『SPL/狼よ静かに死ね』(ウィルソン・イップ)

SPL 狼よ静かに死ね

セット・カムイェン恐るべし…。(→彼についての記事はこちら)
いやあ、相変わらずダークですね~(笑)

夜の街に君臨する黒社会のボス、ポー(サモ・ハン)。

彼の逮捕に執念を燃やす引退間際の刑事チャン(サイモン・ヤム)。

チャンと苦楽を共にしてきた部下たち、ロク(ケン・チャン)、ワー(リウ・カイチー)、サム(ダニー・サマー)。

チャンの代わりに新たにやってきた、殺人犯をパンチ一発で脳障害にした過去を持つ伝説の刑事マー(ドニー・イェン)。

ポーが呼び寄せた最強の殺し屋ジェット(ウー・ジン)。

愛娘たちの無邪気な声がこだまする父の日の夜、男たちに今、運命の時が迫ろうとしていた…。

この映画がただのバイオレンス映画で終わっていないのは、それぞれの家族との描写。
黒社会のボスだろうが刑事だろうが、娘の前では一人の父親。
電話越しに聞こえる愛娘の声に、さっきまで見せていた氷のような表情から一変、心からの笑顔を見せる男たち。

命を狙われる危険を承知で、このチャンスを逃したら二度と会えないかもしれない娘に会いに行くサム。
そんな彼についていくワー。

ワーもまた、娘と幸せそうに話すサムの姿に、10年帰っていない実家へ電話。
母の口から語られる父の死。
リウ・カイチー渋すぎでしょう、ここが一番泣けます…。

SPL 狼よ静かに死ね リウ・カイチー

束の間の安らぎを突然破る、非情な狂気の刃。
『エレクション』でニック・チョンが漂わせる狂気が凄いと書きましたが、このウー・ジンを前にしてはあんなの可愛いもの。このウー・ジンはとんでもなく素晴らしい。

そしてついに、伝説の刑事と最強の殺し屋との対決の時。

逃げ場のないビルの谷間で、長ドスを片手に待ち構えるウー・ジンに、特殊警棒を手に迫るドニー・イェン。
いざ!

SPL 狼よ静かに死ね ドニー・イェン ウー・ジン

“今香港が見せることのできる最高のアクション”とどこかに書いてありましたが、期待を裏切らない素晴らしさ。
何が凄いってスピードが凄い!
映画秘宝には45秒間振り付けなしでやったとありましたが、“本物”だからこそできる究極のアクション。
これをスクリーンで観るためだけにでも、劇場に足を運ぶ価値は十二分にあると思います。

SPL 狼よ静かに死ね ドニー・イェン ウー・ジン

これも十分にクライマックスになりうる死闘ですが、まだ一人残っています。
ドニーが劇中で伝説の刑事なら、こちらは実際に伝説の男サモ・ハン!

ウー・ジンが技で最高なら、こちらは存在感が最高、オーラが違います。
対ウー・ジン戦が武器を使った闘いだったのに対し、こちらは己の肉体だけが頼りのバーリ・トゥード。
そして何よりサモ・ハンのあの巨体、ドニーのどんな凄技も、全然効いてなさそう。

SPL 狼よ静かに死ね ドニー・イェン サモ・ハン

タックル、マウント・ポジションからの顔面パンチ、腕ひしぎ逆十字、空中連続三段蹴りと、どれも凄まじいですが、一番びっくりしたのは、ドニーがサモ・ハンの首を両足で挟んでひねって投げる技。

どこかで見たことのある技です。
そうです、漫画『修羅の門』で、不破が館長相手に使った、不破圓明流奥義“斗浪”です。(首への足のかけ方は違いますが)

まさか実写で“斗浪”を拝める日が来ようとは(笑)
ドニー・イェン凄すぎ!

対決の行方、そしてラストに向けては伏せておいた方がいいでしょう。

アクションの凄さは言うまでもないですが、“心のやりとり”がちゃんと響いてくるところが、さすがウィルソン・イップ監督。

SPL 狼よ静かに死ね 青空

『インファナル・アフェア』シリーズも手がけたチャン・クォンウィンの音楽も、漢のドラマの切なさをさらに盛り上げて秀逸。

あの日みんなで眺めた海は、空は、どこまでも澄み渡っていた…。

傑作。

[原題]殺破狼
2005/香港/93分
[監督]ウィルソン・イップ
[脚本]ウィルソン・イップ/セット・カムイェン/ン・ワンラン
[音楽]チャン・クォンウィン
[アクション監督]ドニー・イェン
[スタントコーディネーター]谷垣健治
[出演]ドニー・イェン/サモ・ハン/サイモン・ヤム/ウー・ジン/リウ・カイチー

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