『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』(三池崇史)

スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ

セルジオ・レオーネを、セルジオ・コルブッチを愛する者として、観に行かないわけにはいかないでしょう。
というわけで、『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』観て来ました。

オープニング(敵役は微妙)と、ラストの決闘、そして北島三郎の「ジャンゴ~さすらい~」は素晴らしい。
が、全体としては微妙…。

オープニングの何がいいって、手書きのクレジットがいい。
スクリーンの上下いっぱいのでかでかとした文字で、錚々たる顔ぶれが紹介されていきます。
もうこれだけでワクワクしてきますね。
あと、オープニングでは、箸も入れられるホルスター最高!(笑)

棺桶、墓場、ぬかるんだ地面、ガトリング銃と、そのまんま『続・荒野の用心棒』なので、これだけでもうマカロニファンとしてはニンマリ。

なぜか急に雪が降ってきて、いつの間にか『殺しが静かにやって来る』になるあたりなんかも、おぬしわかってるなと。

話も、『用心棒』→『荒野の用心棒』→『ラストマン・スタンディング』と、毎度お馴染みの例の話。

スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ 三池崇史

西部劇が苦手な方は別として、面白くないわけがない映画なわけですが。

一言で言うと、

日本語でやってくれ。

もうこれに尽きます。

壇ノ浦の200年後なのにスカジャンが出てきたり、平清盛が途中からヘンリーになったり、十分ハチャメチャなので、ハチャメチャ感を出すために英語にする必要性はありません。

海外向けという意味でもあるんでしょうが、内容さえよければ日本語だろうが海外でも評価されるのは言うまでもないですし、この英語では、英語字幕なしでは海外では上映できないのでは?

役者も、下手な人たちでもないのに、みんな“英語を話す”ことだけで精一杯で、“台詞”にすらなっていません。
『ゆれる』ではあんなに上手いと思った香川照之なんか、観ていられないくらいひどい。

次に、『ラストマン・スタンディング』のブルース・ウィリスはまあいいとして、『用心棒』の三船敏郎、『荒野の用心棒』のクリント・イーストウッド、『続・荒野の用心棒』のフランコ・ネロと、この手の映画では主役の圧倒的な存在感が魅力。

が、伊藤英明のガンマンよりも伊勢谷友介の源義経の方がずっとかっこよく、さらに桃井かおりがその上をいくかっこよさ(笑)
ガンマンよりも、源義経vs血まみれ弁天が観たいと思ったのは、自分だけではないでしょう。

スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ 伊勢谷友介

木村佳乃は、『寝ずの番』で完全に吹っ切れましたね。
体当たりの汚れ役で、妖艶な踊りも披露、存在感抜群。

これ、日本語ならもっとよくなったはずなのに、もったいないなぁ。
賞を穫って以来海外を意識するようになってしまった北野映画と同じで、海外への意識が悪い方に出た感じ。
日本語で、役者の実力が十分に出せる環境で、内容でとことんハチャメチャにやればいいのに。

まあそれでも、21世紀に劇場でマカロニウエスタンが観れて、劇場で“ジャンゴ~♪”が聞ける幸せ。
散々文句も言いましたが、三池監督、ありがとう!

 

スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ [Blu-ray]スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ [Blu-ray]

2007/日本/121分
[監督]三池崇史
[主題歌]北島三郎「ジャンゴ~さすらい~」
[出演]伊藤英明/佐藤浩市/伊勢谷友介/桃井かおり/香川照之/石橋貴明/安藤政信/木村佳乃/松重豊/堺雅人/小栗旬/クエンティン・タランティーノ

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