『男と女』(クロード・ルルーシュ)

男と女

今回は、ken様に“素敵な恋をしよう!”に投稿していただきました、恋愛映画といえばこれ、『男と女』です。

妻を自殺で亡くしたレーサーの男と、スタントマンの夫を事故で亡くした映画の記録係の女、子供の寄宿学校で出会った二人は恋に落ちる…。

モノクロとセピアとカラーの使い分けがどうだとか、カメラワークがどうだとか、そんな難しいことはどうでもいいことで、ただただ陶酔。

冬の浜辺、灰色の空、子供と戯れるアヌーク・エーメ、走り回る犬、レストランでエーメの椅子にもたれかけたトランティニャンの指先、車中でそっと手を添えられた時のエーメの目の移ろい、車のフロントガラスを叩く雨、モンマルトル1540、そしてダバダバダ~♪

夜を徹して走ったモンテカルロ・ラリー、優勝した男の元に電報が届きます。
「ブラボー、愛してます」

これにやられない男はいないでしょう。
疲れきったその体で車を走らせる男。カウリスマキの『ラヴィ・ド・ボエーム』では音楽に合わせた動きで笑いを誘ったワイパーが、ここでは女のもとへ急ぐ男の気持ちを代弁します。

そして、抱き合う二人。

男と女 映画

ところが、結ばれるはずの夜、夫との幸せな日々が脳裏をかすめる女、別れる二人。

それでも、別れた後、二人は同時に同じ光景を思い出すのです。

それは、レストランでのやりとり。
料理を注文したのに立ち去らないボーイ。
「何か注文しないと悪いみたい」と女。
「喜ばせよう」と男。
そして…。

『カサブランカ』のハンフリー・ボガードの「君の瞳に乾杯」、『リオ・ブラボー』のジョン・ウェインの「君を逮捕する」に続いて、一度は言ってみたい台詞第3弾。

男はボーイに一言こう告げます。
「“部屋”を頼む」

ダバダバダ~♪
言ってみた~い!(笑)
思わず顔が真っ赤になりそうですが、ほんとにたまらないシーンです。

二人の恋の、そして愛の行方は…。

冬ソナ、セカチュー、いま会いと、今や純愛ブーム真っ盛りの日本ですが、恋愛といえばやはりフランス。

そういえばビリー・ワイルダーの『昼下がりの情事』のオープニングでは、子供からお年寄り、動物から銅像まで、パリ中のキスシーンで溢れていましたよね。

タイトルもずばりそのまま『男と女』、フランシス・レイのダバダバダ~♪をバックに、今宵はこのめくるめく愛の世界に浸ってみてはいかがでしょう?

「私の夢の世界で、あこがれの人生」
~クロード・ルルーシュ~

 

男と女 製作50周年記念 デジタル・リマスター版 [Blu-ray]

[原題]Un homme et une femme
1966/フランス/104分
[監督]クロード・ルルーシュ
[音楽]フランシス・レイ
[出演]アヌーク・エーメ/ジャン=ルイ・トランティニャン/ピエール・バルー

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