「オスカーを総なめにする映画はどれもこれも最低だ。つまらないベストセラーの映画化。傑作は『マッドマックス』『リオ・ブラボー』『続・夕陽のガンマン』」
オスカーの季節ということで、劇中のクラレンスの台詞から始めてみましたが、今回は、脚本のみながらタランティーノ節が炸裂している『トゥルー・ロマンス』です。
ソニー・千葉の3本立てで出会ったクラレンス(クリスチャン・スレイター)とアラバマ(パトリシア・アークエット)。
「映画を見たら、パイを食べて映画の話をしたいの。パイを食べたくない?」
女が『男たちの挽歌2』を観ている間、男は愛する女のかつてのヒモを殺りにいく。
ジェームズ・ガンドルフィーニにボコボコにされ、殺されそうになっても、「好きな男のためなら、100%尽くす女よ」の言葉通り、意地でも口を割らないパトリシア・アークエット。
「おれのおやじはシシリア人で、世界ヘビー級の嘘つきだった、嘘の見破り方を教えてくれた。男が嘘をつく時は、それを示す17種類の仕草がある」、そう語りながら拷問にかけるクリストファー・ウォーケン。
殺されることがわかっていながら、「君は知っているかね?シシリア人の子孫はニガーだそうだ」と、最期の反撃に出るデニス・ホッパー。
言葉による最高峰の応酬、下手な撃ち合いより遙かに凄まじい緊迫感。
しかも、デニス・ホッパーの長台詞はほとんどアドリブらしく、素で反応に困るクリストファー・ウォーケン(笑)
突然アラバマを連れて現れたクラレンスに、父親のデニス・ホッパーが言う台詞もいいなぁ。
「お前って奴は、気味悪いくらいお袋似だ。3年間何の音沙汰もなく、突然朝の8時に現れる」
似合いすぎて怖い、ポン引き&売人のゲイリー・オールドマン。
そんな彼に瞬殺されるサミュエル・L・ジャクソン。
ぶっ飛びながらテレビばかり観ている、でもかっこよすぎる、ただのチョイ役ブラッド・ピット。
ホテルでの、3グループ鉢合わせの滅茶苦茶の銃撃戦。
桃の味のするキス。
いつも側で勇気づけてくれるエルヴィス・プレスリー(ヴァル・キルマー)。
マリンバの心地よい調べに身を委ねながら、何から何まで、全てが愛おしい映画。
アラバマのクラレンスへの言葉は、そのままこの映画への賛辞ともなるでしょう。
「So romantic!」、そして、「You’re so cool!」
トゥルー・ロマンス ディレクターズカット版 [Blu-ray]
[原題]True Romance1993/アメリカ/121分
[監督]トニー・スコット
[脚本]クエンティン・タランティーノ
[音楽]ハンス・ジマー
[出演]クリスチャン・スレイター/パトリシア・アークエット/デニス・ホッパー/ヴァル・キルマー/ゲイリー・オールドマン/ブラッド・ピット/クリストファー・ウォーケン/サミュエル・L・ジャクソン
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