No.46 ピッポ~!

まず初めにピッポとは、ACミランのイタリア代表フィリッポ・インザーギの愛称です。今回の話題は、チャンピオンズリーグ第3節、見た試合はバイエルン・ミュンヘンVSACミランです。ファイナルとまではいかないまでも、セミファイナルくらいで当たっても全然おかしくない好カード。
すでに勝ち点6でしかもミュンヘンでの試合ということで引き分けでも十分なミランと、引き分けでもかなり苦しくなるため必勝体勢のバイエルン、大一番となりました。スタンドにはベッケンヴァウアー、ゲルト・ミュラーの顔も見えました。

さて、バイエルンのスタメンはカーン、ロベルト・コバチ、リンケ、タルナト、サリハミジッチ、ハーグリーヴス、イェレミース、バラック、ゼ・ロベルト、エウベル、ピサッロ。ショルとダイスラーを欠いているため、中盤がイマイチといえばイマイチですが、素晴らしい顔ぶれであることは間違いありません。
それでも、ショルがいないのはやはり大きくて、彼がいないと攻撃にアクセントが効きません。バラックが入ったため彼にかなり期待できますが、バラックはボランチの位置から飛び出していってこそ威力のある選手、ショルがいるといないでは、バイエルンでもドイツ代表でもかなり違ってしまいます。

一方ミランは、ジーダ、シミッチ、ネスタ、マルディーニ、カラーゼ、ピルロ、ガットゥーゾ、セードルフ、ルイ・コスタ、インザーギ、リヴァウド。こちらは最近の固定されたメンバーです。攻撃陣の顔ぶれはほんとに凄いです。

試合の方は、お互いに前線からの守備が素晴らしく、ボールを持って前を向くのさえ一苦労という試合。ミランは守備は素晴らしかったですが、前半はシュートさえ打てない状態で、バイエルン攻勢、それでもバイエルンの方も、見せ場はバラックの素晴らしいボレーシュート(ジーダの好セーブでわずかに左に外れる)と、ハーグリーヴスのシュートをジーダが弾いたところをエウベルが詰めてフリーを外してしまったシュート(でもこれはオフサイド)くらい。

バイエルンの方は何が何でも負けられないという気迫がいまいち感じられませんでした。ここ一番のバイエルンというのはほんとに尋常ならぬ精神力を見せてくれますが、今回の試合ではそれが見られませんでした。
ミランの方では、リヴァウドの動きが最悪で、多少無理をして出ていたようですが、あのレベルの動きだったらトマソンを出した方が遥かにマシというレベルでした。

後半、まったくダメだったリヴァウドがこの試合唯一とも言える仕事をしました。52分、セードルフからのボールをワンツーで返したのがリヴァウド、この時点ですでに勝負あり、あとはセードルフからのパスをインザーギが楽々ゲット。インザーギほんとにいいポジションにいます。ゴール前の嗅覚という点では世界でも間違いなく5本の指には入ります。
毎試合のように大量のオフサイドにかかる彼ですが、100回オフサイドにかかっても101回目に1点取ればいいというのが彼のスタイル、DFにとってはこれほど嫌なFWはいません。オフサイドトラップが百発百中で決まるわけはありませんし、1回でも失敗しようものならインザーギの思うつぼです。

DFにとって一番嫌なのは、この前書いたコバチェビッチのように有無を言わさず“ぶち込んで”くるタイプと、インザーギのようにどんな時も相手の背後を狙っているタイプ。
しかも、後者の中ではインザーギはずば抜けているような気がします。

しかし、ミラン先制のわずか2分後、バイエルンも黙っていませんでした。右サイドでサリハミジッチがピルロを軽くかわして素晴らしいクロス、決めたのはピサッロ。ネスタも競っていましたが、ネスタの頭一つ上をいってました。あんなに完璧に競り負けるネスタは初めて見ました。これはピサッロの高さが1枚上手でした。

この後ミランは、精彩を欠くリヴァウドに代わってアンブロジーニを投入、そしてこれまたイマイチのピルロに代えてセルジーニョを投入。このセルジーニョ投入が結果的には当たりました。試合終了も差し迫った84分、左タッチライン際でセードルフからのヒールキックを受けて攻め上がったのがセルジーニョ、そして彼からのクロスに二アサイドで飛び込んで試合を決めたのはまたしてもインザーギでした。カーンがどうすることもできない完璧なゴール。インザーギいよいよ神懸ってきました。3試合でなんと7得点、昨年のチャンピオンズリーグの得点王は確か10点だったと思うので、1次リーグですでに並んでしまうかもしれません。

それでも、昨年もインザーギが落ちていくのと一緒に落ちていったミラン、今年も彼がいなくなってしまったらという不安がよぎりますが、彼が怪我で抜けてもその頃にはシェフチェンコが帰ってきていて、彼もダメでもまだトマソンにリヴァウドがいます、そしてその頃にはまたインザーギが帰ってきているでしょう。FW陣に関しては穴はありません。

不安は、不動のDFラインに代えがきかないこと。それでもネスタとマルディーニがいる間は安泰でしょう。これでミランはなんとリアソールに続いてミュンヘンまでも陥落させてしまいました。死のGグループでなんと文句なしの勝ち点9、マジで強いです。ミラニスタの皆さんおめでとうございます。インテリスタは・・・。

さて、その他の試合の結果ですが、これで半分の3試合が終了しました。まずは1日目から。

E組では、フェイエノールトはディナモ・キエフと引き分けてなんとか2位を確保。ニューカッスルに2-0で勝ったユーヴェが勝ち点7でトップ。ニューカッスルは勝ち点0で上位3チームの争いに絞られました。

F組では、我らがマンチェスターUがオリンピアコスに4-0で快勝。お気に入りギグスが2得点、あとはベロンとスールシャールでした。この前も書きましたが、スコールズ1人入っただけで一気に攻撃にリズムが出てきました。あんなに点が取れなかったのに今回も4得点。快調です。
もう1試合は、レヴァークーゼンがアウェーでマッカビ・ハイファに0-2で勝利。絶不調だったレヴァークーゼンでしたが、ブンデスリーガでバイエルンに勝って調子が出てきたんでしょうか。
この組は、マンUが勝ち点9のダントツで、残り3チームが勝ち点3で並びました。マンUは3試合で得点11、いい感じです。

G組もう1試合では、デポルティボがランスに3-1で勝利。ここが引き分けてくれるとバイエルンにも望みが残ったんですが、これでデポルティボとバイエルンの勝ち点差は5。バイエルンはランス戦以外はどちらもアウェー。しかもサンシーロにリアソールです。まさに崖っぷちに立たされました。

H組では、バルセロナがアウェーでロコモティフ・モスクワに1-3で勝利。クライファートが1点にサビオラが2点。相変わらずこの2人が頑張っています。
もう1試合は、ガラタサライがホームでクラブ・ブルージュとスコアレスドロー、ガラタサライこれは勝ち点3が欲しかったところでしょう。
結果、バルサが勝ち点9のダントツで、ガラタサライが頭一つリードという形となりました。

2日目に入って、まずはA組、アーセナルがアウェーでオーゼールに0-1で勝利。アウェーでも勝てるようになってきましたアーセナル。プレミアのアウェーでは無敵でも、国外に出るとまったく駄目だったアーセナルですが、今年はさすがに違うようです。エランド・ロードでリーズを1-4で粉砕できるようなチームなので、国外でも勝って当然なんですが・・・。
もう1試合は、ドルトムントがこちらもアウェーでPSVに1-3で勝利。
結果、アーセナルが勝ち点9で、ドルトムントが6。他の2チームは1となりました。

B組では、まずリヴァプールがホームでスパルタク・モスクワを5-0で一蹴。
続いて、バレンシアもメスタージャでFCバーゼルを6-2と粉砕。バレンシアほんとに強いです。このチーム最近ファイナルに2度進むなど安定感なら欧州でもトップクラスですが、そこに爆発力まで加わったら念願のチャンピオンまで見えてくるかもしれません。文句なしに強いです。
リヴァプールもようやくエンジンがかかってきました。プレミアではこの前オーウェンのハットトリックで快勝しましたが、チャンピオンズリーグでもそろそろエンジンがかかってきたようです。
結果、ここもバレンシアが勝ち点9でダントツ。勝ち点4で並ぶリヴァプールとFCバーゼルですが、得失点差5からいってもリヴァプール優位は動かないでしょう。

C組では、AEKアテネがなんとマドリーと3-3のドロー。マドリーはセンターバック以外はベストメンバーでしたが、センターバック2人がエルゲラとパボンというのはちょっとなめすぎ。それでも負けないあたりはさすがですが、3失点もしてしましました。それでもこれはレアル相手に3点取ったAEKアテネを褒めるべきでしょう。
もう1試合は、カッサーノのゴールでローマがゲンクにアウェーで0-1で勝利。それでもゲンクにはホームもアウェーもないでしょう(笑)明らかにチャンピオンズリーグレベルではありません。この前のマドリーとの試合を、チャンピオンズリーグではなくてUEFAカップの1回戦とどこかに書いてありましたが、まさにその通りです。
それでも、これでゲンクが消えれば、WOWOWの放送カードも少しはマシになるでしょう。

最後にD組。なんとインテルがホームでリヨンに1-2と敗れてしまいました・・・。内容的には最悪でも結果だけがついてきていたインテルでしたが、ついに結果さえもこうなってしまいました。リヨンに首位の座を明渡す形に。
それでも、アヤックスがローゼンボリと引き分けてくれたため、なんとか2位の座は確保、といっても総得点の差ですが。D組が一番の激戦区になってしまいました。がんばれインテル!

1次リーグも半分が終了して、3連勝で勝ち点9を稼いだのは5チーム。アーセナル、バレンシア、マンチェスターU、ACミラン、バルセロナ、錚々たる顔ぶれです。これらのチームにマドリー、インテル、ユーヴェ、バイエルンあたありが残りに入ってきてベスト8を構成するようだと、W杯より遥かにレベルの高い凄まじい戦いが展開されそうです。
それでも、そうはいかないのがチャンピオンズリーグで、昨シーズンのレヴァークーゼンのようなチームが出てくるから面白いというのもあります。今年はどこが波乱を巻き起こすんでしょうか・・・。

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