ドブネズミみたいに美しくなりたい♪
ミュージカル映画でうだうだと語ってもしょうがないように、この映画も、とにかく見て、聞いて、触れていただくのが一番早いですね。
ストーリーは青春映画の王道で、予想通りに話は進んでいきますし、目新しいことは何もありません。
ただ、全てを吹き飛ばすのが、ペ・ドゥナの圧倒的な存在感。
彼女が“リンダ リンダ~!”とシャウトした瞬間、もう平伏すしかありません。
決して上手くはなく、声量があるわけでもありませんが、一発で心を持っていかれます。
ストーリーの進行と平行して歌も上手くなっていきますが、ラストのステージでの歌は本当に素晴らしい。
彼女のちょっととぼけたキャラも見事にはまっていて、恵の元カレにいきなり「元カレ?」と聞いてびっくりさせるくだりや、韓国語を覚えて告白してきた男の子への反応など、彼女ならではの味わいですね。
一人でカラオケボックスに行くくだりも最高。
ドリンク付しかダメだと店員、ドリンクはいらないから歌だけ歌わせろとペ・ドゥナ。
延々続く攻防が楽しめます。
ブルーハーツの練習に行ったのに、いつの間にか「Can You Celebrate?」歌ってるし(笑)
ラストのステージも素晴らしいですが、最高の名場面は、誰もいない夜の体育館で、ペ・ドゥナが一人でメンバー紹介をするところ。
実際に文化祭本番ではメンバー紹介はしないので、ペ・ドゥナが一人自分の世界に入っているシーンですが(だからここは台詞も韓国語)、このシーン好きだなぁ、ここだけ何回も観ちゃいました。
「じゃここで、連日続く徹夜の練習で睡眠不足状態のメンバーを紹介します。
ドラム!練習さぼるけど、かわいい響子!
ベース!料理ちょっと味濃いけど、あんまり喋らないけど、キュートな望!
ギター!気い短いし、怒ると一番恐いけど、でも一番優しい、アタシを誘ってくれた恵!
そしてボーカル、ソン!」
たった3日の付き合いなのに、3人のことをちゃんとわかっていて、もう立派な仲間なんですよね。
あと、全体的に高校生の頃の青春してるな~って感じが出てていいですね。
備品室に呼び出して告白とか(笑)
今時の高校生は、告白も電話やメールなんでしょうか。
自分の頃は、さすがに備品室に呼び出しというのはなかったですが、まあ似たようなものでしたからね(笑)
ペ・ドゥナは「リンダ・リンダ」「僕の右手」「終わらない歌」の3曲を披露してくれますが(もちろん3曲とも日本語)、彼女が歌う「情熱の薔薇」が聞いてみたいなぁ。
サントラは即買いでしたが、たぶんパーランマウム(バンド名。劇中ペ・ドゥナがステージ上で言っても、メンバー含め誰も意味がわからずキョトンとしてましたが、韓国語で“青い心”=ブルーハーツという意味のようです)のCDも買ってしまうでしょう(笑)
2005/日本/114分
[監督・脚本]山下敦弘
[出演]ペ・ドゥナ/前田亜季/香椎由宇/関根史織/松山ケンイチ/小出恵介
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