No.24 再び奇跡が起きたが・・・

これぞ決勝トーナメント、これぞワールドカップという、鳥肌を通り越して涙さえ出てきそうな試合。
ドイツ戦で地獄の底から這い上がってきたアイルランド。どんなことがあっても折れない尋常でない精神力を武器に、今や怖いものは何一つないアイルランド。無敵艦隊スペインに挑みました。

先日の日記に負け続けているのになぜ無敵艦隊!?と書いたスペインですが、今大会のスペインはその名に恥じない戦いぶり。3戦全勝で予選を突破し、相変わらず攻撃陣が猛攻を見せつけています。

試合開始早々スペインが先制。精神力だけではどうしようもない圧倒的な力の前に粉砕されるのかと思った方が間違いで、一点ぐらいではびくともしないのがアイルランドでした。
特に、この大会に入って一気にお気に入りの一人となったダフ、いいです彼のドリブル。お気に入りギグスとはまたタイプの違うドリブラー。ギグスのようにスピードで一気に置き去りにするという抜き方とも違い、フィーゴのように技でかわすというタイプでもありません。でもDFは止められません。一言で言えばキレがあります。キャプテン翼のカミソリタックルならぬカミソリドリブルといったところでしょうか。ほんとに見ていて惚れ惚れする切れ味です。

後半、そのダフのドリブルからPKをゲット。蹴るのはご存知プレースキックのスペシャリスト、イアン・ハート。信じられないな直接FKを叩き込む彼ですが、壁があって初めてその左足は本領を発揮するのでしょうか、壁のないこの状況ではダメでした。
でも、個人的な記憶ではカシージャスはチャンピオンズリーグなどでもPKには抜群に強かったような気がします。なんせ反射神経のかたまりのような彼ですから、多少甘いキックなら簡単に反応します。イアン・ハートのキックは彼からしたら甘すぎるボールでした。

普通ならここでがっかりするところですが、そこはそんなやわではないアイルランド。気落ちするどころか、さらに猛攻を仕掛けました。
スペインはモリエンテスを下げたのが失敗で、ラウル1人で恐怖を感じなくなったアイルランドはますます前がかり。

そして、ドイツ戦のリプレイを見るかのようなクイン~ロビー・キーンの伝家の宝刀。これはカシージャスの真空飛び膝蹴りの前に破られました。前にも書きましたが、このカシージャス、凡ミスもしますが神懸かりセーブも連発します。

さすがのアイルランドもここまでかと思われた試合終了直前、よく見てました審判。空中戦で無敵を誇るクインを防ぐためにはああするしかなく、あの場面以外にも何度もやっていたでしょうが、一番肝心な場面で審判にばれてしまいましたイエロ。

今度のキッカーはロビー・キーン。彼の右足には何かが乗り移っています、イアン・ハートの時とは違ってなんだか入る気がしていました。

そして、延長に入ってスペインが何と1人足りません。3人交代してしまったベンチのミスで怪我人を代えられないのです。これはもらったと思わず叫んだものの、さすがのアイルランドも精神力は相変わらず持続していましたが、足がついていきませんでした。全く攻め手がないスペインに対して攻めはするものの、明らかにスピードが落ちていて迫力に欠けました。

試合は、スペインの狙い通りにPK戦へ。神を味方につけたのは神懸かりキーパーカシージャスでした。そこまで止めるかよというくらい完璧にシャットアウト。
しかし、3人連続失敗して普通ならここで完全に終わりなところで、そこが他とは違うチーム自体が神懸かっているアイルランド。
なんとスペインも連続して失敗。終了間際に追いつくのは朝飯前で、伝説はここから始まるのか、そしてアイルランド5人目が成功し、伝説が幕を開ける準備はすべて整いました・・・。

その伝説を夢で終わらせたのはこちらもご存知メンディエタ。バレンシア時代の彼はほんとに最高のプレーを連発していたものの、ラツィオに行った途端輝きを失い、代表でのスタメンまでも奪われ、この前やっと直接FKを叩き込みやっと本領を発揮しつつあったメンディエタ。最後にものをいったのは彼の経験でした。

それにしてもほんとに凄まじかったアイルランド。司馬遼太郎氏が街道をゆくシリーズでアイルランドを扱ったもので、「アイルランド人は、客観的には百敗の民である。が、主観的には不敗だとおもっている。」と彼らの気質を表現していましたが、まさにその言葉通りの尋常でない精神力を見せつけてくれました。
正直、ロイ・キーンを欠いた時点で予選敗退だと思っていましたが、以前日記にも書いたように、なめていたことを謝らなければなりません。ロイ・キーンがアイルランド人なら、他の22人も同じようにアイルランド人。並みの精神力なわけがありませんでした。この精神力を生んだ土壌とはどのような所なのか、ぜひアイルランドを訪れて、肌で感じてみたいです。

もう1試合は、これまた注目のスウェーデンVSセネガル。確かにアフリカのチームに似合わず組織力も備えていますが、基本的には抜群の個人技に基礎を置くアフリカ勢の中ただ1チーム残ったセネガル。
一方、組織力の権化スウェーデン。大袈裟に言えば今後のサッカー界の流れにさえ影響を及ぼしそうな注目の一戦。

先制したのはスウェーデン。鉄壁、言葉通りほんとに鉄壁の守備を誇るスウェーデンなだけに、この先制点はあまりにも大きいです。

しかし、完璧な組織力も鉄壁の守備陣も、組織対組織では鉄壁を誇るものの、1対1でやられたら負けるのもサッカー。
その1対1で、スウェーデン選手に勝つ技とスピードがセネガルの選手にはありました。アンリ・カマラ、ディウフの2人、ほんとにすごいです。人間離れしています。
イングランドもアルゼンチンも破れなかった鉄壁の守備陣から、なんと2点を取って逆転してしまいました。紛れもなく本物です。

明暗を分けたのは、今大会活躍目覚しいゴールポスト。スウェーデンのシュートは当たって外に弾かれましたが、セネガルのシュートは中に転がりました・・・。

これで、セネガルはアフリカの夢を背負いベスト8に進出。次の相手は我が日本のはず!?フラット3の真価が問われる時が来ました。前述の2人は並みの選手ではありません。個人技で勝つのは至難の業でしょう。
しかし、スウェーデンにがちがちに固められるよりは日本が点を入れるチャンスが多いのも事実。下手に守りに入るよりも乱打戦に持ち込んだほうが勝ち目は大きいかもしれません。もちろんトルコが先ですが・・・。

明日は、お気に入りアズーリ出陣。ポルトガルとの夢の対戦を阻んだ韓国を完膚なきまでに叩きのめしてくれることを祈っていますが、韓国の実力も本物。
またもやデルピエロがアズーリを救ってくれることを祈りつつ・・・。

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