『ガンマン大連合』(セルジオ・コルブッチ)

ガンマン大連合
「殺っちまおうぜ!同士たちよ!」

今回は、セルジオ・コルブッチ男泣きの大傑作『ガンマン大連合』です。

メキシコ革命軍に銃を売るためスウェーデンからやって来た武器商人ヨド(フランコ・ネロ)は、成り上がりの革命分子バスコ(トーマス・ミリアン)に出会う…。

メキシコを舞台に、政府軍、革命軍、非暴力を唱えるサントス教授(フェルナンド・レイ)の元に集まった学生たち、という三つ巴の戦いが繰り広げられます。

ヨドは革命軍の将軍に武器を売りに来たわけですが、お金が全てなので、学生たちがもっと高いお金を払えばそちらに売るつもり。

そんなヨドが出会ったのが、靴磨きから革命軍の副官に取り上げられたバスコ。
バスコは、黒と白で衣装をキメているヨドに“ペンギン”とあだ名をつけ、ずっとペンギンと呼ぶので、ここでも以下ペンギンとします。

金庫の番号をただ一人知っているのが教授、でも、アメリカに捕らわれているので、革命軍の将軍はペンギンとバスコの二人に教授を連れて帰るように命令します。

そんなこんなで始まった二人の珍道中。
娼婦たちの力も借りて無事教授の奪還に成功。
3人で一路メキシコに戻ることになりますが、そこに立ちはだかるのが、ペンギンの宿命の敵、隻腕のハヤブサ使いジョン(ジャック・パランス!)。
隻腕のハヤブサ使いなんて、キャラがおいしすぎでしょう(笑)

ガンマン大連合 ジャック・パランス

こうして旅を続けていくうちに、金が全てだったペンギンも、力こそが正義だったバスコも、少しずつ教授の考えに感化されていくようになります。

学生たちが20人革命軍に捕らえられ、教授が明日中に出頭しないと全員絞首刑だと使者が来ます。

使者に銃を向けるバスコ。
そんなバスコに銃をしまうようにと、教授はこう言います。
「お前はもう悪党じゃなくなった」
銃を捨てるバスコ。

そして、殺されることがわかっていながら、一人革命軍の元に向かおうとする教授。
一緒に丸腰でついていきますという学生たち。
しかし、教授は彼らをなだめ、一人で向かいます。

教授の名誉のために行かないという学生たちに、名誉なんか関係ないと一人教授についていくバスコ。
しかし、その手に銃はありません。

待ち構える革命軍、それとは別にジョン一派も近くの鐘突き塔から様子を伺います。

静寂の街。
たった一人現れる教授。
バスコは隠れて後からついていきます。

遠くの丘に現れたペンギンは、双眼鏡でジョンたちの存在に気づくと、こちらも臨戦態勢。

ジョンが銃に手をかけたその瞬間、口火を切ったのはペンギンのライフル。
人ではなく鐘突き塔を狙い、塔を崩壊させます。

始まるモリコーネの主題歌。
ペンギンは馬で丘を駆け下り、バスコもナイフを手に参戦、さあ、クライマックスの始まりです!

ここはフランコ・ネロの独壇場。
馬で颯爽と現れ、ライフルで4人ほど蹴散らし、馬が倒されるや、近くにあった機関銃を奪い乱れ撃ち。
何十人と蹴散らすと、機関銃も弾切れ。
ほっと一息入れると、今度は二丁拳銃!
続いてまたもやライフル!
弾が切れると、倒した敵のを奪いさらにライフル!
一人で50人くらい倒してないですかね。
最初に塔を撃つところからの一連のアクションは、マカロニ史上に残るものでしょう。

この後さらに少しいろいろありますが、“男ならこれで泣け!”なのはラストシーン。

バスコや学生たちを残して、一人去って行こうとするペンギン。
ペンギン以外は皆メキシコ人で、ペンギンだけははるばるやって来たスウェーデン人なので、帰るのももっともなわけですが。

「今出ていくのか?兵隊が来るんだ。助けてくれてもいいだろ」
「どうやって。武器は木っ端微塵で、頼りは連中の理想だけか?」
「そうとも、ここに残れ。一緒にやろう、理想があれば勝てる」
「たぶんな」

それでも去っていくペンギン。
ちぇっとバスコ。
この頃には、学生たちも続々と集まってきています。

しかし、少し進んだところでペンギンが目にしたのは、大行列となって向かってくる政府軍の大軍。
目的は、革命軍、学生たち共々の皆殺しです。

学生たちの方を一度振り返り、もう一度軍隊に目をやると、ニヤリと笑みを浮かべたペンギン、くるりと向きを変えると、一言叫びます!

ガンマン大連合 フランコ・ネロ

「Companeros!」(おい、同士たち!)

振り返る学生たち。
バスコも振り返ります。
銃を高々と掲げ、叫びながら同士たちの元へ馬を走らせるペンギン。
「Vamos a Matar!Companeros!」(殺っちまおうぜ!同士たちよ!)

「Vamos a matar, companeros」は原題でもありますね。
バックにはまたもやモリコーネの主題歌。

その様子を目にし、ニヤリと笑みを浮かべるバスコ。
武器は爆発で失い、ほぼ丸腰。
圧倒的軍隊を前に、死にに行くような戦いです。
あるのは教授が残してくれた理想と、その理想の元集まった同士だけ。

あいつめ、やっぱり戻ってきやがったか。
さて、もう一暴れするか。

ガンマン大連合 トーマス・ミリアン

この時のトーマス・ミリアンの、笑みを浮かべた表情が死ぬほどいい。
男同士の友情を描いて、これに勝る笑顔はないでしょう。
バックには、モリコーネ必殺の泣きの旋律。

“泣ける純愛もの”ではこれっぽっちも泣きませんが、これは泣ける、とにかく泣ける。
これぞまさに“男ならこれで泣け!”

セルジオ・レオーネはもちろん偉大ですが、セルジオ・コルブッチだって負けてはいません。
そして、涙がちょちょぎれるくらいかっこいいモリコーネの傑作主題歌。

男泣きの大傑作。

 

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[原題]Vamos a matar, companeros
1970/イタリア・フランス・西ドイツ/105分
[監督・脚本]セルジオ・コルブッチ
[音楽]エンニオ・モリコーネ
[出演]フランコ・ネロ/トーマス・ミリアン/ジャック・パランス/フェルナンド・レイ

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