まずは、前々回に、バラックとノイビルを欠く・・・と書きましたが、その後ノイビルに間違って出されたイエローカードの撤回がちゃんと認められたようで、ノイビルは無事出場。失礼しました。
試合は、圧倒的に攻めるブラジルと、耐えながら1点を狙うドイツと思っていましたが、始まってみれば、攻勢に出たのはドイツ。バラックがいない分、シュナイダーが右に左に縦横無尽の活躍ぶりでした。レバークーゼンでもノイビル、バラックらと、最高に楽しい攻撃サッカーを見せてくれたシュナイダー、今やワールドクラスのサイドアタッカーと言ってもいいでしょう。ライン際での相手との1対1でのドリブル、そしてクロスボールの精度に至ってはベッカムと比べても何の遜色もありません。
バラックの代わりにボランチに入ったのは「マシーン」イェレミース。「マシーン」とは誰も言ってませんが、自分が勝手に呼んでいるだけです。昔は長髪をなびかせ、まさに「マシーン」ともいえる無尽蔵の運動量と、闘志を前面に出したシメオネ顔負けの「ヒットマン」ぶりも披露していたイェレミース。シメオネ同様彼も大人になったのか、黙々と仕事をこなす彼でした。コーナーキックからの完全にフリーでのヘディングは惜しかったです・・・。
そして、最近あまり聞かなくなった「リベロ」を引き継ぐ男ラメロウ。これまたレバークーゼンの選手ですが、レバークーゼンほんとうにいい選手揃ってます。日本で言えば宮本が相手ペナルティーエリア付近に頻繁に顔を出すようなもので、そこまで上がるかよという上がりを連発。リンケ、メツェルダーがしっかりしてるとはいえ、相変わらず楽しませてくれる上がりです。ブラジルのルシオもよく敵陣深く突入していきますが、彼もまたレバークーゼン。チーム自体が3点取られても4点取って勝てという戦術だからでしょうか(チャンピオンズリーグでリバプールを4-2で破った試合が象徴的)、DFなのにみんな攻撃大好きです(笑)
そんなドイツ優勢のなか、ロナウジーニョからロナウドへ通った1本のスルーパス。相変わらず凄いところを通します。大好きなルイ・コスタもびっくりの完璧なスルーパスでした。
しかし、完璧なプレーをしてもまだゴールを割らせないのがカーンです。前半のロナウドとの一騎打ちをことごとくシャットアウト。そんなカーンも「やられた!」と心の中で叫んだであろうクレーベルソンのシュートも、今度はバーがカーンの味方に。ただでさえ鉄壁なのに、バーまで味方につけたら神の手ゴールでもしない限り入らないんじゃないか、そう思わせながら前半終了。
後半、このコーナーでも我がマンチェスターUの天敵ということで何度も登場していますノイビル、ロベルト・カルロス顔負けのFKからの弾丸シュート。ロベルト・カルロスは信じられないくらいの太ももをしていますが、ノイビルはそんなこともありません。あの小さな体のどこにあれほどの力が秘められているんでしょうか。チャンピオンズリーグでやられた時、敵ながらあっぱれと思いましたが、最近ますます自分の中でのノイビルの株は急上昇中です。
そして、バーをも味方につけ、もはや誰も破れないと思われたカーンを破ったのは、他でもないカーン自身のミスでした。今まで完全に死んでいたリバウドのシュートも確かに見事でしたが、カーンなら取れないボールではありませんでした。やはりその前に痛めたように見えた手の具合がよくなかったんでしょうか。
2点目は、決めた方を褒めるしかありません。ドイツにとって不運だったのは最後にカバーにきたのが、アサモアだったこと。ハマンあたりだったら止めていたかもしれません。
そして、そのまま試合は2-0でブラジル勝利。守備が弱い弱いと言われながらもこの試合も見事完封。確かに、組織的な守備というよりは個人技に頼りがちなところもありますが、みんなヨーロッパで活躍している3バック。高さのドイツに対して空中戦で負けることもなく、1対1は抜群の強さでした。
ドイツは、あれだけセットプレーをたくさんもらいながら、いまいち迫力に欠け、結局一度もチャンスを生かせなかったのは、やっぱりバラックの欠場が痛すぎました。レバークーゼンでも、代表でも、ここ一番では必ず点を決めてきたバラック。ブラジルで言えばロナウドが欠場するようなもので、前も書きましたが、決勝戦だけはほんとにベストメンバーで戦わせてあげたいです。
それにしても、解説の岡田氏が「指導者ってなんなんだろう」と嘆いていたように、ドイツにロナウドがいたら結果は逆になっていたとも言え、ずば抜けた個人技がすべてを凌駕する結果に。朝日新聞でもクライフ氏が、「世界のサッカー界のためにはブラジルが優勝することはいいことではない。なぜなら他の国がブラジルの真似をしようとしてもどこもできないからだ」と述べていましたが、それも一理あります。
でも、見ている方としてはブラジルのサッカーはほんとに面白いです。イングランドが1点取った途端全員で守りに入るような試合よりは遥かに面白いですし、象徴的な試合はセネガル対スウェーデンでしたが、最強の組織力もたった一人の個人技の前ではなすすべもなしというのも、間違いなくサッカーの魅力の一つです。
確かに、どこもブラジルの真似はできないでしょうが、面白さは別として、ただ勝つためだったら、1994年大会のアメリカ大会の決勝のように、当時のあのブラジルをもイタリアはちゃんと完封してみせたのです。PK戦はただ勝者を決めるための手続きで、公式記録上はあの決勝は引き分け、イタリアは負けてはいないのです。運だけがありませんでした。もちろんバレージという最高の選手はいましたが。
そして、組織力が個人技に勝てない時もあれば、スウェーデン対アルゼンチンのように、組織が個人技を凌駕することだってちゃんとあるわけです。
イタリアがまだまだ懲りずに1-0を至上としているように、国それぞれ目指すサッカーは違って当然。
ブラジルが個を捨てた組織プレーをしても、面白くもなんともないでしょう。
そういう意味では、クライフ氏の指摘は一理ありますが、やはりどこかおかしいと思います。
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