『強奪のトライアングル』(ツイ・ハーク/リンゴ・ラム/ジョニー・トー)

強奪のトライアングル

ジョニー・トー第35弾、ツイ・ハーク、リンゴ・ラムとのリレー監督作『強奪のトライアングル』です。

三人の名匠の演出も、他の出演陣の演技も、遙か彼方まで吹き飛ばす。
『ボーン・アルティメイタム』のエンドクレジットの、戸田奈津子大先生の伝説の字幕並の破壊力を持つ、“マッド・アルティメイタム”ラム・シュー参上!

強奪のトライアングル ラム・シュー

この映画のラム・シューは凄いと噂には聞いていましたが、ここまで凄いとは(笑)

カンヌでの上映時に初めて自分のパート以外を観たという、ツイ・ハークもリンゴ・ラムもびっくりでしょう。
そこまでやるかと(笑)

まあそれでも、ラム・シューはぶっ飛んでますが、紛れもなくトーさんの映画。
当たり前ですが、トーさんパートは特に。

強奪のトライアングル スポットライト撮影

森と海様がエントリーで触れられているように、『エグザイル/絆』もあれば『PTU』もあれば『無味神探』もある。
時間的には短くても、ある意味トーさんの集大成のような1本。

三つの力で攻撃だ!〈 鐵三角 – triangle 〉 日刊【考える葦】Returns

ただ、集大成といっても、力入れて作ったという大それたものではなく、遊び心に溢れた映画。

強奪のトライアングル 拳銃

『PTU』『MAD探偵 7人の容疑者』でもあった、一同鉢合わせの銃撃戦。

これが、『インファナル・アフェア』で皆が警察署に勢ぞろいした時の、あの尋常ではない緊迫感。

同じように緊迫した場面でありながら、そこに流れる空気は明らかに違う。

『エグザイル/絆』でも使った照明を落とすという小技や、『MAD探偵 7人の容疑者』でも使った似たものをいくつも用意するという小技を織り交ぜながら、一瞬先は死という状況にありながらも、当の本人たちですら思わず笑っちゃいそうになるような、絶妙な緩急の間。

ずっと緊迫感が続くより、一瞬緩むことによってより増す緊迫感。
この呼吸はもはや名人芸ですね。

強奪のトライアングル だるまさんがころんだ

ルイス・クーとスン・ホンレイが無言で写メールを撮り合うシーンも、可笑しな絵面なのに、拳銃を突きつけ合っているよりむしろ凄みがある。

レコードから流れる音楽に合わせてケリー・リンと優雅に踊っているのに、微塵も笑っていないヤムヤムもむちゃくちゃ怖い。

脇ながら、ラム・カートンとケリー・リンもさすが。
特に、ラム・カートンはこういう役をやらせたら天下一品。

主演のヤムヤムやルイス・クーは、他の作品に比べれば特段凄いということもないので、この映画はラム・シューに尽きますね。

トーさんの細かい指示があったのか、任されてラム・シューが好き放題やったのか。
いずれにしろOKを出している時点で、“前二人のパートをラム・シューで全てぶち壊す”というのが、今回のトーさんのテーマだったんでしょうか(笑)

(2008.4.8)

~2012.10.21 劇場鑑賞時の感想~
家では散々観ていますが、スクリーンで観る「オハヨー!」は破壊力が違った(笑)

この雪ちゃんに限らず、トーさんパートから場内の空気も一変、思ってたよりもたくさん笑いが起きてましたね。同じ列の人も急に身を乗り出すように観ていました。

一言、むちゃくちゃ面白い。

ただ面白いだけでなく、前にも書いたように、トーさんのこの時点での集大成みたいな映画でもあるので、“節”も“美学”も炸裂しまくり。

特にラスト、伝家の宝刀“夜間のスポットライト撮影”、歴代最高峰の完璧な構図と照明。
震えがくるくらいかっこいい。

過去に使った技の発展系ではありますが、「電気が消える」と「ビニール袋」の組み合わせもあまりに秀逸。

今回も、脚本らしい脚本なんてなくて、それこそ「電気が消える」と「ビニール袋」くらいしか書いてないと思います(笑)

その“アイデア”がまず何よりも先にあって、次に、どうやってそれを“かっこいい絵”として見せるか。
電気OFF→ONの最後、みんなが思わず顔を見合わせるあの構図、まずあの“絵”が先にある。そこまでいかに繋ぐか。

しかも、そこに、李海濤を初め、わかる人にはわかる顔がずらりと並ぶ。
これはもうたまらない。

[原題]鐵三角
2007/香港/101分
[監督]ツイ・ハーク/リンゴ・ラム/ジョニー・トー
[製作]ツイ・ハーク/リンゴ・ラム/ジョニー・トー
[出品人]ツイ・ハーク/リンゴ・ラム/ジョニー・トー/デニス・ロー 他4名
[執行導演]ソイ・チェン
[出演]サイモン・ヤム/ルイス・クー/スン・ホンレイ/ラム・カートン/ケリー・リン/ラム・シュー/ユウ・ヨン/ニック・チョン/アンディ・オン/チョン・シウファイ

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