今回は、当ブログではビリー・ワイルダーの『情婦』を紹介しています名優チャールズ・ロートン、彼の唯一の監督作品『狩人の夜』です。
黒人霊歌モーゼスの歌声が響く時、悪夢のような夜が始まる…。
例によってサスペンスなので内容には触れせんが、この映画はなんといっても映像。
凄い映像に対しては、“言葉にならない美しさ”“溜息ものの美しさ”などという言葉がよく使われますが、この映画以外ではなかなか聞かない言葉の“魔術的映像美”。
ただ、実際に映画を観ると、他の言葉ではやっぱりしっくりきません、まさに魔術的映像美。
といっても、ホラー的な怖さではありません。
おとぎ話のようなシーンも出てくるように、いわゆる目で怖がらせる怖さではありません。
画面から滲み出ている不安感、怖れ、焦燥感、それらが死ぬほど怖い…。
その怖さの一角を担っているのがロバート・ミッチャム。
両の手に施された“LOVE”&“HATE”の入れ墨、どこからともなく聞こえてくる黒人霊歌モーゼス…。
そのロバート・ミッチャムに立ち向かうのが、リリアン・ギッシュ。なんという組み合わせ!
『散り行く花』のいたいけな少女でもなく、『八月の鯨』の90歳になってもなお貫禄十分だった彼女でもなく、中年のリリアン・ギッシュ。
興行的な大失敗のため二度とメガホンを取ることはなかったチャールズ・ロートン。彼の“二作目”が観てみたかったのは自分だけではないでしょう。
公開当時、批評家トリュフォーただ一人が絶賛したという、20年早過ぎた傑作。
伝説の魔術的映像美。
[原題]The Night of the Hunter
1955/アメリカ/93分
[監督]チャールズ・ロートン
[撮影]スタンリー・コルテス
[出演]ロバート・ミッチャム/リリアン・ギッシュ/シェリー・ウィンタース
今回は、前回の『いとこのビニー』から法廷ものつながりで『情婦』です。 邦題で損している映画の典型で、原題は『Witness for the Prosecution』。 これをそのまま『検察側の証人』と訳したのでは堅過ぎると思った[…]