No.50 アンダルシアダービー~第1幕~

今回の試合は、規模・レベルではスペインダービーには大きく及ばないものの、熱さならスペイン一とも言われるアンダルシアダービー、セビージャVSベティス、舞台はセビージャのホームスタジアムラモン・サンチェス・ピスファン。
最近のベティスの快進撃、セビージャファンが面白いはずがありません。スタジアムは開始前から発煙筒あり、逮捕される者ありと、早くも臨戦態勢。

試合は、バルサを3-0で一蹴した勢いそのままにベティスが完全に優勢。
セビージャは極度の得点力不足に悩まされていることもあり、攻撃にまったくといっていいほど迫力がありません。それに加えベティスの前線からのプレッシャーのかけ方が完璧で、相手陣ハーフウェイあたりで早くも囲みにかかるため、セビージャとしてはパスの出しどころがありません。

そんな試合内容に怒りが収まらなかったのか、スタンドから怪しい人影が・・・。素晴らしいスピードとはいきませんでしたが、うまく警備の目を盗んでピッチに走りこんできたこの男、なんとベティスGKプラッツに飛びかかりました。
しかし、プレーでも素晴らしいセーブを連発し、落ち着いたセービングを見せるプラッツ、シュートだけでなく暴漢も落ち着いて処理。まったく動揺は見られませんでした。

乱入者も虚しく、先制したのはベティス。バルセロナ戦でも見せました一撃必殺のカウンターアタック。相手ボールを奪ってからがほんとに速いです。1人がスピード溢れるドリブルで駆け上がってみんながついていくというのではなく、人数をかけて雪崩のように押し上がっていきます。
今回も、自陣から一気に駆け上がったかと思うと、カピから左のデニウソンに渡り、折り返したところをホアキンがヘディングでゲット!文句なしのカウンターアタックでした。

カウンターアタックといえば、数年前のバレンシアのカウンターアタックはまさに稲妻でした。メンディエタからクラウディオ・ロペスへというその稲妻のような一撃は、想像を絶していました。スピードではあのカウンターアタックに譲りますが、ベティスのそれも決定力という点では負けていません。

一方セビージャは、攻撃に移ったときに勝負になったのは右サイドのガジャルドだけ。これでは点は入りません。

しかし、ベティスは先制し、しかも一方的な展開のため集中力が切れてしまったのか、後半は一気に内容が落ち、セビージャも攻撃の形が作れるように。この日一番の決定機は、右サイドからのボールを誰かわかりませんでしたがシュートしたボールは惜しくもポストに、跳ね返ったところをレジェスがシュートしましたが、今度はバーを直撃。運に見放されましたセビージャ。

しかし、今度はアントニートからレジェスとつないでレジェスが左サイドをえぐって折り返し。ゴール前人数が揃っていたセビージャでしたが、ゴールに流し込んだのはベティスDFファニート、痛恨のオウンゴールでした。

その後、ベティスはアルフォンソの見事なヒールパスからカピが決定的なシュートを放ちましたが、これはセビージャGKノタリオがスーパーセーブ。

ベティスは、2日後に迫っているマドリー戦のために休ませるためかデニウソン、アルフォンソを交代させ、引き分けで十分というモチベーション。
一方セビージャも、今の戦力比較からは負けなければよしという感じで、お互いに2点目を取りにいく気迫が見られず退屈な試合に。

そんな中、唯一の楽しみはこの前必見と書きましたマルコス・アスンソンのFK。今日いい位置からのチャンスは3回ありましたが、得点には至りませんでしたが3本とも文句なしの精度。特に3本目は惜しくもサイドネットでした。速い上に一気に落ちる彼のボール、ベッカム、バッジョ、俊輔などの美しい曲線とはまた違います。どちらかといえばこの前のデル・ピエロの一撃と曲線が似ています。

アスンソンはFKだけでなく、ほとんどの攻撃が彼を経由するように、彼のところにボールが渡るとほんとに落ち着きます。しかも長いこと持つのではなく、ワンタッチでチームにとって一番いい所にはたきます。こんな選手が1人いるかいないかで、チームはほんとにがらっと変わってしまいます。献身的な守備も文句なしです。
そのため彼にかかる負担が大きすぎて疲れが心配ですが、ベティスの快進撃を支えているMVPは間違いなくアスンソンです。よくローマが出したなとつくづく思いますが、ベティスにとっては最高の補強でした。

試合はそのまま1-1のドロー。ベティスこれまで錚々たる顔ぶれと戦って最高の試合を見せてきましたが、相手のレベルが落ちるとそれに合わせてしまうんでしょうか。
今日も前半45分は素晴らしかったですが、後半はまったく別のチームというほどひどい内容でした。倉敷さんは「勝ち慣れてない」とおっしゃっていましたが、その通りかもしれません。
でも、こういう試合で確実に勝ち点3を取っていかないと、4強に食い込むにはもう一歩となってしまいます。どんな相手でもモチベーション十分に戦えるようになるのが、これからのベティスの課題のようです。

そして、明日の深夜には、いよいよベティスVSマドリーの残り47分が行われます。マドリーはロナウドが出れるんでしょうか。2節の段階では彼は登録されていなかったわけで、出てくるのは反則なような気がしますが、彼が出てくればこの大一番がより盛り上がるのは間違いありません。
それでも、ベティスとしてはいくら1点リードしているとはいえ、ロナウドに出てこられると少しつらいかなという気がします。守備陣がとてもじゃありませんが一流とはいかないのでマドリーの猛攻にどこまで耐えられるかが鍵でしょう。
一番の注目は、ホアキンVSロベルト・カルロス、ホアキンにぶっちぎって欲しいです。頑張れベティス!

サッカー日記の最新記事4件