「俺はいつも逃げてばかりだ」
「つまらない人生から、だろ?」
アンコール上映をやっていたので、今さらながら『ゆれる』観て来ました。
2点を除いて、完璧。
うだうだ語るのが野暮というものでしょう。
ここまで素晴らしいと、何も書くことがありませんね(笑)

検事役の配役、エンドクレジットにインストルメンタルの曲を使わなかったこと、この2つ以外は非の打ち所がなく、今までたいして邦画を観ていなかったことを猛省。
語り尽くされている香川照之の巧さは、実際観てみると尋常ではなく、この先“巧すぎて嫌みなメリル・ストリープ”状態にならないことを願うばかり。
面会シーンも圧巻ですが、ラストの“顔力”が絶品。
今までラストの“顔力”といえば『サブウェイ・パニック』のウォルター・マッソーと『殺人の追憶』のソン・ガンホが双璧でしたが、まったく見劣りしません。
いかにもなうるさい音楽を流さず、説明調のつまらない台詞もなく、無駄なシーンが一切なく、淡々としていながら、何度も何度も感情の波に揺れ動かされる。
後で知りましたが、監督の西川美和さん、5つと歳が違わないんですね…。
脱帽。
2006/日本/119分
[監督・原案・脚本]西川美和
[出演]オダギリジョー/香川照之/伊武雅刀/新井浩文/真木よう子/木村祐一/ピエール瀧/田山涼成/河原さぶ/キタキマユ/田口トモロヲ/蟹江敬三
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