『ル・アーヴルの靴みがき』(アキ・カウリスマキ)

ル・アーヴルの靴みがき

やっぱりカウリスマキは最強でした。
これだよこれ、こんな映画を何年も待っていたんですよ!

というわけで、5年ぶりのカウリスマキの最新作『ル・アーヴルの靴みがき』、超満員の映画館で観てきました。

色の美しさに関しては世界一だと思っているティモ・サルミネンのカメラ、今回もいつもの暖かみのある色使いが絶品。
あの青も、あの赤も、彼にしか出せません。

そして、あの濡れた路地!路地の美しさも最高峰。
話の内容以前に、まずは映像だけでいつものカウリスマキ節が全編に渡って炸裂。

現代的な社会問題を扱っていて、実は凄く大きな話でもありながら、そこはカウリスマキ、身近な人々に寄り添う眼差し、活躍するのは、靴磨きのおやじ、飲み屋のおばちゃん、パン屋のおばちゃん、八百屋のおやじなのだ!

マッティ・ペロンパー、マルック・ペルトラ亡き今、カティ・オウティネンだけでなく、元気なエリナ・サロが観れる嬉しさ。

さらに、アンドレ・ウィルムにジャン=ピエール・レオ!
とどめに、脇役の女性の役名が“ミミ”!これは反則。

アンドレ・ウィルムにミミとくれば、当然思い浮かぶのは『ラヴィ・ド・ボエーム』(アンドレ・ウィルムの役名はあの映画と同じ)。
マッティ・ペロンパーの背中が浮かびかかるも、そこからまさかの力技!

予告編にある「映画史上、最高のハッピーエンド」はそう大袈裟でもありません。
もはや笑っちゃうレベルの、ありえないほどのハッピーエンド。実際笑いも起きていました。

でも、ありえないほどのと言いながら矛盾していますが、カウリスマキ映画では、全然違和感ないんですよね。
この力技に納得できちゃうところもカウリスマキの凄いところ。

力技といえば、ジャン=ピエール・レオが主演を務めた『コントラクト・キラー』ではジンジャーエールという大技が出ましたが、今回はパイナップル。場内爆笑。

『過去のない男』で“人生は前にしか進まない”と言ったカウリスマキ、彼の映画があるから、また少し頑張れる、また前に進んでいける。

ありがとうカウリスマキ、一生ついていきます!

 

ル・アーヴルの靴みがき [Blu-ray]ル・アーヴルの靴みがき [Blu-ray]

[原題]Le Havre
2011/フィンランド・フランス・ドイツ/93分
[監督]アキ・カウリスマキ
[撮影]ティモ・サルミネン
[出演]アンドレ・ウィルム/カティ・オウティネン/ジャン=ピエール・ダルッサン/ブロンダン・ミゲル/エリナ・サロ/ジャン=ピエール・レオ

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