『我左眼見到鬼』(ジョニー・トー/ワイ・カーファイ)

我左眼見到鬼

ジョニー・トー第28弾。

サミー・チェン扮するMayは、お金持ちDanielと結婚するものの、結婚生活わずか7日でDanielが亡くなってしまう。

3年後、彼の財産を受け継ぎ、Mayは自堕落な毎日を送っていた。

そんなある日、お酒を飲みながら車を運転していたMayは事故を起こし重傷を負ってしまう。
そしてその日から、彼女の左目には幽霊が見えるようになり…。

そんなMayの前に現れたのが、ラウ・チンワン扮する幽霊のKen。
彼によると、Mayの小学校時代の同級生で、13歳の時に溺れて死んでしまったらしい。

このKenの格好がまず笑えます。
つぎはぎだらけの服に、鼻の頭には絆創膏、溺れて死んだからなのか水中メガネ、そしてなぜか仮面ライダーの物真似。ラウ・チンワン楽しそうです(笑)
この仮面ライダーの物真似は、Mayの前に現れる時の合図みたいなもののような気もしますが、関係ない時にもやっていたような…、日本語字幕がないので、細かいところはよくわかりません(笑)

初めはKenの登場に戸惑うMayも、彼と関わっていくうちに、少しずつ、少しずつ、自分を取り戻していきます。

我左眼見到鬼 ラウ・チンワン サミー・チェン

MayはKenに語ります。
「周りのみんなは、お金目当てで結婚したと言うけど、たった7日間だけだったけど、ほんとに彼のこと愛してたの。彼に会いたい…」

Danielの幽霊を呼び寄せることができないので、代わりにMayを抱きしめるKen。

しかし、打ち解けたKenも、いよいよ向こうの世界に帰る日が。
別れる二人。

そんなMayには、Danielのクラシックカーの修理を頼んだ、Samという知り合いが。
Samもまた愛する人を失っています。

修理が終わったというので出かけると、初めて会ったSamにMayはびっくり。
SamはKenその人だったからです(ラウ・チンワン二役)。

Kenの正体は、Samの姿を借りたDanielだったのです(ややこしいですが、たぶんこれで合っていると思います)。

ようやくそのことに気づいたMay。
Kenと二人で過ごしたプールサイドで、「Daniel、出てきて!」と、何度も何度も、必死で仮面ライダーの物真似をするMay。
こうやって文章にするとギャグと思われるかもしれませんが、これが泣けるんです…。
まさか仮面ライダーに泣かされるとは、さすがはジョニー・トー先生。

我左眼見到鬼 仮面ライダー

そういえば、セシリア・チャンの『星願 あなたにもういちど』も同じような展開でしたね。
会いたいと願った亡き人が側にいるのに気づかないという。

あの映画では、気づいたセシが、わずかながらもリッチーと過ごす時間がありました。
それに対し、この映画では、Ken(Daniel)は最後まで戻ってきてはくれません。

しかし、セシが一人残されたのとは違い、MayにはSamがいます。
すぐに二人が結ばれてはいめでたしというラストにはせずに、二人の“これから”を思わせるラストもニクい。

脇役も、Samのお父さんにウォン・ティンラム、Mayの義理の妹にチェリー・イン、チョイ役ながらおかしな髪型と格好でインパクトありすぎのサイモン・ヤム、さらにMayのお父さんにラム・シュー!

ラウ・チンワンの格好といい、話の設定といい、一見ふざけた感じですが、実はかなりいい話。
ジョニー・トー監督のラブストーリー路線としては、かなりお勧めです!

 

我左眼見到鬼 (Blu-ray) (香港版)

[原題]我左眼見到鬼
2002/香港/99分
[監督]ジョニー・トー/ワイ・カーファイ
[執行導演]ロー・ウィンチョン
[脚本]ワイ・カーファイ/ヤウ・ナイホイ/オー・キンイー
[出演]サミー・チェン/ラウ・チンワン/チェリー・イン/ラム・シュー/サイモン・ヤム/ウォンティンラム・シュー/ケリー・リン

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