ポン・ジュノ監督自身は、「『グエムル』製作前の段階で『WXⅢ 機動警察パトレイバー』を観ておらず、直接のリファレンスにはなっていない」と証言しているみたいですが、確かにグエムルと“廃棄物13号”のビジュアルや登場の仕方は酷似していて、パクリだと騒ぎ立てるのもわからなくはありません。
もし本当に監督が観てなかったとして、ハリウッドの特撮チームはパトレイバーを観てないなんてことはないと思うので、彼らが影響されたのかもしれません。
ただ、いろんな感想を読んでいて、パクリの一言で片づけているのを見ると、ほんとに悲しい…。
グエムルが生まれた原因は、薬物の悪意の廃棄。そして、“生まれてしまった”わけです。
一方、“廃棄物13号”が生まれた原因は、夫と娘を亡くした悲しきサイエンティストの、亡き娘への想い。“生まれてしまった”のではなくて、想いが“生んだ”のです。
まずはここが根本的に違う。
怪物に立ち向かうのも、『グエムル -漢江の怪物-』の方は一市民、しかも、店番もできない男や、学生運動にはまってフリーターになった男など。
頼りになるべき警察や軍隊は何一つしてくれず、むしろ敵でさえあります。
武器も、JINROの空き瓶を改造した火炎瓶やアーチェリー。
一方の『WXⅢ 機動警察パトレイバー』は、陸自から警視庁から総動員で、指揮をしているのはもちろん国家、武器も最新鋭。
もし、グエムルと“廃棄物13号”の「写真」だけを見てパクリだと片づけている方がいらっしゃいましたら、まずは『WXⅢ 機動警察パトレイバー』を、そして何よりも『殺人の追憶』を観てほしいと思います。
でも、どちらも残るのは“切なさ”であり、実は一番根本的なところは似てたりするわけですが(笑)
【『WXⅢ 機動警察パトレイバー』予告編】
【関連記事】
●『グエムル -漢江の怪物-』(ポン・ジュノ)