『ザ・タウン』(ベン・アフレック)

ザ・タウン

結局映画館行けなくて悔しい思いをしましたが、Blu-rayでようやく観れました。

『チーム★アメリカ/ワールドポリス』では「ベン・アフレックに演技学校が必要なように、僕には君が必要なんだ」とまで言われたベン・アフレックですが、いやー、正直舐めてました、凄いっすこれ。
評判の良かった監督第1作は未見なんですが、これは早速観てみないといけませんね。監督2作目でこれですか。

気になったのは、自分が観たのは150分のエクステンデッド・バージョンというのなんですが、劇場版はこれより25分も短いんですよね、無駄なシーンなんて全くなかったですが、どこを削ったんでしょう?

役者は皆素晴らしいですが、なんといっても、ジェムを演じたジェレミー・レナー。
ダグ(ベン・アフレック)と二人で話している時に俺にはこれしかないんだというようなことを言ってましたが、ほんとに“他の生き方はできない”感が滲み出ていて、ああいう街のああいう生活空間なら絶対こういう奴いるよなぁという、ほぼ完璧と言ってもいいでしょう。
ベン・アフレックの一般的なイメージからすると、二人の配役は逆の方がむしろ自然なのかもしれませんが、こっちにして大正解。

ザ・タウン ジェレミー・レナー

二人とクレア(レベッカ・ホール)が初めて“3人同じ場所に集まる”シーンは、ひょっとしたらこの映画の白眉かもしれません。
ド迫力の銃撃戦もカーチェイスも痛い描写もある骨太な映画ですが、ただ3人がカフェで会話するこのシーンでここまで魅せるベン・アフレックの演出力は本物。

3人以外も、要所で脇役が素晴らしく、まずは先日惜しくも亡くなったピート・ポスルスウェイト。
ダグやジェムたちも若くしてFBIも認めるようなプロフェッショナルなわけですが、彼らの親の時代から“The Town”に君臨している彼が見せる凄み。
普段はただの人のよさそうな花屋のおやじなわけですが、怒らせたらここまで怖い花屋のおやじもそうはいないでしょう(笑)

ザ・タウン ピート・ポスルスウェイト

“郊外”に住んでいるダグの父親にクリス・クーパー。
出番はわずかですが、その存在感は凄まじく、ダグとの面会シーンはクライマックスの一つ。
こうしてみると、ここもアクションシーンじゃないよなぁ。
「なぜ探さなかった?」「見つけるものがなかったから探さなかっただけだ」

ザ・タウン クリス・クーパー

脚本家の一人としても名を連ねているベン・アフレックですが、このやりとりのように、ニヤリとする会話もいくつか。
「晴れた日」の使い方も憎かったですね。

この手の映画にしては傑作!と断言するにはやや甘い部分もなくはないんですが、150分間緊張感が途切れないだけでもたいしたものでしょう。
この手の映画がお好きでしたらぜひ。

 

ザ・タウン <4K ULTRA HD&ブルーレイセット>(2枚組) [Blu-ray]

[原題]The Town
2010/アメリカ/150分
[監督・脚本]ベン・アフレック
[出演]ベン・アフレック/ジェレミー・レナー/レベッカ・ホール/ジョン・ハム/ブレイク・ライヴリー/ピート・ポスルスウェイト/クリス・クーパー

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