『ミッション:8ミニッツ』(ダンカン・ジョーンズ)

ミッション:8ミニッツ

“警告:このラスト、映画通ほどダマされる。”、このキャッチコピーで損してるような気が…。
確かにネタばれ禁止系の映画ではありますが、実はそうでもありません。
少なくとも、オチ勝負の映画では決してありません。

※一応ネタばれ禁止系の映画なので、何箇所が伏せ字にしていますが、ネタばれにはなっていないと思います。
●の数と実際の文字数は一致しません。どこも●●にしています。
もしまだご覧になっていないようでしたら、予告編は先に観ない方がより楽しめると思います。

誰もが引き合いに出すであろう『●●』や『●●』といった過去の映画にもあるように、設定自体は目新しいものじゃないですし、そうきたか!という驚きがあるわけでもありません。

前作『月に囚われた男』も、“ネタ”は上映時間の半分あたりであっさり明かされましたが、その後がよかった。

今回もそれは同じで、サスペンスとしてのネタが割れてからが素晴らしい。

もっと言えば、邦題でもある“ミッション:8ミニッツ”が繰り返されている間は、最初の方はぐいぐい引き込まれますが、だんだん飽きてきさえします。

でも、映画が素晴らしくなるのはその後から。

選択肢が2つしかない状況で3つ目の選択肢を選んだ男の想いが、決して変えられないはずのものを変えることになるのか、それとも、やはり何も変らないのか。

たった8分の間に、男の想いが炸裂する。

そして、切なさと、それ以上の幸福感に満ち溢れた、クライマックスのあの瞬間。
あの瞬間に立ち会うために、この先もきっと何度もこの映画を観ることになるでしょう。

ツッコミどころもいろいろありますし、よくよく考えれば根本的に設定が矛盾してるような気がしないでもありません。

でも、そんなことは、あの瞬間を前にしては、全て吹き飛びます。

その後の最後の最後にくるオチすらも、たいした問題ではありません。

●●ためではなく●●ためにある依頼をした男の、その想いが結実するあの瞬間。
その時、彼の周りを囲む光景。
このショットが全て。

細かいことはどうでもいい。

劇中何度も出てくる台詞、“Everything’s gonna be okay.”

何度も観たくなる愛すべき映画がまた1本増えました。

 

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[原題]Source Code
2011/アメリカ・フランス/93分
[監督]ダンカン・ジョーンズ
[出演]ジェイク・ギレンホール/ミシェル・モナハン/ヴェラ・ファーミガ/ジェフリー・ライト

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