前回が『仕立て屋の恋』でしたので、ついでといってはなんですが、同じパトリス・ルコント作品から『髪結いの亭主』。
ルコント作品としては、こっちのが有名かもしれません。
子供の頃からずっと女の理髪師さんと結婚したいと思っていた中年の男。
そんな彼は、ついに長年の夢を実現させる。
二人の愛の日々は静かに過ぎていくが…。
出会って早々女のことを何も知らないのに、いきなり「結婚してください」。
言う方も言う方なら受ける方も受ける方ですが、全然違和感なくとても素敵なシーンです。
それにしても、“髪結いの亭主”、いい職業です(笑)
奥さんがお客さんの髪を切っている間、ただ近くのソファーに座って雑誌でも読みながら見ているだけ。
スケベなこのおやじは時々仕事をしている奥さんにちょっかいをかけます。奥さんも嫌がることなく、二人で官能の世界を堪能…。
これだけ読むと勝手にやっててくれという、ただのエロ映画になってしまうんですが、そんな面も大いにありますが、決してそれだけではないのでご安心を。
あともう一つ忘れてはならないのが、このおやじが、アラブ風の音楽に合わせて踊る独特の踊り。
踊りというほどたいしたものではなく、音楽に合わせて意味不明に体を動かしているだけという感じですが、最高に笑えます!
そして、物語は衝撃の展開に…。
でも、そのシーンは確かに衝撃ですが、その後にくるラストシーンが、衝撃とは一転またいつものお店の雰囲気、そして男が例の踊りの後にぽつりという一言(書いてしまうと完全にネタばれなので控えておきます)、ほんとに素敵です。
『仕立て屋の恋』にしてもこの作品にしても、ルコント作品に出てくる女性たちはほんとに美しくて(単に見た目がきれいというより、魅力的という意味です)、いつも惹きつけられずにはいられません。
難しいことを考えずに、魅力的な女性、何気ない会話、そして例の踊りなど、とにかく雰囲気を楽しもう、そんな素敵な作品です。
[原題]Le mari de la coiffeuse
1990/フランス/80分
[監督]パトリス・ルコント
[音楽]マイケル・ナイマン
[出演]ジャン・ロシュフォール/アンナ・ガリエナ/トマ・ロシュフォール
今回の1本は、ラブストーリーともサスペンス・ミステリーとも言える、そんな映画。 仕立て屋の、孤独な生活を送る男。 そんな彼のたった一つの楽しみは、向かいに住む美女を覗くこと。 この「覗き」というのは、ヒッチコックの『裏窓』でも[…]