「弟ほどの男はいないが、あんたが一番近い。光栄に思う、大佐」
今回は、アイドル映画と見せかけて実は香港映画十八番のノワール、『ドラゴン・スクワッド』です。
ヴァネス・ウーにショーン・ユー主演、二人目当てにご覧になった女性の方も少なくないでしょう。
ですが、残念ながらこの二人はどうでもいい。
各国の精鋭を集めた国際警察チームvsテロリストなわけですが、警察チームは上記二人に、紅一点なかなかの活躍を見せる『カンフーハッスル』のホアン・シェンイー。
あとの男二人は、主役二人以上にどうでもいい(ややスナイパーのシア・ユイ(『太陽の少年』)が目立ちますが)。
警察側は、肩書きも腕前も一流ながら、役者がこの面子。
対するテロリスト側、元コロンビア軍大尉のマイケル・ビーン、元韓国軍特殊部隊大佐のホ・ジュノ、元ベトナム軍スナイパーのマギー・Qなど。
誰がどう観てもこっちのが強い(笑)
というわけで、警察側に助っ人として、指揮官サイモン・ヤムに、定年間近の訳あり刑事サモ・ハン。
面子的にはこれでようやく互角か。
ただ、『SPL/狼よ静かに死ね』のイメージが強烈に残っているサモ・ハン、『爆裂都市』が浮かびなぜか味方に見えないサイモン・ヤム。
警察側、いまだ劣勢(笑)
この映画、不満も確かにあります。
tonbori様も指摘されていましたが(web-tonbori堂ブログ:『ドラゴン・スクワッド』感想)、各人物の出自を示すイメージシーン、あれは全く不要。
最初の1回だけならまだしも、繰り返し流され、その度に映画の流れが止まってしまいます。
ただ、アクションシーンとなると、俄然盛り上がるのがこの映画。
スナイパー同士の一騎討ちも観れますし(マギー・Qかっこよすぎ!)、サモ・ハンvsホ・ジュノという香港vs韓国の頂上決戦も観れます、しかも2回も!
白眉は、中盤やや過ぎたあたりにくる大銃撃戦。
いざ撃ち合いが始まってからはひたすら撃ちまくるド派手な展開なんですが、始まりがいい。
建物から出て、ビルとビルの間を歩き始めるマイケル・ビーン。
そのすぐ後をつけるショーン・ユーとヴァネス・ウー。
背後から銃を突きつけられていることに気づきながら、歩みを止めないマイケル。
ビルの屋上から、二人に照準を合わせるマギー・Q。
マギーはマイケルに携帯で反対側で敵が待ち伏せていることを伝えます。
反対側から現れるホアンともう一人。
4人に前後を挟まれたまま歩き続けるマイケル。
マギーは後ろの二人を撃つとマイケルに伝えます。
しかし、時を同じくしてマイケルに照準をピタリと合わせている警察側スナイパー。
もちろんスナイパーと下の4人も無線で連絡を取っています。
前後を挟んだ1vs4と、それぞれ上から狙う両陣営のスナイパー。
この構図が素晴らしい。
結末は観てのお楽しみということで。
この映画、単なるドンパチで終わっていないところもいい。
サモ・ハンが背負っている過去、そこに絡んでくるホ・ジュノ。
マイケル・ビーンとホ・ジュノの絆(冒頭のマイケルの台詞、この映画一番の痺れどころ)。
目的に近づくために利用するだけだったはずの女に、次第に情が移っていくマイケル。
この女性を演じているのがリー・ビンビン。
『シルバーホーク』とも『剣客之恋』とも違う、こんな雰囲気も出せるのねという素晴らしい演技。
というわけで、アクション以外の見せ場があるのもテロリスト側(笑)
もう誰が主役かわかったものではありません。
知名度やクレジット順を抜きにすれば、マイケル・ビーンとホ・ジュノのダブル主演でしょう(笑)
額を撃ち抜かれない限りは、何発撃たれようが死なないのが香港クオリティですが、いくらなんでもあれは死ぬだろというところから生き残るのが約1名(笑)
『デッドポイント~黒社会捜査線~』のサイモン・ヤムと同じ描写まであったのに。
といっても、ちゃんと死人も出るので、わずかに説得力は残っています。
マギー・Q目当てに観た映画でしたが、予想よりずっと楽しめました。
[原題]猛龍
2005/香港/111分
[監督]ダニエル・リー
[製作総指揮]スティーヴン・セガール
[出演]ヴァネス・ウー/ショーン・ユー/ホアン・シェンイー/シア・ユイ/サモ・ハン/マイケル・ビーン/ホ・ジュノ/マギー・Q/リー・ビンビン/サイモン・ヤム
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