも退屈な試合をしてくれるのか、それとも・・・。
さてスタメン。ユベントスはなんといってもネドベド欠場。痛い、あまりにも痛い・・・。今のユベントスにあってはデル・ピエロが欠けるよりも痛いでしょう。今シーズンはまさに獅子奮迅の働き。代表での成績などが伴わないため無理でしょうが、単純にプレーだけで見ればバロンドール確実。
いつも思いますが、チャンピオンズリーグもワールドカップも、ファイナルだけは累積カード関係無しでベストメンバーでやらせてあげられないものでしょうか。この1年間誰よりもユーベに尽くしてきたネドベドが、最後の最後の大一番に出れないなんて・・・。ほんとに可哀相でたまりません。
そのネドベドを欠くユーベ、GKは間違いなく世界NO.1のブッフォン。そして、まさに鉄壁のDFラインは、中央にフェラーラと今回はトゥドール、そして右トゥラムに左にモンテーロをもってきました。中盤は中央にタッキナルディ、ダーヴィッツ、そして右は今シーズン大ブレークのカモラネージ、そして左には元々は中盤ながら今シーズンはチームでもアズーリでも左サイドバックのザンブロッタ。そしてツートップはトレゼゲにデル・ピエロ。ネドベドを欠くことを除けば、まさに歴戦の強者たち。
一方のミラン、GKは怪我で準決勝のインテル戦を欠場したヂダが復帰。そして負傷で出場が危ぶまれたコスタクルタが右サイドバックに入り、左は今やミランのDFラインには欠かせないカラーゼ、そして中央は世界でも一番堅いであろうネスタとマルディーニ。そして中盤はいつものダイヤモンド形。レジスタにピルロ、右ガットゥーゾ、左セードルフ。そしてトップ下にはお気に入りルイ・コスタ。そしてツートップには危険な二人、インザーギにシェフチェンコ。名前だけならこちらのが遥かに豪華でしょう。それでもシーズン序盤の攻撃サッカーはすっかり影を潜め、チームとしての力はユーベの方が一枚も二枚も上手なことはセリエAの結果を見れば明らか。それでも、シーズンを通したらやっぱりミランはユーベには今のままでは何回やっても勝てないでしょうが、一発勝負ではそんなことは関係ありません。それにユーベはチャンピオンズリーグのファイナルになぜか弱い。
そしてミランは縁起のいい白のユニホームを着用。ちなみにインテリスタの管理人としては、どっちが勝っても大して意味はないので、お気に入りルイ・コスタのいるミランを応援してもよさそうですが、インテリスタがミランを応援するとは何事かと自ら思い直し、ミランにだけは優勝してほしくない一心でユーべを応援。
そして舞台は“Theater of Dreams”オールド・トラフォード。今回は試合前のセレモニーの時にピッチに、“Theater of Football”の文字が見えました。インテリスタである以上にマンUファンである管理人。なぜ舞台だけ貸すはめに・・・。
そしていざキックオフ。イタリアらしい静かな立ち上がりでしたが、ボールポゼッションで上回り、徐々にペースを掴み始めたのがミラン。そして前半9分、ハーフェイライン手前から一気にドリブルで駆け上がったルイ・コスタ、ペナルティエリア手前まで一気に持っていくと、左サイドのピッポへ。ピッポが中に入れたボールに走りこんできたのがシェフチェンコ。内に切れ込んで左足で強烈なシュート。ゴ~~~~~ル!!!オフサイド・・・。あれでオフサイドはないでしょう。確かに2人オフサイドポジションにいて、そのうちのルイ・コスタがブッフォンの視界を遮ってプレーに関与したとのことでしたが、試合後ルイ・コスタ自身は「ブッフォンは僕がいることにさえ気付いてなかったと思う」とコメント。横からのスロー映像ではなく縦からのスロー映像を観れば明らかなように、シェルチェンコとブッフォンの間にはルイ・コスタは入っていませんでした。それでも判定が覆るはずもなくノーゴール。
しかし10分にはユーベもすぐさま反撃。テュラムのアーリークロスにどんぴしゃで合わせたのがトレゼゲ。これは決定的でしたがDFもきちんと体を寄せていたため枠を右に外れました。
それでも相変わらずミラン優勢は変わらず、そして17分、この試合最大のチャンスがミランに。モンテーロのミスキックを拾ったシェフチェンコが右サイドに流れていたセードルフにパス。そのセードルフから速くてコースもぴったりなパーフェクトなクロスがゴール前に。これに完璧に合わせたのがインザーギ。インザーギに一瞬で振り切られたDFも完全に天を仰いだことでしょう。これは完璧なゴールシーン。しかししかし・・・。そこにはまだカテナチオの最後の番人ブッフォンが残っていました。あれを止めるかよ・・・という有り得ない左手一本でのスーパーセーブ。インザーギもあれが入らないのかよと頭を抱えるしかありません。しかしこのスーパーなプレーを涼しい顔でやってしまうのがブッフォンの凄いところ。文句なしのスーパーセーブですが、ブッフォンならあれくらい止めも不思議ではないと思わせてしまうところがさすが世界NO.1。我等がトルドも神懸っている時はあのレベルのセーブは連発してくれますが、神懸らなくても普通にあのレベルのプレーをやってしまうのがブッフォン、恐れ入りました・・・。
ずっとミラン攻勢でしたが、完全に消えていた右サイドのカモラネージとは違って、劣勢のユーベにあって前半孤軍奮闘していたのがザンブロッタ。コスタクルタとの1対1では完全に優勢。そして28分、左サイドをドリブルで仕掛け、中央に切れ込んでいき、最終的には4人をひきつけておいてデル・ピエロにパス。デル・ピエロ、得意の右足でのまいてゴール右隅を狙うシュートでしたが、ボールはクロスバーを越えていきました。
そして38分またしてもミランに決定機が。左サイドをドリブルで駆け上がったピルロが中央を上がってきたルイ・コスタにパス。ルイ・コスタは強いシュートではなく、タイミングとコースで勝負したグラウンダーのシュート。完全にタイミングを外されたブッフォンは一歩も動けませんでしたが、ボールは惜しくも左に外れました。これも入ってもおかしくないシーン。
41分にはユーベにアクシデントが。シェフチェンコとの接触でトゥドール負傷退場。それでも、これによって、慣れない左サイドバックに入りシェフチェンコに翻弄されていたモンテーロが本職のセンターバックに戻り、左サイドバックには、バルセロナ戦でサラジェタの奇跡のゴールをアシストするパーフェクトなクロスを上げた、地味ながらいい働きをするビリンデッリが。
そしてその直後の43分、ユーベにビッグチャンスが。右サイドでボールを持ったカモラネージ。この試合はじめての仕事はペナルティエリアに走りこんだデル・ピエロへのアウトサイドキックでのパス。デル・ピエロもきちんと合わせてシュートしましたが、ネスタがきちんとコースを消していたため、角度のないところからのシュートはヂダがコーナーに逃れました。
そして前半終了間際、またしても左サイドでDF陣を翻弄したザンブロッタ、彼が上げたクロスをデル・ピエロがオーバーヘッドで折り返し、そこにフェラーラが突入。これも決まったかと思われましたが、ネスタがスーパーなクリア。
ロスタイム3分は無事終了し、前半は0-0。時折ユーベも反撃に出るものの、全体的にミラン優勢。シーズン序盤のスペクタルなサッカーほどではないにしろ、少なくとも準決勝のインテル戦に比べればずいぶんと攻撃的。おかげで「バスを待つよりも退屈」ということはありませんでした。
そして後半、前半全く攻撃の糸口がつかめなかったユベントスは、さすがリッピ、中でも消えたいたカモラネージをあっさりとあきらめ、ベテランコンテを投入。コンテは今までにもチャンピオンズリーグの大一番で貴重なゴールを決め、ユーベにとってはまさに「頼りになる男」。そしてこれによってザンブロッタが右サイドに回りました。今はフィオレンティーナのディ・リーヴィオもそうでしたが、ユーベにはこういう選手がなぜかいます。サイドバックから中盤両サイドどこでもこなせるという、監督にとってはこれほどありがたい選手はいません。
そしてそのコンテ、早速2分、早くもリッピの期待に応え、デル・ピエロが左から上げたクロスにどんぴしゃのヘディング、ヂダはただボールの行方を見送るしかありませんでしたが、ボールは惜しくもクロスバーを直撃。結果的にはこれがユベントスにとってこの試合最大のチャンスでした。
それでも前半に比べればユーベが少し盛り返した感じになってきていましたが、15分、ミランが右からのFKのチャンス。キッカーはピルロ。そしてゴール前ではマルディーニとタッキナルディが審判に止められるほどの激しいポジション争いを演じていましたが、ついにタッキナルディを振り切ったマルディーニ、ピルロのボールもどんぴしゃ彼のところへ。これも入ってもおかしくありませんでしたが、ボールは惜しくもゴール左に外れました。
そして、ここからはベンチが動き始め、まずユベントスは最後のカードとしてダーヴィッツに替えバルセロナ戦のヒーローサラジェタを投入。デル・ピエロをトップ下に下げ、トレゼゲとサラジェタのツートップに。ミランもコスタクルタに替えホッキ・ジュニオールを投入。そしてミランはさらに2枚目のカードとしてピルロに替えセルジーニョを投入。
そして31分、今まで幾多の敵を葬り去ってきたミランの伝家の宝刀が。それはセルジーニョのクロスからのインザーギの二アでのヘッド。わかってても止められないという攻撃が中にはありますが、これもそのパターン。セルジーニョのクロスはDFがちゃんと正面に立っていても関係ありません。左足をきちんときってもさらにその外から曲げてきます。そしてこのクロス、いつもGKとDFの間に完璧にコントロールされて入ってきますが、スピードが遅ければキーパーにキャッチされてしまうところを十分なスピードがあり、さらにキーパーがstayの判断をするには勇気がいる位置に来るため多くのGKは飛び出します。あとは、キーパーとのすれ違いざまにインザーギがDFに競り勝つだけ。セルジーニョもインザーギもお互いに合わせるポイントが完璧にわかっていて、計ったようにインザーギもそこに飛び込んできます。そして今回もビリンデッリに見事に競り勝ったインザーギ。しかし惜しくもわずかにクロスバーを越えました。
その直後にもインザーギがゴール前でモンテーロを背負った状態でパスを受け、振り向きざまにシュートを狙いましたが、ここはさすがモンテーロ、見事に体に当てました。
42分にはミランはルイ・コスタに替えアンブロジーニ投入。これで両チーム交代枠は使い切りました。
ここからは延長の前後半30分も含め特に書くこともなし。まさに“イタリアらしい”展開。自分はビデオで後日観ましたが、ライブで観ていた方はここらへんで“落ちた”可能性が・・・。
そして勝負はPK戦へ。ミランはチームのPKキッカーであるピルロとルイ・コスタはすでにベンチ。そしてユーベのキーパーはなんといってもブッフォン。ユーベ有利か!?それでも、特にタファレルは凄すぎましたが、なぜかPKに強いのがブラジルのGK。
そして案の定4人目まででブッフォンが2人を止めたのに対し、なんとヂダは3人をシャットアウト。それでも一番凄かったのはミランの2人目セードルフのキックを止めたブッフォンのセーブ。セードルフのキックはコースも速さも完璧。それでも完璧でも決めさせないのがブッフォン。またしてもスーパーなセーブ。それでも今回はヂダの方に少しだけ運があったということでしょう。
そして勝負は5人目に。ユーベはこの人が外したなら仕方がないデル・ピエロ。バッジョにしろデル・ピエロにしろ、なぜこんなところでいつも回ってくるのでしょう。それでも今や円熟に域に達しつつあるデル・ピエロ、相当なプレッシャーだったでしょうがなんなく決めました。
そしてそして、ミランが最後を託したのはシェフチェンコでした。完全なゴールを取り消されたシェフチェンコ、やっぱり最後にはまた彼のところに回ってくる巡り合わせだったのでしょう。ゴ~~~ル!!
シェフチェンコ、ワールドクラスのFWでありながら、ウクライナに生まれたばかりにW杯の大舞台には縁がありませんが(それでも前回はプレーオフまで行きましたが)、初のビッグタイトル。「僕の人生で最も重要なゴールになった。そして、もっとも重要なトロフィーだ。」と喜びを爆発させました。
そしてルイ・コスタ。彼も初のビッグタイトル。ゲームメーカーとしてはジダンと双璧のレベルにありながら、実績ではあまりにも差をつけられていたルイ・コスタ。これで彼もついに頂点に。おめでとうルイ・コスタ!!
そして1993-1994年シーズン以来6回目の優勝を果たしたミランですが、触れなければならないのはなんといってもセードルフでしょう。1995年にはアヤックス、1998年にはレアル・マドリーでもチャンピオンズリーグを制覇している彼にとって、今回は3チーム目での制覇。これは史上初の快挙。
そして現役時代にも2度チャンピオンズカップを獲得しているアンチェロッティ、彼は選手と監督の両方でチャンピオンズリーグを制した史上4人目の監督に。
とどめはマルディーニ。ちょうど40年前の1963年のチャンピオンズカップで優勝したミランの主将を務めていたのが父親のあのチェーザレ・マルディーニ。親子とも主将としてチャンピオンズリーグ制覇。これまた歴史に名を残すでしょう。
というわけで記録尽くめのミランの優勝で幕を閉じた今年のチャンピオンズリーグ。これでまた「グランデ・ミラン」の時代が訪れるのでしょうか。否、インテルがそんなことはさせない!!と強気で言えないところがインテリスタの悲しいところ・・・。これでやっとクーペルが解任されてあのつまらないサッカーともおさらばかと思っていたところ、ここにきて残留の目が。あちゃー。来年もまたあのつまらないサッカー・・・。メンバーはどこよりも揃っているんですけどね。
でも、これくらいでめげていたらインテリスタはやっていけません。レコバ、ヴィエリ、クレスポ、エムレ、カンナヴァーロ、トルド、そして何よりモラッティ、みんな頼むぞ~!!そして、準決勝で見せたコルドバの涙。あの悔しさを忘れないかぎり、“来年こそ”やってくれるでしょう。
そして最後に、チャンピオンズリーグの放送権が来年からスカパーに。WOWOWの関係者の皆様長い間お疲れ様でした。