別エンディングは観ない方がいいかも!?
今回は、ブルース・ウィリス主演の『16ブロック』です。
映画は、一言で言えば、以前UPしたイーストウッドの『ガントレット』の縮小版。
ただ、証人が女から男に変わったことにより、愛情の変わりに友情。
警察に襲われることになることは同じながら、中心となる刑事が主人公のかつてのパートナーというところに一ひねり効いていて、ここに名優デヴィッド・モース。
ブルース・ウィリスとモス・デフの役は替えがきくでしょうが、このデヴィッド・モースは替えがきかないですね~。
善から悪まで何でも見事に演じられるデヴィッド・モース、この役は美味しい。
映画はまあ予想通りに進んでいきますが、問題なのがラストシーン。
ラストのラストというより、最後の10分間くらい、DVDには別バージョンが収録されています。
これが、ユンファ兄貴の『大陸英雄伝』の別バージョンくらいなら何の問題もないんですが、今回のは、映画のテーマの根幹に関わるもの。
“人は変われるか”というのが本映画のテーマなわけですが、2つのエンディングではかなりの差があります。
ネタバレ厳禁のラストではないものの、詳しくは書きませんが、本編のラストは凄く余韻がいいんですよね。
じぁ別バージョンが後味悪いだけで全然駄目かというと、質の悪いことに、こっちはこっちで十分成立しています。
ただ、こっちの路線で行くなら、最高峰『デッドポイント~黒社会捜査線~』レベルを望むのは酷としても(決して後味の悪さ自体のレベルの意味ではなく、後味のその先にある余韻のレベルの問題)、何かが足りない。
“人は変われるか”というのは、ブルース・ウィリス、モス・デフだけの話ではなく、デヴィッド・モースにも当てはまる話なわけですが、デヴィッド・モースに関して、別バージョンは説得力に欠けるのではないでしょうか。
そしてやっぱり、もっと単純な意味で、この手の映画を観る人間は、やっぱり本編の方を求めているんですよね(笑)
こうしてみると、求めていない方向にいき、その衝撃すらも日常に還元させる(オープニングとエンディングで円環をなすヨーヨー・モンを捉えるカメラ!)『デッドポイント~黒社会捜査線~』はほんとに凄い映画だなと。
話がジョニー・トー方面にずれかけてきたのでこれくらいにしますが(笑)、この映画については、別バージョンは観ない方がよかったなぁ…。
映画そのものですが、『ガントレット』がバスへの数千発の一斉射撃という大技だったのに対し(それでも、普通はバスを猛スピードで走らせるところをゆっくり走らせたのは、さすがイーストウッド)、こちらはいぶし銀の小技を連発。
脚本の段階で成功は約束されたような映画ですが、リチャード・ドナーの演出もさすがですね。
それにしても、『シン・シティ』、『ラッキーナンバー7』、そしてこの映画、最近のブルース・ウィリスは渋い。
[原題]16 Blocks
2006/アメリカ/101分
[監督]リチャード・ドナー
[音楽]クラウス・バデルト
[出演]ブルース・ウィリス/モス・デフ/デヴィッド・モース
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