No.62 リーガ・エスパニョーラの実力

レアル・マドリーが完勝したトヨタカップ。今回はこの試合について書こうと思っていましたが、この試合自体は、確かにマドリーのパス回しは見ていて惚れ惚れするほどでしたし、ロナウドもさすが大一番での決定力を見せてくれたなど、十分に楽しめましたが、それ以上に痛感してしまったのがオリンピアとの実力差。そしてリーガ・エスパニョーラのレベルの高さでした。

オリンピアについては、全選手の年俸を足してもフィーゴ1人の年俸に敵わないのですから、仕方ないといえば仕方ないんですが、トヨタカップが仮にも“クラブ世界一決定戦”を名乗るなら、とてもじゃありませんが、世界一を争うような試合ではありません。

確かにオリンピアにも決定機は何度かあり、失点直後のポストを直撃したシュート、カシージャスが完全な一対一を防いだシーンなどなど、あれが入っていれば展開は少しは違っていたでしょうが、それでも実力差は誰の目にも明らかでした。

確かにマドリーのパス回しは溜息が出るほどでしたが、あれだけ相手のプレッシャーが弱ければマドリーの選手たちならあれくらいは軽々と回せます。オリンピアの選手たちは最後にゴール前でクリアすればいいという感じでそれまでは自由に持たせていましたが、リーガ・エスパニョーラだったら、下位チーム相手でもあんなにパスは回させてくれません。セリエAの激しい当たり、身を削るようなタックルとはまた違いますが、プレッシャーのかけ方はそれでもオリンピアの比ではありません。

そして、楽々とパスを回すのを見ているのも確かに楽しいですが、あれではあまりに張り合いがなさすぎで、相手の厳しいプレッシャー、普通ならボールを奪われてしまうようなプレッシャーの中、それでも紙一重のところでパスをつないでしまうマドリー、そっちを見ている方が遥かに楽しいです。そしてリーガでは、ホームゲームならマドリー相手にそのようなプレッシャーをかけられるチームは何チームもあります。

セリエAが世界最強リーグと呼ばれていたのは今では完全に過去の話で、リーガこそ最高峰ということに誰も異論はないと思いますが、それはイタリア勢がチャンピオンズリーグでここ数年成績を残せていないということから言われますが、もっと単純に、いろんなリーグの試合が見れる中で、気がついたらいつもリーガの試合を見ているということからも明白です。

なぜならセリエAではビッグクラブ同士の試合、例えばミラノダービーやイタリアダービー、ローマダービーなどは確かにすごく白熱して見ていて楽しいですが、インテルやユベントスやミランと格下チーム相手の試合など見るに値しません。

もちろん格上チームの選手の素晴らしい個人技など、随所に見所はありますが、とても90分間続けて見ようとは思えません。なぜなら単純につまらないからです。

格下チームはホームゲームにも関わらずガチガチに守備を固め、カウンターからの得点でなんとか1-0の試合を狙います。そしていかにインテルやミランといえどほぼ全員でガチガチに固めた守備から点を取るのは容易ではありません。それでもその守備を破って点を取ることはありますが、ガチガチに守備を固めた試合など見ていて面白くもなんともありません。

イタリアではDFとFWに超一流の選手は育ってもMFには育たないというのもここからわかるんですが、イタリアでは代表のスタメンクラスのMFでさえ、汗かきタイプで守備は一流、しかし攻撃については、一発のプレーで試合の流れを変えるようなファンタジー溢れるセンスを見せる選手はトッティくらいのものです。

しかし守備を固めて一発のカウンターで点を取ることしか考えていないセリエAにあっては、屈強なDFと数少ない決定機を確実に決めてくるFWがいれば十分で、MFが相手を崩すなどということは必要とされていません。

これはインテルでさえそうです。そんなセリエAだからこそ、今年のミランのサッカーは衝撃をもって迎えられたのです。ピルロ、ルイ・コスタ、セードルフ、皆一発のプレーで相手を陥れることができる、稀有な攻撃的センスを持った選手たちです。

しかし今までのミランなら、彼らはポジションがかぶって1人しかピッチに立てなかったでしょう。それが3人とも同時にピッチに立っているのです。これはセリエAにとってはほんとに画期的なことでした。そしてこれが失敗に終わればそれまででしたが、ちゃんと結果も伴っています。

しかし、今のところアグレッシブな攻撃的サッカーを展開しているのは、このミランと昨年に引き続きセリエAに旋風を巻き起こしているキエーボくらいのもので、インテルも余りあるタレントを要しながら相変わらずクーペルはつまらないサッカーをしています。世界のどの監督も羨むタレントを揃えながら、なぜ守備的に行かなければならないんでしょうか。確かにモルフェオもダルマも超一流とまではいかずルイ・コスタクラスのゲームメーカーが欲しいところですが、仮にルイ・コスタがいてもクーペルは彼を重用はしないでしょう。クーペルのサッカーにトップ下は必要ないからです。2人の守備的MFと両サイド、それだけです。

そんなわけでセリエAは一部のビッグマッチを除いて見るに値しません。まだプレミアリーグの方が十分に楽しめます。

しかしリーガ・エスパニョーラはその上をいっていて、まず下位チームでも、マドリーやバルサを相手にしても、ホームゲームなら間違いなく“勝ちに”行きます。

そして1点を先制したとして、その1点を守りに入るようなこともありません。セリエAなら格下チームが運良く1点取ったら、さらにこれでもかというくらい守備を固めてその1点を守りにいくでしょう。しかし、リーガでそんなことをしようものならスタンドから大ブーイングが飛んできます。マドリー相手にリードしているにも関わらず、2点目を取りに行かない選手たちにホームのサポーターからブーイングが起きるのです。このようなこともセリエAでは考えられません。そして2点目を取りに行って取ってしまうだけの底力もあります。

今シーズンでも、今季2部から昇格したラシン・サンタンデールがホームでマドリーを2-0と完封しています。そしてその勝ち方も守備を固めてカウンターから2点ではなく、立ち上がりからマドリーを攻め立て、完全に試合を支配した上での2-0です。昇格チームでさえマドリー相手にこのような試合ができます。

そしてスペインダービークラスの試合でなくても、例えばベティスVSマラガなんていう対戦もこれほど面白い対戦はありません。下手したらイタリアダービーぐらい楽しめます。

他にも見たい対戦は山ほどあって、時間の都合上全部見ることはできませんが、週に2、3カードは見たいカードがあります。セリエAなど、ビッグクラブ同士のビッグマッチがある週以外は特に見たいという気にはなりません。

そしてトヨタカップのことを“世界一決定戦”とはとても呼べないと書きましたが、今シーズンここまで見た限りでは、“世界一決定戦”の名に相応しい最高峰の戦いは、このサッカー日記でもNO.51『世界最高峰の闘い』に書きましたベティスVSマドリーでしょう。

トヨタカップであの素晴らしいパス回しを見せたマドリーを、自陣から一歩も出さないくらい30分以上自陣に釘付けにし、完全にサンドバック状態。しかもそれをやってのけたのが宿敵バルセロナでもなく、最近リーガ優勝を飾ったデポルティボでもバレンシアでもなく、今季チャンピオンズリーグにさえ出場していないベティスなのです。これだけでもリーガのレベルの高さはよくわかります。

さらに、今シーズンバルセロナはチャンピオンズリーグで歴史的な快進撃を続けていますが、リーガでは10位と低迷。なぜ!?といろいろなところで言われていますが、理由は簡単で、チャンピオンズリーグの1次リーグレベルではリーガより相手が弱いだけ。リーガでは前節も首位に立つレアル・ソシエダに完敗しました。

そして“世界最強”マドリーもリーガでは現在4勝6分1敗で首位に勝ち点差8をつけられての7位。確かに信じられないような過密日程をこなしており、首位に立つソシエダなどはリーガに専念できていることなどから一概には言えませんが、その分戦力も半端ではないわけで、ハンデは五分五分といったところでしょう。トヨタカップであれだけの試合を見せられたらリーグ戦でも当然首位どころか大苦戦しているわけで、リーガ・エスパニョーラほんとに見ていて最高です。

話をトヨタカップに戻しますと、確かに少し前までは見ていてワクワクするような対戦がありました。鮮明に記憶に残っているのはACミランVSサンパウロFC。ミランはGKロッシ以下、DFラインには右からパヌッチ、コスタクルタ、バレージ、マルディーニと綻びを見せる前のカテナチオが立ちはだかり、その前にはデサイー、そしてツートップはマッサーロにパパン!

対するサンパウロFCも黄金の中盤の1人トニーニョ・セレーゾ、さらにミューレル、ジュニーニョなどなど。

しかし、南米の名だたる選手がことごとく欧州に移籍し、2年前マドリーを破ったボカの司令塔リケルメもバルサに移籍。サビオラ、アイマール、カンビアッソなどアルゼンチンの時代を担うスーパースター達も次々とヨーロッパへ来た今、残っているダレッサンドロなども移籍は時間の問題でしょうし、残念ながらクラブチームレベルでは南米と欧州の差は広がる一方です。

トヨタカップも今の形での開催に疑問が持たれているため、あと何年開催されるかはわかりませんが、日本のファンにとっては普段見れない選手が見れるというだけでも十分に価値あり。自分も来年マンUが来日したら何が何でも行きます。しかし残念ながらトヨタカップにそれ以上の価値はありません。南米にとってはプライドを賭けた戦いになっているようですが、ヨーロッパにしてみればそれほどのタイトルでもないようです。

そして何も“クラブ世界一決定戦”は年に1回日本で見れるだけではなくて、リーガ・エスパニョーラではそれより遥かにレベルの高い試合が毎週のように見れますので、ぜひお見逃しなく!

さらにそのリーガ勢が4チームとも残っているチャンピオンズリーグ。これは間違いなく世界最高峰のリーグで、マドリー、バルサ、デポルティボ、バレンシアというリーガ勢に加え、ユベントス、ミラン、インテル、ローマのイタリアビッグ4、さらにマンU、アーセナルのイングランドビッグ2などなど、W杯よりもレベルが高いというのも頷けるくらいの豪華なメンバーが残っています。こちらもこれからいよいよ佳境に入っていきます。

そして前節はいきなりACミランVSレアル・マドリーという頂上対決がありましたが、次節もアーセナルVSバレンシア、マンチェスター・ユナイテッドVSデポルティボという大一番が控えています。こちらも必見です!

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