『コーリャ 愛のプラハ』(ヤン・スヴェラーク)

コーリャ 愛のプラハ

今回は、子役の可愛さでは最高峰の『コーリャ 愛のプラハ』の登場です。
子役が可愛いだけでなく、映画としても最高。
アカデミー外国語映画賞や東京国際映画祭グランプリなども受賞しています。

なんといっても、撮影当時5歳だったという子役の少年、9ヶ月かけて探し当てたというだけあって、よく見つけてきたなというくらい可愛すぎます!モスクワの幼稚園児だそうです。

友人の頼みで、ロシア人女性と偽装結婚したチェコの初老のチェロ奏者。
その女性が姿をくらまし、女性の子供コーリャが彼のもとに取り残されることに…。

まったく子育ての経験などないため、何をやるにも一苦労、子供の方も意地を張ってなかなか言うことを聞きません。
2人が出会ってからずっと、2人のやりとりはほんとに最高です。

コーリャ 愛のプラハ

「ロシアはずっと居座るが、お前は居座るな」といった、何気ない台詞一つ一つもユーモアが効いていて巧い。

初めは、預かるのが嫌で知人に頼んだり、施設に申請を出すなどしていたものの、次第に心通わせ、申請を取り下げてくれと頼む始末。
お互いに意地を張り合っていた2人が次第に心通わせていく様子は、ほんとに微笑ましく、心動かされます。

見知らぬ人の子供を預かり、次第に心が通っていく、チャップリンの『キッド』でもあったパターンですが、それにしてもこの映画はなんといっても子役の可愛らしさがすべてで、ただそこにいるだけで抜群に可愛いのに、ちょっとした仕草がまたどれも最高に可愛らしく、笑えます。
目に入れても痛くないとはこういうのを言うんでしょうか。ほんとに文句なしに可愛いです!

コーリャ 愛のプラハ

チェロ奏者が主役ということで、音楽も抜群にいいです。
共にチェコを代表する作曲家である、スメタナやドヴォルザークの音楽が使われています。

物語が1988年から始まるように、チェコの社会主義体制崩壊という、歴史的な面も出てきますが、最後には民主主義を勝ち取るということで暗い気分にはまったくなりません。

それに、さきほどの「ロシアはずっと居座るが、お前は居座るな」の台詞ではありませんが、そういうユーモアたっぷりの台詞に彩られているため、歴史的な面が前面に出てしまって暗くなってしまう映画とは違い、最後までチェロ奏者と子供の心暖まる話として楽しめます。

子供が風呂場で、死んだことを知らないおばあちゃんに電話(シャワーヘッド)をかけるシーンは涙なしには見れません…。

コーリャ 愛のプラハ 電話

万が一見てない方は今すぐビデオ店に走りましょう。すべての方にお薦めしたい愛すべき1本です!

 

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[原題]Kolya
1996/チェコ・イギリス・フランス/105分
[監督]ヤン・スヴェラーク
[出演]ズディニェク・スヴェラーク/アンドレイ・ハリモン/リブシェ・シャフラーンコヴァー

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