『バンド・ワゴン』(ヴィンセント・ミネリ)

バンド・ワゴン

今回は、MGMミュージカルの最高峰『バンド・ワゴン』です。

『雨に唄えば』の時にも書きましたが、ミュージカル映画でうだうだと語っても仕方ありません。ただ楽しむだけ。
そして今回も、全編に渡って極上の曲のオンパレード。

フレッド・アステアの手にかかれば靴磨きさえも歌になってしまう「A Shine On Your Shoes」、映画『ザッツ・エンタテイメント』もこの曲からきている「That’s Entertainment!」ではアステア、ジャック・ブキャナン、オスカー・レヴァント、ナネット・ファブレイが踊りに踊り、夜のセントラルパークでのアステアとシド・チャリシーの「Dancing In The Dark」にはただただ陶酔。
https://youtu.be/duLFwcsc6Nc
舞台がコケた後の楽屋でみんなが元気を取り戻す「I Love Louisa」はこんな楽しい曲はないですし、アステア、ブキャナン、ファブレイが赤ちゃんの格好で歌う「Triplets」には爆笑。特にブキャナンの顔と衣装のギャップが最高!
https://youtu.be/UjW_yvrC0cE
他にも「I Guess I’ll Have To Change My Plan」や「Louisiana Hayride」、さらに最大の見せ場「The Girl Hunt Ballet」。
次から次へと、もうたまりません。

『サウンド・オブ・ミュージック』も『ウエスト・サイド物語』も好きな映画ではありますが、個人的な好みはアーサー・フリード製作のMGMミュージカル。

『イースター・パレード』『踊る大紐育』『アニーよ銃をとれ』『巴里のアメリカ人』『雨に唄えば』、タイトルを聞いただけで表情は緩み、思わず体を動かしたくなります。

何度か当ブログにも御登場いただいている小林信彦氏の言葉。

「ミュージカルというのは、社会性もヘタクレもない、歌や踊りを武器にして、現実と別の次元へ飛翔する人間の魂の自由の喜びの表現」

上記2作品にはこの社会性やヘタクレがあるんですよね。
その点こちらは、何も考えずにただ楽しみ酔いしれるだけ。

そんな心躍るMGMミュージカルの最高峰『バンド・ワゴン』。
今宵は、フレッド・アステアの華麗なステップに、夢の世界へ誘われてみてはいかがでしょうか?

 

バンド・ワゴン [Blu-ray]

[原題]The Band Wagon
1953/アメリカ/112分
[監督]ヴィンセント・ミネリ
[製作]アーサー・フリード
[出演]フレッド・アステア/シド・チャリシー/ジャック・ブキャナン/オスカー・レヴァント/ナネット・ファブレイ

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