ウォン・カーウァイ DVDコレクション デジタル・リマスター版

ウォン・カーウァイ DVDコレクション デジタル・リマスター版

まず最初に、字幕が変わっていなくてよかった…。
これが唯一の心配だった点ですが、ユニバーサルさんもさすがにそこはわかってらっしゃったようです。
ウォン・カーウァイ作品は、台詞やモノローグがもう世界観を作り上げているわけで、そこをいじるということはかなり大きいことですからね。

まずは『欲望の翼』の例の台詞を確認。
「1960年4月16日3時1分前、君は俺といた。この1分を忘れない」。
この台詞が違和感なく言えるのはレスリーしかいませんね。
そして、一気に早送りして、終盤にもう一つ決め台詞。
「あの女といた。肝心な事は忘れない」。
くぅ~…。

続いて『恋する惑星』
これは、感想を書いた際に大量に台詞やモノローグをUPしたので、それを片手に全編鑑賞。ちゃんと全部同じでした。
途中飛ばそうと思えば飛ばせる部分があったんですが、気がついたら全部観ていました。
もう20回近く観ていると思いますが、これは全てのシーンが大好きだからこそできることですよね。

続いて、今回のBOXの売りである特典映像。

凄すぎます!!
12000円の価値は十分あります、というより、もっと高くてもファンなら誰も文句言わないでしょうね。

タランティーノが絶賛することは予想通りでしたが、タランティーノの話の中で一番おっ!と思ったのは、『恋する惑星』のブリジット・リンのカツラを含めたあの格好が、『グロリア』のジーナ・ローランズへのオマージュだということ。
『グロリア』は自分にとってもオールタイムベストに名を連ねている映画、ウォン・カーウァイも大好きだったなんて、嬉しいですね~。

続いて、クリストファー・ドイルの酔っぱらいながらのインタビュー。
『ラヴソング』に役者として出た時も酔っぱらいの英会話教室の講師の役でしたが、カメラの前に出てくる時は酔っぱらっているのが仕様なんでしょうか(笑)

技術的な話もしていましたが、一番感じたのは、ウォン・カーウァイとクリストファー・ドイルとウィリアム・チャンが、とてつもない絆で結ばれているんだということ。
昔の彼女よりよっぽど自分のことを知っている、そんなようなことも言っていました。

お互いに言いたいことはちゃんと言い合って、自分たちが納得いくものを、好きなように作る。ウォン・カーウァイと一緒に映画を作っていることがどんなに幸せか。

ウォン・カーウァイも、映画について思い出すのは、ストーリーではなく撮影過程だみたいなことを話していましたが、本当に楽しんで撮っているんだなぁと、もちろん苦労も山ほどあるわけですが。

作っている方がそんなだから、観ているこちらも、その幸せを共有しているような気にさえなるんですよね。

そして、問題の未公開映像。ストーリーからして全然違うんですけど!(笑)
特に『恋する惑星』、ブリジット・リンの設定自体違うし…。
『天使の涙』は、ラストシーンの“その後”がありました。

ここでいろいろ書くのは未見の方の楽しみを奪ってしまいますので、観てのお楽しみということにしておきます。

最後に、ウォン・カーウァイのインタビューの中に、彼の作品を端的に表す印象的な言葉がありました。

「彼らは同じ場所ですれ違い、それぞれの人生を歩むんだ」

【関連記事】
『欲望の翼』(ウォン・カーウァイ)
『恋する惑星』(ウォン・カーウァイ)