『サウンド・オブ・カラー 地下鉄の恋』(ジョー・マー)

サウンド・オブ・カラー 地下鉄の恋

正直に告白しますが、ラム・シューが出ているというだけで借り、あまり期待していませんでした。

しかし…。

ジョー・マー監督、すいませんでしたm(_ _)m
むちゃくちゃいい。

最近観た恋愛ものの中で、断トツに傑作!と言うつもりは毛頭ありませんし、実際そんなことは全然ありません。
でも、断トツに好き。

まず初めに、原作はあの『ターンレフト ターンライト』と同じ原作者の絵本。
よって、『ターンレフト ターンライト』同様、ありえね~!と叫ばずにはいられない展開を見せますが、そこはまあ原作が絵本ということで、目をつぶりましょう(笑)

この手の映画は言葉にしてしまうと一気に色褪せてしまうので、ストーリーをなぞるなどということはしません。

二組の恋愛が出てきますが、トニー・レオンとミリアム・ヨンの方は、二人とも目が見えません。

ここで、オールタイムベストの1本、セシリア・チャンの『星願 あなたにもういちど』、あの映画をご覧になった方は、前半目が見えないリッチー・レンが、セシと一緒にいられる喜びを全身に感じた、ほんとに嬉しそうな表情を覚えていらっしゃるでしょう。

そして、ラスト近く、リッチーのあの名台詞。

「どうかみんな目を閉じて、そばにいる人を心で感じて。
とてもいい感じがするから」

今回は、心で感じる人間×心で感じる人間なので、良くないわけがありません。

サウンド・オブ・カラー 地下鉄の恋 トニー・レオン ミリアム・ヨン

目が見えないという極端な設定は、ある意味反則で、本来なら何一つ不自由ない状態で同じような素晴らしさを演出するべきなんでしょうが、やはり、余計なものが入ってきちゃうんですよね。

同じくオールタイムベストの1本『あの夏、いちばん静かな海。』、あの映画の二人は、言葉を持ちませんでした。

でも、あの時書いたように、「一緒に歩き、走り、笑い、海を眺める、そこに言葉は、そして特別な何かは必要ありません」。

トニーの巧さは今さら書くまでもないですが、今回は、ミリアム・ヨンの表情がいい。
オレンジでお手玉をするトニーを“感じて”いる時の楽しそうな顔だけでも、この映画の愛おしさが十二分に感じられると思います。

もう一組が、チャン・チェンとドン・ジェ。
そういえば、ドン・ジェも『至福のとき』で目が見えない役を演じてますね。

サウンド・オブ・カラー 地下鉄の恋 チャン・チェン ドン・ジェ

片想いに破れた者同士が偶然出会い、やがて惹かれ合っていくというのがこちらの話ですが、二人のやりとりで、こんなのがありました。

「目を閉じると、一番好きなものが目に浮かぶらしい。
君には何が見える?」
「以前は、目を閉じると彼が見えた。
今は、何も見えない」

何てことを言ってくれるのか…。
そうなんです、目を閉じても浮かばなくなったら終わりなんです(爆)
とここで思い出に浸っててもしょうがないですが(笑)

さて、肝心のラム・シューですが、ミリアム・ヨンのお父さん役として登場。
珍しく、普通にいい人(笑)

そして、アコギを弾くラム・シュー!(実際は弾いてないと思いますが)

サウンド・オブ・カラー 地下鉄の恋 ラム・シュー

このシーン、数分間ほとんど台詞なしで曲がかかるんですが、そのうちギターパートをラム・シューが弾いているような感じです。
ラム・シューが映るとある意味台無しなんですが(笑)、曲はむちゃくちゃいい。

この映画、特にトニーの設定がありえね~!なんですが、前述の通りそこに目をつぶれば、人を好きになる時の何とも言えないあの感じが見事に出ていて、何より映画の中に流れる空気がいい。

映画の出来がどうのとかそんなことはどうでもよく、どこまでも愛おしい作品。
これぞ、愛すべき映画。

[原題]地下鐵
2003/香港/97分
[監督]ジョー・マー
[策劃]ソイ・チェン
[出演]トニー・レオン/ミリアム・ヨン/チャン・チェン/ドン・ジェ/ラム・シュー

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