町を牛耳る大物インディ・ジョーンズ。その放蕩息子にポール・ダノ!
そこへ現れた流れ者の賞金首ジェームズ・ボンド、その手にはQもびっくりの秘密兵器が!
絡んでくる謎の美女、誇り高きアパッチ族も加勢に駆けつける!
これで燃えないわけがない!
というわけで今回は、ダニエル・クレイグ&ハリソン・フォード豪華共演の『カウボーイ&エイリアン』です。
冒頭にはふざけた感じで書きましたが(ある意味間違ってはいません)、実際は宣伝されていたようなSFアクションではなく、結構まともな西部劇です。
燃える場面も泣ける場面もちゃんとあります。
まずはここでしょう。
「彼は誰にも負けない勇士だ」
「そんな勇士の部下が男一人と子供か?」
そこへ、大勢を引き連れて舞い戻ってくるジェイク、ニヤリと笑みを浮かべるダラーハード。
「やあ」と帰って来た男、ただ黙って頷くもう一人の男。
言葉はいらない。このシークエンスだけで元は取れます。
ダラーハードと腹心のアパッチ族の部下とのやりとりも泣かせます。
「やっつけた?」
「ああ、一匹」
「あなたと一緒に戦に行くのが夢でした」
「私は、お前が息子ならばと」
「行って。パーシーの所へ・・・あなたの息子です」
ここにきて伏線として効いてくる序盤のあるやりとり。
「一匹」なので違和感がありますが、これが普通に「一人」なら泣ける名場面。
そして最後は、馬に跨り日常を取り戻した町を後にして去っていく、男の後ろ姿を映し続けて映画は終わります。
SFアクションとしては確かにかなり微妙かもしれませんが、西部劇として観れば全然あり。
さらに、何気に脇役が豪華です。
先ほどの名場面にも登場する美味しいアパッチの役には、『父親たちの星条旗』でも大活躍だったアダム・ビーチ。
なんで俺なんかと一緒にいるんだと卑下していたのに、さらわれた妻を取り戻すために次第に一人前の男になっていく酒場の主人にサム・ロックウェル。
そのさらわれた美しい妻に、“エンカルナシオン”ことアナ・デ・ラ・レゲラ。
冒頭でもちらりと触れましたが、町の権力者の息子という立場を笠に着て好き放題の息子にポール・ダノ。
弱い者には滅法強いですが、強い者には一発でボコられる情けなさ(笑)
一人の少年の成長の物語でもありますが、その少年には『エアベンダー』の主役のあの子。
映画界から干されてなかったんですね(笑)
とどめは、町の保安官にキース・キャラダイン!
『北国の帝王』でリー・マーヴィンに「お前は向こうっ気だけで心がねえ!」と一蹴された彼が、『荒野の決闘』のヘンリー・フォンダみたいにゆったりと椅子に腰掛ける。
そこには、38年という年月の重みが。
観たBlu-rayのバージョンは劇場版より18分も長いみたいですが、どこを削ってあったんでしょう!?
特に無駄な場面はなかったような気がするんですが…。
SFという言葉もエイリアンも置いておいて、普通に1本の西部劇として観ましょう。
何よりも、流れ者の賞金首の主役を演じるのは、マックィーンに一番近い男、ダニエル・クレイグその人です。
カウボーイ&エイリアン 未体験ロング・バージョン [Blu-ray]
[原題]Cowboys & Aliens2011/アメリカ/136分
[監督]ジョン・ファヴロー
[出演]ダニエル・クレイグ/ハリソン・フォード/オリヴィア・ワイルド/サム・ロックウェル/アダム・ビーチ/ポール・ダノ/ノア・リンガー/アナ・デ・ラ・レゲラ/キース・キャラダイン
ポーカーの勝負がついてからが長くないですか? ここで終わってもというところから、延々30分以上あったような…。 オープニングシークエンスは素晴らしい!ここが最大の見せ場と言ってしまってもいいほど。 ひたすら走って逃[…]
『007/慰めの報酬』のバイクシーンなんか、監督もダニエル・クレイグも絶対に意識しているはず。 あの映画のダニエル・クレイグを観て、マックィーンのことが浮かんだ方も多いのではないでしょうか。 シネマトゥデイ<スティーヴ・マッ[…]