『ブラス!』(マーク・ハーマン)

ブラス!

イギリス映画お得意の、失業にあえぐ労働者たちが主人公の映画ですが、そんな中でも何らかの希望を持っているのもイギリス映画の特徴。

今回の希望は音楽。
炭鉱夫たちによって結成されたイギリスのブラスバンド、グライムソープ・コリアリー・バンドの実話に題材を得た話。

ブラスバンドが出てくることからも音楽が最高ですが、「アランフェス協奏曲」「ダニー・ボーイ」「威風堂々」「ウィリアム・テル序曲」等々、次々と名曲が登場。
これらの音楽を聴くだけでも十二分に楽しめます。

俳優陣も『ユージュアル・サスペクツ』で渋い演技を見せた“コバヤシ”ことピート・ポスルスウェイトが、今回は音楽のことしか頭にない頑固なおやじを熱演。

ブラス! ピート・ポスルスウェイト

そして、今やスターとなったユアン・マクレガー。

ブラス! ユアン・マクレガー

その他、労働者の現実感を漂わせる渋い演技の脇役陣。

しかも、登場人物それぞれが細かく描かれていて、炭坑の閉鎖に不安を抱きつつも、コンクールでの優勝を目指す男たち、その家族、いろんな思いを抱えた人物たちがほんとに丁寧に描かれています。

細かいところでは、髪を紫に染めるおばさん二人が最高!

ブラス! おばさん

それにしても、とにかく泣きに泣いた作品。
まずはダニーの演説。何度観てもきます…。

ただでさえ素晴らしい音楽ですが、、選曲が抜群で、使う場面が反則。

まずは、指揮者が倒れ入院した病院の中庭で、バンドのメンバー達が炭坑用のヘッドランプを頭につけて、その光を頼りに「ダニー・ボーイ」を演奏するシーンに号泣…。
一人だけ口笛のユアン・マクレガー!

ブラス! ダニー・ボーイ

続いて、決勝戦での「ウィリアム・テル序曲」でまたもや涙。
この決勝戦のシーンは、代役の指揮者のハチャメチャな指揮ぶりもグッド。

とどめは、ラストの「威風堂々」。
ここでこの曲かよ~っと、もうボロボロ…。

それでも、ただ感動させようというだけでなく、ダニーのあの泣かせる演説のあとちゃっかり仲間がトロフィーを持ち帰るなど、ちゃんとユーモアも忘れていません。

最後に、サントラをすぐに買いに行ったのは言うまでもありません。

 

ブラス! [DVD]

[原題]Brassed Off
1996/イギリス/107分
[監督]マーク・ハーマン
[演奏]グライムソープ・コリアリー・バンド
[出演]ピート・ポスルスウェイト/ユアン・マクレガー/タラ・フィッツジェラルド

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