『サマータイムマシン・ブルース』(本広克行)

サマータイムマシン・ブルース

「愛すべき映画たち」記念の250本目は、“爆笑!”(まだまだ募集中です!)に投稿していただいた中から、hi-chan様ご推薦、『サマータイムマシーン・ブルース』です。
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タイムスリップって、普通、それなりに前に行くじゃないですか。
例えば、先日UPした『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』は戦国時代に行きました。

しかし、この映画は違います。
とある大学のSF研究会の部室、部員たちの一番の悩みは、昨日壊れてしまったクーラー、暑い、とにかく暑い…。

そんな彼らの前に、突然現れたタイムマシン、思い思いに行きたい時代を言い合うものの、一人が言います。
「昨日に行って、壊れる前のリモコンを取ってくる」

! !! !!!

おぉ~その手があったか!!!

サマータイムマシン・ブルース

この時点で、この映画の面白さは保証されたようなもの。
タイムスリップするのは昨日、目的はクーラーのリモコン。せこい、せこすぎる(笑)

そして何より、タイムマシンがしょぼい。ハリウッド大作のCGによる凄いタイムマシンも真っ青、よく言えばアナログ感満点、悪く言えばガラクタ。その気になれば中学生でも作れそう(笑)

クーラーにコーラがこぼれて壊れる時のスローモーションや、銭湯でのヴィダルサスーン騒動、ゴミ捨て場で扇風機を探す3人の可笑しさなど、小ネタもツボをついています。

主役の瑛太が現在に戻ってくる方法も、設定が昨日だからこその力技で、どんなタイムスリップものよりもその戻り方にリアリティがあります。

前半で不自然だったところが、後半でピタリと辻褄が合ってくる脚本も巧い。
裸踊りのくだりなんか、見事に繋がってますね。
よく考えたら、全シーン完璧に辻褄があってるかは疑問ですが(笑)

瑛太と上野樹里のほのかな恋もいい。
未来からやってきた男が、好きな人のムスコと知り、しかも自分とは苗字が違うことに気づいた時の切なさ。
このシーンすっごくいいのに、友達に「苗字って変えられるのかな?」の一言は激しくいらない。
いつも言ってることですが、どうしてこう余分な一言を付け加えますかね、せっかくの切なさが台無し。

最後に、DVDの本編終了後に出てきた映像で知ったんですが、この映画、「ヨーロッパ企画」という劇団のヒット舞台の映画化なんですね。
舞台の映像も少し見れましたが、ノリはこのままで、さらに舞台の方が面白そう。
本広監督こんなコメディも作れるなんてやるじゃん!と思ったら、な~んだ…。
一番いい味を出していた曽我君役の永野宗典と、田村君役の本多力、劇団のメンバーとのこと。
わざわざ映画でやる意味あったのか?(笑)

凄く面白かったですが、舞台を観たかったなぁ。

 

サマータイムマシン・ブルース [Blu-ray]

2005/日本/107分
[監督]本広克行
[原作]上田誠(ヨーロッパ企画)
[脚本]上田誠
[出演]瑛太/上野樹里/与座嘉秋/川岡大次郎/ムロツヨシ/永野宗典/本多力/真木よう子/佐々木蔵之介

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