『すべて彼女のために』(フレッド・カヴァイエ)

すべて彼女のために

壁に貼られた膨大な資料、やるしか選択肢のない殴り込み。

「国語の教師だろ?」
「ええ、平凡な男です」

クライマックスは確かに上手くいきすぎだけど、ただの平凡な男が、7回も脱獄した男も顔負けの緻密で完璧な計画を凄まじいまでの執念で練り上げる、すべては彼女のために。

意地でも90分で仕上げるカヴァイエにしては、96分でさえちょっと長いなと感じるこの贅沢。

最初の面会シーンがいきなり3年後だったり、ほんとに省略が素晴らしい。

何回観ても泣けるのはお父さん!
ここもごちゃごちゃ喋ったりなんかしない、ただ無言でぐっと抱き寄せるだけ。

これのハリウッドリメイクである『スリーデイズ』は、案の定40分近く長くなってしまっているにも関わらず、意外と悪くないんですよね、リメイクとしてはかなり健闘している方。

でも、絶対に敵わないオリジナルの最強の長所が一点だけあって、「彼女」がダイアン・クルーガー。

 

ラスト3デイズ~すべて彼女のために~ [DVD]

[原題]Pour elle
2008/フランス・スペイン/96分
[監督]フレッド・カヴァイエ
[脚本]フレッド・カヴァイエ/ギョーム・ルマン
[音楽]クラウス・バデルト
[出演]ヴァンサン・ランドン/ダイアン・クルーガー/ランスロ・ロッシュ/オリヴィエ・マルシャル

→予告編 →他の映画の感想も読む

関連記事

オリジナルより40分近く長い割にはそこまで長く感じないし、ラッセル・クロウが平凡な大学教授に見えない以外は、ブライアン・デネヒー、オリヴィア・ワイルド、リーアム・ニーソン等、脇も固めてある。 でも、1つだけ決定的に足りないものがあ[…]

関連記事

この前また話題に出たので、久しぶりに観ました。 Twitterの方ではちょくちょく話題にしていますが、そういえばちゃんと感想書いていませんでしたね。 というわけで今回は、フレッド・カヴァイエ監督の『この愛のために撃て』です。 […]

関連記事

ヴァンサン・ランドンとジル・ルルーシュのバディものという時点でたまらないのに、「また組もうぜ、昔みたいに」からの、殴り込みの時に車のドアを開ける阿吽の呼吸! からの、それは反則だろ!のラストカット。 これできっかり90分、フレッ[…]