『王妃の紋章』(チャン・イーモウ)

王妃の紋章

女性陣の衣装最高、チン・シウトンやりすぎ。いやあ、眼福、眼福(笑)

男の自分にはいまいちよくわからない世界ですが(わかっても困りますが)、あれが世に言う“寄せて上げる”というやつでしょうか。

現代が舞台の戯曲を時代設定を五代十国の時代に変えたのは、これをやりたかったからに違いない。
チャン・イーモウともあろうお方が、趣味炸裂(笑)

王妃の紋章

チャン・イーモウと言えば、何気に当ブログの常連です。

『初恋のきた道』『あの子を探して』『至福のとき』
どれも、小品ながら、素晴らしい作品ばかり。

そして、アン・リーの『グリーン・デスティニー』の成功を羨ましく思ったのか、いきなり大作路線に転じた『HERO』

こんなのチャン・イーモウじゃないと、評判はいまいちだったように思いますが、これまた素晴らしかった。
どんなにスケールが大きくなろうが、そこにはちゃんと心が描かれていたから。

続いて『LOVERS』。ただのチャン・ツィイーのPV。
『PROMISE』でチェン・カイコーに見切りをつけたように、これでチャン・イーモウには見切りをつけ、『単騎、千里を走る。』は観てません。

それがなぜか今回は観に行ったわけですが、悪い評判ばかり耳にしていた割には、『LOVERS』よりは全然いい。

ただ、チャン・イーモウが復活したというよりも、役者の存在感と上手さに助けられているような。

“亜州影帝”と呼ばれるだけのことはあるチョウ・ユンファの圧倒的な存在感、そのユンファに存在感で対抗できるおそらくただ一人の女優コン・リー(やはりチャン・ツィイーとは格が違う)、相変わらず上手いリィウ・イエ。
この3人でなければ、ただのB級メロドラマで終わっていたような…。

そして、最初の感想の2点目ですが、アクション監督チン・シウトン。やりすぎ(笑)

王妃の紋章

ところどころぐっとくるシーンはあるわけですが、アクション場面になると笑えてきて、せっかくの感動が吹き飛んじゃうわけですよ…。

傑王子が手勢を率いて王宮に迫ってきた時、その大軍の描写でまず驚かせながら、それすら遥かに上回る王の圧倒的な力を見せつけられた時にはおぉっと唸るわけですが、いざ戦い始めたら、ギャグですか?と(笑)

ジェイ・チョウも、あのまま戦い続ければ、1人で2万人くらいは倒せそうだし(爆)

王直属の黒装束の部隊もおかしすぎ。
元妻の一族を皆殺しに行かせた時の、屋敷へのあの迫り方はありですか?

戦闘シーン以外では、数百万本とあるだろう菊の花、台無しになった途端すぐに代わりが出てくるのも凄すぎ(笑)

まあ挙げ出したらキリがないのでこれくらいにしておきますが、最後に一つ、プロレスファンにだけわかる耳寄り情報を。

10世紀の中国人は、“ウラカン・ラナ”が使えるらしい。

散々言いたい放題言ってきましたが、ラストの俯瞰ショットと、それに続くエンディングテーマは素晴らしい。

ジェイ・チョウが歌う『菊花台』。
全てをぶち壊した『SPIRIT』のエンディングテーマとは違って、今回は必聴。

繰り返しになりますが、本映画の最大の見所は、“寄せて上げる”です。

王妃の紋章

そのためだけに劇場に行っても損はしないでしょう。
それだけは保証します。

 

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[原題]滿城盡帶黄金甲
2006/中国・香港/114分
[監督]チャン・イーモウ
[アクション監督]チン・シウトン
[音楽]梅林茂
[出演]チョウ・ユンファ/コン・リー/ジェイ・チョウ/リィウ・イエ/リー・マン

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