No.27 アズーリ、真紅の海に呑み込まれる・・・

全身全霊を賭けてアズーリ応援態勢に入りますと書いた途端早くも敗退・・・。

それにしても、スタンドの赤一色は異常。日本のスタンドが青一色と言いますがレベルが違います。ユニホームを着てない人がいません(笑)。文字通り赤一色。さすがのアズーリもびびったか。

そしてヒディング監督。相変わらず凄まじい攻撃サッカーです。前回フランス大会ではオランダを率い、準決勝でブラジルにPK戦で敗れたものの、内容的には文句なくベストチームでした。
今大会も大会前にイングランド、フランスと互角の試合をし、大会に入ってもポーランドに完勝。守備を固める試合が続く中、実は一番楽しい攻撃サッカーを繰り広げているのはこの韓国かもしれません。

アズーリ相手になんと、3バック、3トップ。イタリア相手に他のどのチームもやらないでしょうこの布陣。相手が9人になったとはいえポルトガルを破った今、どこにも負ける気がしないのでしょう、イタリアに挑戦するどころか、まったく対等の視線。ともすれば見下ろしているかのような3-4-3。これだけ見ても韓国チーム尊敬に値します。

一方アズーリ、ついにトッティとデルピエロの共存という選択肢に出てきたことで、攻撃陣には大いに期待が持てたものの、ネスタ、カンナヴァーロを欠いたDFラインはもうカテナチオとは呼べません。不安大。

案の定、試合開始早々PKのピンチ。しかし、ネスタ、カンナヴァーロがいなくてもカテナチオの最後の番人が残っていました。カーンのことを世界最高のゴールキーパーと呼ぶ報道も多い中、個人的には間違いなく世界最高のゴールキーパーだと思う文字通りの守護神ブッフォン。アン・ジョンファンに格の違いを見せつけてくれました。見ていて入れられそうな気がしませんでした。

そして、重戦車ヴィエリ。ユニホームを思いっきり引っぱられながらも文字通り叩き込みました、というよりぶち込みました。前回書きましたゴールへの姿勢、それを持つストライカーの中のストライカーヴィエリ。これまた格の違いを見せつけてくれました。あの大歓声も思わず沈黙。

しかし、スタンドは一瞬だけ沈黙したものの、下を向く選手もなく、スタンドもすぐに盛り上がりを取り戻しました。挑戦者なら力の違いを見せつけられたら落ち込むでしょうが、イタリアのことを完全に対等に見ている韓国にとって、1点ぐらい何でもなかったのでしょう。
その後も3-4-3はイタリア相手に真っ向勝負を挑み続けました。イタリアもさすがイタリアという試合運びで前半は1-0で終了。

日本は1点リードされながらも、1トップを2トップに変え、それに最後の最後に森島を加えただけで、何が何でも1点取るという采配は見られませんでしたが、さすが攻撃サッカーの権化ヒディング監督、3トップだけでは飽き足らず、さらにファン・ソンホン、チャ・ドゥリを投入。4トップとも5トップとも言える文字通りの猛攻。

トラパットーニ監督がデルピエロをまだ30分も残っているのに下げてしまったため、イタリアの攻撃はまたいつもの通り2人だけ。
それに何の恐怖も感じなくなった韓国は、後ろを気にすることもなくひたすら前に突き進みました。1-0の試合を狙うにはネスタ、カンナヴァーロを欠いた守備陣ではまったく役不足です。不安は的中し後半終了間際に同点に。

しかし、イタリアにも勝つチャンスはありました。失点直後のトンマージからヴィエリ。あれをヴィエリが決めていれば・・・。

そして、最後にやられたのはマルディーニでした。以前ほどの凄さは影を潜め、中央にネスタとカンナヴァーロがいるからこそ、左サイドで何とかやっているという感じでしたが、その2人を欠き、中央の重責を任せるにはあまりに不安でした。確かに誰にも負けない経験を持っていますが、1対1で勝てなくなってはDFは終わりです。ネスタもカンナヴァーロも1対1でやられることはほぼ皆無です。最後の失点はカテナチオの崩壊を象徴する印象的なシーンでした・・・。

韓国は大番狂わせでもなんでもなく、勝つべくして勝った試合。試合内容でも精神面でもイタリアを圧倒していました。
サウジアラビアが大敗した時、アジアのレベルが・・・と絶望的になりましたが、日本がロシアを破り、韓国はなんとポルトガル、イタリアを撃破。同じアジアに生きる人間にとって、お気に入りイタリアの敗戦はもちろん悲しいですが、韓国のこの快進撃はうれしい限りです。

それにしても、ヒディング監督は素晴らしいです。いろんなものを韓国に持ち込んだ彼ですが、一番のものは自信。今まで欧米や南米のチームとやる時のアジアのチームは試合前からどこか押されていましたが、ヒディング監督はまったく臆することなく、自分達でも十分にやれるんだというのを選手達に植え付けました。この功績は計り知れないくらい大きいと思います。
しかも、口だけでなく、試合でも挑戦するというより、受けて立つといった、真っ向勝負の試合内容。次の相手はスペインですが、ここまできたら何も失うものはない韓国、また真っ向勝負を挑んでほしいです。

サッカー日記の最新記事4件