
「何も聞かず、答えない、それが我々の仕事だ。そうすれば生きられる」
今回は、90年代後半になってフランケンハイマーが意地を見せた『RONIN』です。
集められた5人の男。
すでに始まる腹の探り合い。
わざとコーヒーカップを落とすデニーロ、涼しい顔でそれをつかむステラン・スカルスガルド。
「反射神経いいな」
「まあな、昔鍛えた」
いいですね~、こういうちょっとしたやりとり。

腹から弾を取り出すデニーロの凄絶な演技。
観ているこちらまで痛みに悶絶しそうな、尋常ではない演技、今さらながら、デニーロはやはり凄い。
狭い街中を猛スピードで駆け抜けたかと思えば、大量の車が走る3車線のハイウェイを猛スピードで逆走。
構図的に、『ミニミニ大作戦』『ブリット』『フレンチ・コネクション』など、どこかで観たシーンのオンパレードですが、CGやカット割によるごまかしなしの、本物のカースタント。
カーチェイスでは、映画史上でもかなり上位にくる1本ではないでしょうか。
クライマックスの舞台となるスケートリンク、滑っているスターどこかで観た顔だなぁと思ったら、allcinemaONLINEのキャストのところにカタリーナ・ヴィットの名前が。あのカタリーナ・ヴィット?
『16ブロック』のはあれはあれで全然ありでしたが、これの“もうひとつのエンディング”はひどいです(笑)
デ・ニーロを筆頭に、役者はみんな上手いんですが、実は一番美味しいのがショーン・ビーン。
いかにも怪しげな感じで登場し、こりゃキーパーソンかと思いきや、取引現場が近づいてきた時点で挙動がおかしくなり、罠にあっさりひっかかり銃撃戦も素人丸出し。
さらにはカーチェイス後にゲロまで吐く有り様。
大きな口をきいていた割に実は全然たいしたことなく、ここで大人しくしていればよかったものの、またもや知ったような口をきいたため、デ・ニーロにシメられ、あっさりチームからクビに。
序盤であっという間にいなくなります。

しかも、去り際、字幕版だと「すべて忘れて、あなたのためよ」とありきたりの台詞ですが、吹替版だと「私たちのことは忘れなさい、私たちは忘れないわ」と、無駄にかっこいい台詞でクビに(笑)
話としては目新しさはないですし、突っ込みどころもありますが、プロの男同士のちょっとしたやりとり、マクガフィンとしてのスーツケースの使い方、さすがのこだわりを見せるカーチェイスと、さすがフランケイハイマー、十分に楽しませてくれます。
[原題]Ronin
1998/アメリカ/122分
[監督]ジョン・フランケンハイマー
[出演]ロバート・デ・ニーロ/ジャン・レノ/ナターシャ・マケルホーン/ショーン・ビーン/ステラン・スカルスガルド
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