『サブウェイ・パニック』(ジョセフ・サージェント)

サブウェイ・パニック

ニューヨークの地下鉄が、4人の男たちにハイジャックされた。
1時間以内に現金100万ドルを要求した彼らは、1分でも遅れれば、1分につき人質を一人殺すと脅迫。
ハイジャック犯と警察の、タイムリミット1時間の死闘の火蓋が、今切って落とされる…。

これ以上は、内容については何も書かない方がいいでしょう。

犯人同士が色で呼び合うのは、『レザボア・ドッグス』の元ネタとして有名。

警察側で犯人との交渉に当たるのが、ウォルター・マッソー。
一見して切れ者ではありませんが、実は判断はかなり的確。
秒単位を争う犯人との交渉役を一手に引き受け、虚々実々のやりとりを繰り広げます。

サブウェイ・パニック ウォルター・マッソー

ハイジャック犯のリーダー“ブルー”には、当ブログでは『スティング』に続いて登場のロバート・ショウ。
他の3人は主に人質の見張り役なので、ウォルター・マッソーとのやりとりは彼が一人で担当。

サブウェイ・パニック ロバート・ショウ

“ブルー”が一番信頼を置く“グリーン”にはマーティン・バルサム。彼の○○○○がこの映画の大きなポイント。

さらに、気の短い“グレー”に扮したヘクター・エリゾンド、彼が漂わせる危うさも素晴らしい。

4人の中では、“ブラウン”ことアール・ヒンドマンはちょっと存在感が薄いですね。

あるシーンでウォルター・マッソーが見せつける“顔力”は、『殺人の追憶』のラストのソン・ガンホと双璧でしょう。

素晴らしいのは演出、脚本、役者だけではありません。

オープニングから一気に引き込み、劇中も緊迫感をさらに増幅させる(しかしやり過ぎてはいずバランスが絶妙)デヴィッド・シャイアのスコア。

ニューヨークの街の空気を見事に切り取った、『フレンチ・コネクション』『エクソシスト』などで知られる名手オーウェン・ロイズマンのカメラ。

それにしても、全編に漂う緊迫感といったら、尋常ではありません。
“息が詰まる”などという言葉ではとても足りません。
見終わった後には、必ず心拍数が上がっていることでしょう。

さらに、この極上のサスペンスを締めくくるに相応しい、思わずニヤリとなるラストのオチ。

何から何まで、すべてが一級品。
まだご覧になっていない方は、騙されたと思って観てみて下さい。

大傑作。

 

サブウェイ・パニック -HDリマスター版- [Blu-ray]

[原題]The Taking of Pelham One Two Three
1974/アメリカ/104分
[監督]ジョセフ・サージェント
[撮影]オーウェン・ロイズマン
[音楽]デヴィッド・シャイア
[出演]ウォルター・マッソー/ロバート・ショウ/マーティン・バルサム/ヘクター・エリゾンド/アール・ヒンドマン

→予告編 →他の映画の感想も読む

関連記事

映画『サブウェイ・パニック』のポスターデザインを集めました。全部で11枚。 サブウェイ・パニック -HDリマスター版- [Blu-ray] →他の映画のポスター集も見る [sitecard[…]

関連記事

この前触れましたように、「リクエスト・ライブラリー」まで作って気合が入っている20世紀フォックスですが、またまた嬉しい再発売が。 こういう大傑作ぐらい、いつでも誰もが手に入るようにしておいてもらいたい。 『ジャガーノート』と[…]

関連記事

eiga.com <デンゼル・ワシントンがトニー・スコット監督と4度目のタッグ!> 『The Taking of Pelham One Two Three』ってどこかで聞いたタイトルだなぁと思ったら、“ハラハラドキドキ!”カテゴリ[…]