ある小さな村に、流れ者の母娘が引っ越してきた。
古い伝統に縛られたその村で、チョコレートショップを開店し、そのおいしさは徐々に広まっていくが…。
『ギルバート・グレイプ』が大好きということもあり、その時のハルストレム監督、ジョニー・デップのコンビということで、楽しみにしてましたが、期待通り十二分に楽しめる作品でした。
一番の主役はなんといってもチョコレート。心を閉ざしていた人々が、一口チョコレートを食べただけで思わず顔がゆるむ、これはほんとにわかります。
ほんとに美味しい物を食べた時には、美味しいなんていう言葉さえ出てこずに、ただ微笑むしかありません。この描写がちゃんとなされていて、表情だけで魅せてくれる役者たちもさすがです。
チョコレートに負けず、俳優たちも最高の演技を見せてくれます。
まずはジョニー・デップ。最近は?という作品にも出てましたが、『ギルバート・グレイプ』『フェイク』以来、久々にいい味出している彼でした。ギターも披露してくれてます。
主役にはジュリエット・ビノシュ。製作陣の誰もが彼女しかいないと思ったのも頷けます、完全にはまり役です。
さすがにちょっと歳を取ったなぁと失礼なことも思ってしまいましたが…。
自分の中では『ポンヌフの恋人』が強烈に印象に残っている彼女ですが、相変わらずいい作品選びをしています。
メイキングの中で、ジョニー・デップが「ベタ惚れ」と言っていたジュディ・デンチ。
『恋に落ちたシェイクスピア』ではわずかの出演ながらアカデミー賞助演女優賞に輝いたかと思えば、007シリーズではMを演じたりと、さすがイギリス演劇界の重鎮という、ほんとに圧倒的な存在感です。
本作品でも、落ち込む主人公に対して、「自分のためにパーティーを開いてくれ」というくだり、孫とのやりとり、いいですねぇ。
さらに、完全な敵役の村長さんに扮するアルフレッド・モリーナ。超がつく堅物で威厳を保ってはいるものの、あまりにも堅物過ぎて実は奥さんが浮気してイタリアから帰って来ないという、どこか憎めないキャラを好演しています。
さらにさらに、ハルストレム監督の奥さんでもあるレナ・オリンも出ています。
このように、俳優陣はほんとに豪華です!
豪華な俳優陣と、たまらなくおいしそうなチョコレート、そしてどこか哀愁漂う音楽と、見るにも聞くにも十二分に楽しめます。
見終わってからチョコレートを買いに行ったのは言うまでもありません。
ショコラ [Blu-ray]
[原題]Chocolat
2000/アメリカ/121分
[監督]ラッセ・ハルストレム
[出演]ジュリエット・ビノシュ/ヴィクトワール・ティヴィソル/ジョニー・デップ/アルフレッド・モリナ/ヒュー・オコナー/レナ・オリン/ピーター・ストーメア/ジュディ・デンチ/キャリー=アン・モス/レスリー・キャロン
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