『スターリングラード』(ジャン・ジャック・アノー)

スターリングラード

この映画が数ある戦争映画と違い、それが成功の原因でもあるのは、戦争を1対1の個人の視点にしたこと。

天才スナイパー同士の個の対決。最後の最後まで一度も視線が合わないところがいい。
視線が合ったということはどちらかが死ぬことを意味するので、当たり前といえば当たり前なんですが。

この天才スナイパーが、兵士達の士気を高めるため英雄として祭り上げられるとか、そういう政治的な面とかはよくある話でどうということもないんですが、単純にスナイパーとしての二人の対決はほんとに痺れます。
ガラスの破片を通してお互いが相手の位置を把握している場面など、ほんとに臨場感があります。

スターリングラード ジュード・ロウ

俳優陣も名前を見ただけでワクワクする顔ぶれですが、まずソ連側の実在の伝説のスナイパーを演じているのがジュード・ロウ。
この役者相変わらず目がいい。吸い込まれるような、どこか惹きつけられる目をしています。

対するナチス・ドイツ側のスナイパーがエド・ハリス。
『アポロ13』『トゥルーマン・ショー』などでもそうですが、この人1人いるだけで映画がぐっとしまるという、渋くてほんとに最高の俳優です。

スターリングラード エド・ハリス

ジュード・ロウを政治的に利用し、恋敵でもある役がジョゼフ・ファインズ。
当ブログでも紹介した『恋におちたシェイクスピア』でシェイクスピアをやっていた彼です。今回もいい味出してます。

スターリングラード ジョセフ・ファインズ

恋愛シーンははっきりいって蛇足。「社会主義国家ソ連にも不平等はある。愛に恵まれた者と、愛に恵まれなかった者だ」と、ラブストーリー顔負けの泣かせる台詞もありますが、もっと単純に天才スナイパー同士の息もつかせぬせめぎあいといった映画にした方が、より素晴らしい映画になったと思います。

一部の方にはこのラブストーリーの部分が必要なのかもしれませんが、目があったイコール死という、2人の死闘だけで十分に楽しめる映画だと思います。

 

スターリングラード [Blu-ray]

[原題]Enemy at the Gates
2001/アメリカ・ドイツ・イギリス・アイルランド/132分
[監督]ジャン・ジャック・アノー
[音楽]ジェームズ・ホーナー
[出演]ジュード・ロウ/ジョゼフ・ファインズ/エド・ハリス/レイチェル・ワイズ/ボブ・ホスキンス/ロン・パールマン

→予告編 →他の映画の感想も読む