『トゥームストーン』(ジョージ・P・コスマトス)

トゥームストーン

今回は、“男ならこれを観ろ!”(まだまだ募集中です!)へ投稿していただいた中から、pharos様ご推薦、『トゥームストーン』です。

ワイアット・アープとドク・ホリデイといえば、言うまでもなくヘンリー・フォンダとヴィクター・マチュア。
それが、今回はカート・ラッセルにヴァル・キルマー。果たして…。

冒頭、荒くれ者達とのどかな街の風景を交互に映すやり方、聖書の「白い馬」の話、あれっ!?どこかで聞いたことがあるぞ…。『ペイルライダー』のパクリかぁ~!!と一瞬不安がよぎったのはここまで。
いやぁ素晴らしい。pharos様、本当にありがとうございます!

ゴールドラッシュの街トゥームストーン。今や引退している伝説の元保安官ワイアット・アープは、妻と共にこの街にやって来ます。
兄のヴァージル夫妻、弟のモーガン夫妻と再出発を図ろうとする彼だったが、その街は“カウボーイズ”と名乗る無法者集団に牛耳られていた…。
そして、旧友ドク・ホリデイとの再会。

この映画、ドク・ホリデイに扮したヴァル・キルマーのかっこよさが全て。
何をやっても様になりますが、中でも、リンゴの銃のパフォーマンスに対しコーヒーカップを自在に操ったのにはやられました。

平和に暮らすという夢もそう簡単に叶うはずもなく、否応なしに闘いの舞台へと引きずり込まれていくアープ兄弟、そしてドク。
兄のヴァージルに扮したサム・エリオットも渋すぎ…。

そして、かの有名なOK牧場の決闘へ。ただし、この映画ではここはクライマックスではありません。

トゥームストーン

待ち構える敵に対し、ゆっくりと歩を進める4人の男たち。まさに『ワイルドバンチ』

痺れる銃撃戦の後、駆け寄る妻たち。

またもや“殺し”に手を染めてしまったことに、しばし立ち尽くすワイアット・アープ。それを見つめるドク・ホリデイの視線。

その視線に気づいたワイアットは、無言で軽く頷きます。
そして、二人でその場を去るのです。

この闘いの後のシークエンスが死ぬほどかっこいい。

トゥームストーン ヴァル・キルマー

トゥームストーン カート・ラッセル

敵の報復に、兄は重体、そして弟の死。
再び連邦保安官のバッジをつけたワイアット・アープの、鬼の復讐が始まった!

心を決めてからのワイアット・アープはひたすらかっこよく、大将カーリー・ビルに向かってまっすぐ歩を進めるあたりなど痺れまくりです。

そんな中、残っていた銃の名手リンゴ。いざ決闘の地へ向かうアープ。そこに現われたのは…。

銃撃戦や男の友情部分が素晴らしいのはもちろんのこと、どうしても触れておかなければならないのはその映像の美しさ。

西部劇の基本“砂埃”が見事なのはもちろんのこと、アープと女優の二人が馬で駆けるシーンのなんと美しいこと!

最後の一人を追跡するシーンの疾走感、ついに捨てられた“カウボーイズ”の象徴。

あと、pharos様も書かれていましたが、やはり書かずにはいられません。
リンゴとの決闘に向かう前の二人の会話素晴らしすぎ。西部劇でこんな台詞の応酬初めて観ました。

W「人生の楽しみも知らず過ごしてきた…自分の尻尾を追った。
やっと望みがわかった。夢の人も… でも、すべてが手遅れだ…。
リンゴみたいな男はなぜ悪事を重ねる?」
D「リンゴみたいな男は体の真ん中にとても大きな空洞がある…
いくら殺しても、いくら盗んでも満たされない…良心の痛みも感じないんだ。」
W「必要なものは?」
D「復讐さ」
W「何への?」
D「生まれたことさ…」
W「いきなり戦いに明け暮れたが、考え事もしなかったな…奴には勝てないか?」
D「勝てん…」

未来よりも命よりも友を選んだ男ドク・ホリデイ。まさに男ならこれを観ろ!です。

とどめはエンドクレジットの4人の歩く姿。まったく『ワイルドバンチ』そのままですが、全然負けてません!

ヴァル・キルマー様、今までたいして観ることもなく勝手にB級と決めつけていてすいません。
この映画も、世間的にはそんなに評価されていないみたいですが、そんなことはどうでもいい。

必見。

 

トゥームストーン [DVD]

[原題]Tombstone
1993/アメリカ/130分
[監督]ジョージ・P・コスマトス
[ナレーション]ロバート・ミッチャム
[出演]カート・ラッセル/ヴァル・キルマー/サム・エリオット/ビル・パクストン/パワーズ・ブース/マイケル・ビーン/チャールトン・ヘストン

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