今回は、ハワード・ホークス監督の痛快傑作西部劇『リオ・ブラボー』です。
メキシコ国境近くの町リオ・ブラボーを舞台にした数日間の話。
悪党一味に立ち向かう保安官ジョン・ウェインの仲間は、アル中の助手ディーン・マーティン、足の不自由な老人ウォルター・ブレナンと、なんとも頼りにならない連中ばかり。
ディーン・マーティンは昔は凄腕のガンマンだったものの、今は手の震えが止まらない有様。
そこにさらに、詐欺賭博師のアンジー・ディキンソン、幌馬車隊の護衛リッキー・ネルソンも加わります。
この映画の素晴らしさの一つは、ジョン・ウェイン一人がおいしいところをもっていかずに、みんなに見せ場が用意されているところ。
まずは、ディーン・マーティン。コップに滴る血から犯人が2階に潜んでいるのを知り、身をひるがえして撃ち殺すシーン、馬上の敵の馬の手綱を目にも止まらぬ早さで撃って切るシーン、ともに、今は酒に溺れていながらも昔は凄腕だったことをわからせてくれます。
この映画は、彼の立ち直りの物語でもあります。
リッキー・ネルソンは、なんといってもホテルの前の早撃ち。
ホテルの前で3人の敵に銃を突きつけられて絶体絶命のジョン・ウェイン。
中にいてそれに気づいたリッキー・ネルソンは、アンジー・ディキンソンに鉢を窓ガラスにぶつけろと命じると、一人ふらりと外に出ます。
窓ガラスの割れる音に敵が驚いたその瞬間、立て掛けてあったライフルをジョン・ウェインに放ると、二人同時にアッという間に3人を倒してしまいます。このシーンの爽快感は凄い!!
アカデミー助演男優賞3度受賞の名脇役ウォルター・ブレナンはコメディを一手に引き受け、全編笑わせてくれます。
ジョン・ウェインに頭にキスされて怒って箒でお尻を張り倒すシーンなど最高。
それでいて、いざという時には頼りにもなります。
アンジー・ディキンソンはお色気を担当。
『カサブランカ』の「君の瞳に乾杯」同様一度は言ってみたい台詞、保安官ジョン・ウェインの「君を逮捕する!」
ジョン・ウェインは完全にタジタジなので、実はこの映画では彼女が最強(笑)
挿入歌も素晴らしく、保安官事務所に篭城した際に「ライフルと愛馬」「シンディ」をディーン・マーティンとリッキー・ネルソンとウォルター・ブレナンが歌うシーンは、いつまでも聞いていたい至福の一時。
タイトルが凄い「皆殺しの歌」もかっこよすぎ!この歌を耳にしたディーン・マーティンの手の震えが止まるシーンは痺れます…。
この映画唯一にして最大の欠点は、後半で敵が弱すぎること。
まぁそれでも、それまでの面白さはその不満を補って余りあります。
映画の面白さの全てが詰った、何度観ても面白い傑作西部劇。
2014.2.1 「新・午前十時の映画祭」で鑑賞
ついに映画館で観た!映画館に響き渡る「皆殺しの歌」!繰り返し観ている映画なのに、一日中でも観ていられるくらい、涙がちょちょぎれるくらい面白い。アメリカ映画最強。西部劇最強。
何がヤバイって、2014年の映画館なのに、開始早々「John Wayne」とクレジットが出る時点ですでにヤバイ(笑) いくら家で何回も観ていても、映画館で出るこのクレジットの威力は凄い。そんなジョン・ウェインが完全にタジタジのアンジー・ディキンソンが実は最強w
それにしても、映画館でこの曲を聴ける日が来るとは!(涙) http://youtu.be/znAEgd2C5TE
[原題]Rio Bravo
1959/アメリカ/135分
[監督]ハワード・ホークス
[音楽]ディミトリ・ティオムキン
[出演]ジョン・ウェイン/ディーン・マーティン/リッキー・ネルソン/ウォルター・ブレナン/アンジー・ディキンソン
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