No.7 お騒がせ者対決!

日本でもいよいよ試合が始まりました。開幕以前に何かと物議を醸したチーム同士の対決。アイルランドはチームの戦術的、精神的、すべての面での中心ロイ・キーンの強制送還。
そしてカメルーンはもはやみんなの人気者!?

個人的な戦前の予想は、アイルランドにとってロイ・キーンがいないのは昨日のフランスにジダンが欠けていたことよりも遥かに影響力が大きいので、カメルーンが先制すると、ひょっとして一方的な展開になるのではというものでした。

まず、テレビをつけてびっくりしたのはアイルランドの観客の多いこと多いこと!大幅に遅れて来ながらも、きちんと高校生たちと試合をするなど、今や完全に日本人の心をつかんだカメルーン。会場は圧倒的にカメルーンの応援かと思っていたら、アイルランドの大応援団。しかも日本人が応援しているというより、わざわざアイルランドから駆けつけた大応援団。これにまずびっくり。

日本ではカメルーンが優勢なのではという空気だったように思いますが、アイルランド人にしてみたら、あのオランダに勝ってワールドカップに出てきているのに、カメルーンごときに負けるわけがないという感じでしょう。選手からも、サポーターからもそれだけの自信と気概が感じられました。

そして試合開始。
昨日フランスが勝ち点0に終わったのを目の当たりにしたからか、両チームとも動きが硬い。とにかく負けだけは嫌という徹底した試合ぶり。最近の日本戦以上に点が入りそうな気がしません。

そんな中試合に変化をつけ始めたのは、カメルーンのFWエトー。日本ではエムボマがあまりにも有名なため影は薄いですが、ヨーロッパでの活躍ぶりは今やこっちのが完全に上。何しろ速い、一人ではまず止められません。
昨日のディウフにしろ、さすがワールドカップに出てくるようなチームには素晴らしいストライカーが揃っています。日本は・・・。

そして、エトーの突破からエムボマが先制。たった一度の決定機を決めたエムボマの決定力も文句なし。そして、一点取られたことで、このままカメルーンの一方的な展開かと思われました。
ここでロイ・キーンがいないことが大きな意味を持ちます。彼がいたら、点を入れられた途端ひたすら味方に激を飛ばし、自らもプレーで示すでしょう。しかし、その彼は遠い本国です。

しかし、一点取られたからといって意気消沈するわけでもなく、プレーがバラバラになるわけでもありませんでした。ここらへんはいかにロイ・キーンの存在が大きいとはいえ、アイルランドを少し見くびっていました、反省。
出場した2回のワールドカップでは共に決勝トーナメントに進出し、今回の欧州予選では、ポルトガル、オランダと同グループを勝ち抜いたチーム。並みのチームなわけがありません。

そして、後半早速アイルランドは猛反撃に出ました。今まであんなにおとなしかったのに、攻めるとなったら急に迫力を出せるところがさすがです。

そして、後半開始早々、アイルランドにおいて、ロイ・キーンと並んでワールドクラスの選手の一人イアン・ハートのクロスボール。前半まったく攻めあがることのなかった彼が、ようやく見せた神業のクロスボールはまさに完璧でした。クロスボールの精度なら世界一という人も多い彼のクロスボール。その評価に違わぬ完璧なボールでした。残念ながら得点には至りませんでしたが。
今日はチャンスがありませんでしたが彼はフリーキックも神業です、今後ぜひ注目を!

そして、彼が攻めあがれるようになってきたことからもわかるように、ここらへんからは完全なアイルランドのペース。そして、ホランドのゴール。以前マンチェスターの回にロイ・キーンのミドルシュートはイーグルショット級と書きましたが、そのロイ・キーンの魂までもが乗り移ったかのような見事なシュートでした。
それにしても両チームとも決定力が素晴らしすぎます。数少ないチャンスからちゃんと得点につなげてしまいます。日本がぜひ見習いたいところです。
そして、今までずっとなりをひそめていたロビー・キーン。この試合最高の仕事は惜しくもポストに阻まれてしまいましたが、見せ場は作ってくれました。

結果的にはドロー。アイルランドにとっては狙い通りの最高の試合でしょう。一方カメルーンにとっては勝ち点3が欲しかった試合かもしれません。
しかし、終盤はカメルーンも勝ち点1で十分という試合ぶりでしたし、フランスが勝ち点0に終わったことを思えばまあよしといったところでしょうか。

それにしても、ドイツがゲルマン魂なら、この試合はアイルランドのアイリッシュ魂を見たような、アイルランドの気迫がほんとに印象的な試合でした。

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