『ロンゲストナイト』(パトリック・ヤウ)

ロンゲストナイト

ここのところずっと香港映画にはまっている管理人ですが、『ヒーロー・ネバー・ダイ』『暗戦 デッドエンド』に続いて、ラウ・チンワン第3弾『ロンゲストナイト』です。

ただ、今回は監督がジョニー・トーではありません。それでも、ジョニー・トーは製作のところに名前があり、常連筆頭ラム・シュー、『ザ・ミッション/非情の掟』のスーパーボウル飯店の太ったおじさん(『ヒーロー・ネバー・ダイ』にもちょい役で出てました)、『ヒーロー・ネバー・ダイ』のマスターなど、ジョニー・トー組がたくさん出ています。

さて、『ヒーロー・ネバー・ダイ』ではレオン・ライ、『暗戦 デッドエンド』ではアンディ・ラウと、超大物を相手に一歩も引かない存在感を見せつけたラウ・チンワンですが、今回の相手役はトニー・レオン、またまた豪華です。

しかも、トニー・レオンを完全に喰っています。主役はトニー・レオンでしょうが、ラウ・チンワン存在感ありすぎ!

トニー・レオンは悪徳刑事。マカオで対立する両組織のボスの間で暗殺の噂があり、その調査を依頼され、手荒な調査をやりたい放題。
裏にも顔が利き、尋問で手を使えなくなるまでボコボコにしたり、爪を剥がしたり、いかにも悪徳刑事ですが、トニー・レオンが演じるとそうは見えないのはご愛嬌(笑)

一方、ラウ・チンワンは香港からマカオにやってきた謎の男。肌身離さず持っているカバン、かなり怪しい…(笑)

サスペンスの要素もありますので内容には触れません。
ただ、この映画も、今までの作品同様痺れますね~。

白眉は留置場での二人の一騎打ち。
なぜか不必要に埃が桜のように舞って対決を盛り上げます(笑)

ロンゲストナイト トニー・レオン ラウ・チンワン

部屋に入るなりまずは鉄パイプで滅多打ちにするトニー。
椅子に腰を下ろすと、自らの足元に拳銃を置き、取れよと目で合図。右手にはもう一丁の拳銃。

ラウが拳銃に手をかけようとしたその瞬間、足で押さえて阻止するトニー。そして遠くに蹴ります。

そして、拳銃をちらつかせつつ、またもや取れよと挑発。
拳銃の元に近づくと、少しずつ、少しずつ手を近づけるラウ。そして、ついにラウが拳銃を手に取った瞬間、同時に拳銃を突きつける二人。しかし…。

青光りする部屋、舞い散る埃、対峙する二人、このシーンの緊迫感はかなりものです。

あと、ラウ・チンワン、拘置所で壁に向かって橙色のスーパーボール(懐かしい!)を投げているんですが、『大脱走』のマックィーンに負けてません!(笑)

このスーパーボールは結構効いていて、トニーがコインロッカーからある物を取り出したときに、最後にコロコロとスーパーボールが落ちて来るシーンは痺れまくりです…。

二人の一対一の銃撃戦もかっこいいの一言。相手を狙ってるというよりわざとガラスを割ってるだろと思わず突っ込みたくなるくらい、ガラス片の飛び散り方ははんぱじゃありません。しかしその美しいこと!
携帯を鳴らし場所を把握するなど、一対一の緊迫感がよく出ています。

たった一晩の出来事を描いた作品ですが、今までのジョニー・トー関連作品の中では一番ノワール色が濃い作品。ずしりとくるラストも好き。
長老ホンは『ヒーロー・ネバー・ダイ』の占い師かなぁ。

 

ロンゲストナイト 暗花 [DVD]

[原題]暗花
1997/香港/81分
[監督]パトリック・ヤウ
[製作]ジョニー・トー/ワイ・カーファイ/ゲイリー・チャン
[脚本]ヤウ・ナイホイ/セット・カムイェン
[出演]トニー・レオン/ラウ・チンワン/マギー・シュー/ラム・シュー/ウォン・ティンラム/ロー・ウィンチョン

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