今回は、当ブログ初の邦画です。
恋愛映画では生涯不動のベストワン、もちろん異論反論はあるでしょうが、個人的にはこれを超える恋愛映画はありえません。
まずは、『あの夏、いちばん静かな海。』というタイトルが完璧。
主人公二人が言葉がしゃべれないという設定なので、脇役は別にしてセリフはまったくありません。
というわけで、ここでもいろいろ書くとあの素晴らしさが失われてしまいそうで、今回は手短に。
少しだけ余談を書いておくと、さすがは北野武監督、笑いもしっかり入れてあって、サーフィン大会の申込書に茂が書き込むシーン、小さいためよく観ないと気づきませんが、「身長:420cm 体重:2kg 血液型:E 保護者氏名:ゴルバチョフ 大会へ向けての意気込み:やる」には爆笑。
そして、全編極上のシーンのオンパレード。貴子がバスを降りて走ってくるシーン、窓に石を投げて貴子を呼ぶシーン、防波堤で自転車が落ちるシーン、貴子が一人海に向かってまっすぐ歩いていくシーン、そして文字通り号泣のラストシーン。
ここで挙げたシーンを見てもわかるように、ドラマチックなことは何一つ起きません。
それでも、ただ二人がサーフボードを持って一緒に歩くシーンなど、何でもないシーンがほんとにどれも極上。
『八月のクリスマス』の時に、「ラブシーンなどいっさいなくても恋愛映画は成立し、そして、何気ない日常が実は何よりもかけがえがないという、ほんとに宝物のような作品。」と書きましたが、この映画はそのさらに上をいって、ラブシーンどころか言葉すらありません。しかし、言葉はまったく必要ありません。
一緒に歩き、走り、笑い、海を眺める、そこに言葉は、そして特別な何かは必要ありません。二人で一緒にいられることが何よりも大切、そのことを思い出させてくれ、そして感じさせてくれる珠玉の逸品。
凡百の恋愛映画が束になってもかなわない、永遠に残る傑作。
1991/日本/101分
[監督]北野武
[音楽]久石譲
[出演]真木蔵人/大島弘子/河原さぶ/藤原稔三/寺島進
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