『イノセンス』(押井守)

イノセンス

今回は、映像美に酔いしれる!(まだまだ募集中です!)に投稿していただいた中から、cardhu様ご推薦、押井守監督の『イノセンス』です。
cardhu様、ありがとうございます!

cardhu様の『イノセンス』について触れられているエントリーはこちら。
言葉のコレクションvol1
言葉のコレクションVol2~愛の告白編~

ただ、cardhu様には“映像美に酔いしれる!”に投稿していただきましたが、カテゴリーは“素敵な恋をしよう!”に入れさせていただきます。

もちろん、cardhu様ご推薦の映像美も折り紙付き。
全編息を飲む映像の連続ですが、中でも、択捉経済特区の上空に迫った時の空撮や、祭礼のシーンが圧巻。

イノセンス 押井守

さて、『紅の豚』『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』でもそうでしたが、台詞が素晴らしいのがアニメ映画。

しかも、言葉へのこだわりが尋常ではない押井監督、おいおいやりすぎだろという、旧約聖書や過去の名言・格言の引用のオンパレード。

挙げ出したらキリがないほど素晴らしいものばかりですが、いくつか紹介。(台詞は「」、引用は“”)

“自分のツラが曲がっているに、鏡を責めて何になる。鏡は悟りの具にあらず、迷いの具なり”

“シーザーを理解するために、シーザーである必要はない”

「人は、おおむね自分で思うほどには、幸福でも不幸でもない。肝心なのは、望んだり生きたりすることに飽きないことだそうだ」

“孤独に歩め、悪を成さず、求めるところは少なく、林の中の像のように”

“忘れねばこそ想い出さず候”

「ロバが旅に出たところで、馬になって帰ってくる訳じゃねえ」

そして、物語も終盤、残り時間少なくなったところで、満を持して草薙素子登場。
いよっ!待ってました!!

イノセンス 押井守

素子にそっと服を着せるバトー。

「変わってないわね」
「行けよポイントマン、後ろは俺が固める、昔のようにな」

そして、一アクション繰り広げた後、ラスト直前、至福のやりとりがやってきます。

いかにも涙を誘うわざとらしい展開がないと恋愛を描けない、昨今の軟弱恋愛邦画の関係者、これを観んかいこれを!

映画史上十指に入る愛のやりとりと、ここに勝手に認定させていただきます。

バトー「ひとつ聞かせてくれ、今の自分を幸福だと感じるか?」
素子「懐かしい価値観ね。少なくとも今の私に、葛藤は存在しないわ」
素子「孤独に歩め、悪を成さず、求めるところは少なく・・・」
バトー「林の中の像のように」
素子「バトー、忘れないで、あなたがネットにアクセスする時、私は必ずあなたのそばにいる」

「ネットにアクセスする」を、普通に“ADSLや光でインターネットに接続する”の意味で取られると、はあ?となってしまいますが、『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』から続けて観ている人間には、涙なしでは観れないやりとり。

そしてとどめは、ロドリーゴの「アランフェス協奏曲」の名旋律に乗せた、伊藤君子の歌う「Follow Me」。
あのやりとりの後(実際はその後少し別のシーンがありますが)、Follow meですよFollow me。
もう憎たらしいまでの完璧さ。

cardhu様、エントリーを拝見した上で伺いますが、これ、“素敵な恋をしよう!”でいいですよね?(笑)

 

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2004/日本/99分
[監督]押井守
[原作]士郎正宗
[音楽]川井憲次
[声の出演]大塚明夫/田中敦子/山寺宏一/竹中直人

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