『お熱い夜をあなたに』(ビリー・ワイルダー)

お熱い夜をあなたに

「Permesso?」
「Avanti!」

今回は、ビリー・ワイルダー第7弾『お熱い夜をあなたに』です。

父の遺体を引き取りにイタリアはイスキア島までやってきたアメリカ人ウェンデル。
そこで彼は、真面目な仕事人間だと思っていた父が、腰の治療のための静養と偽りながら実はこの地で毎年イギリス婦人とバカンスを楽しみ、死んだ時も二人一緒の交通事故だったことを知る…。

ジャック・レモン扮する大企業の副社長ウェンデルは、典型的な仕事人間で、一刻も早く遺体を引き取り、21万6000人の社員が待つアメリカで盛大な葬式を挙げることしか頭にありません。

しかし、何かにつけのんびりしたイタリア人、検死官は朗々と語り出し、書類を準備する役所も1時から4時まで昼食なので4時までは相手にしてくれません。

そんな状況にイライラがつのるウェンデルの前に、イギリス人女性パメラが現れます。
パメラの母こそ父の恋人であり、パメラも母親の遺体を引き取りにこの地までやってきたのです。

この地に二人一緒に埋葬してあげましょうとパメラ、アメリカで全て準備が整っているのにとんでもないとウェンデル。

しかし、仕事そっちのけで歌い、食べ、愛するイタリア人、一向に手続きは進みません。

そんな中、少しずつ、少しずつ、イタリアののんびりした空気に感化されていくウェンデル。

父とパメラの母親がしたのと同じように、朝日を見るために全裸で海に泳ぎ出し、二人が聞いた歌を聞き、二人が飲んだお酒を飲み、二人が好んだ料理を食べる。

お熱い夜をあなたに ビリー・ワイルダー

ついに結ばれる二人。

しかし、国務省のお偉方まで駆けつけ、ウェンデルは妻と子供の待つアメリカに、パメラもイギリスに帰ることに。

初めはあんなに衝突したのに、今や離れがたくなっているウェンデルとパメラ。
そんな二人に、滞在先のホテルの支配人がした粋な提案とは?

イタリアの雰囲気もあって、143分という長さを感じさせない素敵な恋の話ですが、ラスト直前まではまあ普通によくできた話という感じだったんですが、ラストにやられました。

支配人の提案、これが完全にツボ、ど真ん中ストライク。
このラストシーンだけで、オールタイムベストに入れている『アパートの鍵貸します』と同じくらい好きかもしれません。

『アパートの鍵貸します』のラストシーンも最高に素敵ですが、あのシーンを初めて観た時よりも、ラストだけなら今回の方がきました。

ワイルダー作品の中ではあまり有名ではないのかもしれませんが、このラストシーン死ぬほど好きです。

[原題]Avanti!
1972/アメリカ/143分
[監督]ビリー・ワイルダー
[脚本]ビリー・ワイルダー/I・A・L・ダイアモンド
[出演]ジャック・レモン/ジュリエット・ミルズ/クライヴ・レヴィル

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