『超高層プロフェッショナル』(スティーヴ・カーヴァー)

超高層プロフェッショナル

昨夜Twitterの方でフォロワーさんがクイズに出していたので(正解しました!)久しぶりに観ましたが、やっぱり最高ですねこの映画。

フォロワーさんのクイズにもあったように、ビルを建てる、話としてはそれだけ。『北国の帝王』以上に単純と言ってもいいくらい。

でも、そこに集まってくる男たちの顔が、もうどいつもこいつもみんないい顔してるんだよなぁ、何しろ舞台は建設現場ですからね、そこに似合わない顔なんて、初めからお呼びじゃない。

贅沢にもジョージ・ケネディをあっさりと使い捨てた後、主役のリー・メジャース登場。
ここでも、うだうだと彼について説明なんてしないところがいい。

いろいろごちゃごちゃしていたところに、彼が現れただけで、現場の作業員たちの目の色が変わる、「おい見ろよ、キャットン(メジャース)だ」、自然と彼の元へ駆け寄り、声をかける男たち。

超高層プロフェッショナル リー・メジャース

どこかの現場でかつて彼と一緒に仕事をしたか、そうでなくても誰でも名前は知っている、その世界では知らない者はいない男。
しばらく現場から離れていた伝説の男が帰って来た、急に活気づく現場。

そして、彼はいきなりその実力を見せつける。
いくら名が知れていてもそれだけではだめで、やはりその力を見せつける必要はあります。

『眼下の敵』でロバート・ミッチャムが民間人の素人とバカにされながら、魚雷をかわしたことで一発で部下の信頼を得たように、仕事の妨害に来ていた男を一蹴し、一発で作業員たちの心を掴みます。

でも、普通に考えたらどう考えても無理なスケジュール、普通に仕事をしていたんでは間に合わない。
そこで彼は、かつて一緒に仕事をしたことのある、馴染みの仲間を集めに行きます。
仲間といっても、腕は超一流ながら、どれもこれも一筋縄ではいかない男たち。

この仲間集めのくだりもいいんだよなぁ。喜んで乗ってくる者もいれば、そうでもない者もいる。
渋る相手とのやりとり。

「断れんぞ」
「なぜだ」
「チェロキーにタンクにハリー…、お前が来ないわけにはいかん、おじけづいたか」
「バカも休み休み言え」

超高層プロフェッショナル

ニヤリとし合う二人の男。これだよこれ!

もちろん上手く工事が進んでは面白くないので、当然妨害が入ります。
といっても、舞台が建設現場なので、妨害といっても一味違います、鉄骨が届かない!(笑)
なので、トラックごと鉄骨を盗みに行く!このどこかのどかなところがいいですね。

でも、のどかとばかりは言っていられなくて、命綱もない超高層ビルでの作業、落ちれば、当然死にます。
お約束のそんな展開ももちろんあります。
※本作は撮影中の落下スタント事故で亡くなったA.J.Bakunas氏に捧げられています。

そしてもう一つ、超高層ビルでの作業にも関わらず、リーダーのキャットンは今は高所恐怖症に陥っており、初めはそれを仲間に隠していますが、いつまでも隠せるわけもありません。
これは彼の立ち直りの物語でもあります。

力を合わせなんとか進んでいく工事、それでも、現場にまで妨害が入ろうとし、絶体絶命のピンチ、秘策はあるのか?
というラストへの展開は見てのお楽しみとしておきますが、どうしても触れておきたいのが、このショット。

超高層プロフェッショナル

映画を観ていると、監督はこのショットが撮りたくてこの映画を撮ったんだろうなぁという完璧なショットがたまにありますが、この映画ではこれ。

『ザ・ミッション/非情の掟』のジャスコでの銃撃戦のあの完璧なフォーメーションも、さすがにこれには敵わないでしょう。

見た目的なかっこよさはもちろん、このフォーメーションが完成するまでの過程を知っているからこそ、もう痺れまくり。

最後に、先ほど登場人物たちの顔が素晴らしいと書きましたが、それを踏まえた上でさらに素晴らしいのが、オープニングやエンディングで作業の過程で人物たちがシルエットのようになるところ。

実際に役者たちが全部作業はできないのでその意味ももちろんあるでしょうが、このビルではたまたまこの男たちが命を賭けているだけで、別の現場では、また別の連中が同じように命を賭けている。

そんな、世界中の現場で働くプロフェッショナルたちへの思い。

超高層プロフェッショナル

オープニングで、顔も映らない作業員の手に被さるように、地味に出るタイトル『STEEL』、この地味さに何よりも痺れます。

必見。

 

超高層プロフェッショナル [Blu-ray]

[原題]Steel
1979/アメリカ/102分
[監督]スティーヴ・カーヴァー
[出演]リー・メジャース/ジェニファー・オニール/アート・カーニー/リチャード・リンチ/ジョージ・ケネディ/ハリス・ユーリン

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